赤ちゃんの寝返り・ハイハイはいつから?月齢別の運動発達としないときの相談目安
寝返りは生後4〜5か月頃、ひとり座りは生後7〜8か月頃、ハイハイは生後8〜9か月頃からできる赤ちゃんが半数を超えます。ただし、これらは締切ではなく集団の目安です。四つ這いをほとんどせず、ずりばいやお尻歩きからつかまり立ちへ進む子もいます。
大切なのは、特定の動作が何か月でできたかだけでなく、少しずつ動きが増えているか、左右の手足を同じように使っているか、姿勢や反応に気になる点がないかを見ることです。発達の後戻りや明らかな左右差がある場合は、月齢にかかわらず小児科や保健師へ相談してください。
1. まず確認したい運動発達の月齢早見表
こども家庭庁の令和5年乳幼児身体発育調査では、全国の乳幼児を対象に、各動作ができる割合を調べています。前回の2010年調査以来となる全国的な資料で、一般調査では6,892人が集計対象になりました。
| 動き | 半数を超えた月齢階級 | 90%以上になった月齢階級 |
|---|---|---|
| 首のすわり | 生後3〜4か月未満 | 生後4〜5か月未満 |
| 寝返り | 生後4〜5か月未満 | 生後6〜7か月未満 |
| ひとりすわり | 生後7〜8か月未満 | 生後9〜10か月未満 |
| はいはい | 生後8〜9か月未満 | 生後10〜11か月未満 |
| つかまり立ち | 生後8〜9か月未満 | 生後11〜12か月未満 |
| ひとり歩き | 1歳1〜2か月未満 | 1歳4〜5か月未満 |
たとえば寝返りができる割合は、生後4〜5か月未満で56.9%、5〜6か月未満で89.7%、6〜7か月未満で97.6%でした。はいはいは、生後8〜9か月未満で67.4%、10〜11か月未満で91.0%です。
90%以上になる月齢を過ぎたことだけで、発達の異常とは判断できません。調査結果は診断基準ではなく、成長の流れを確認するための目安です。
SNSや育児アプリでは同じ月齢の子どもを目にする機会が多く、「うちの子だけ遅い」と感じやすくなります。しかし、早くできるほど将来の運動能力や知能が高くなると単純に決まるわけではありません。
2. 運動発達は決まった一本道ではない
赤ちゃんの大きな動きに関する発達は、脳、脊髄、筋肉、関節、視覚、平衡感覚などが協調して育つ過程です。多くの場合は、頭に近い部分から体幹、脚へと姿勢を制御できるようになります。
首を安定させる
↓
肩や腕で上体を支える
↓
体幹をひねり、重心を移す
↓
座った姿勢でバランスを取る
↓
自分なりの方法で移動する
↓
脚で体重を支え、立つ・歩く
ただし、全員がこの順番を一段ずつ進むわけではありません。寝返りより座位が先に安定して見える子、ずりばいが長い子、四つ這いをせずにつかまり立ちへ進む子もいます。
WHOの運動発達マイルストーンでは、健康な乳幼児が支えなしで座れるようになる時期は3.8〜9.2か月、手と膝による四つ這いは5.2〜13.5か月、ひとり歩きは8.2〜17.6か月という幅が示されています。国内調査とは対象や動作の定義が異なりますが、一般的な発達にも広い個人差があることが分かります。
3. 寝返りはいつから?前兆と「できた」の考え方
寝返りとは、一般に仰向けの姿勢から自力で体を回し、うつ伏せになる動きを指します。うつ伏せから仰向けへ戻る動きは「寝返り返り」と呼ばれます。二つを同じ時期に習得するとは限りません。
寝返りが近づくと、次のような動きが増えることがあります。
- 仰向けで両脚を高く持ち上げる
- 足を反対側へ交差させる
- 音やおもちゃを追い、頭と肩を横へ向ける
- 横向きの姿勢で遊ぶ時間が増える
- うつ伏せで胸を持ち上げる
- 片手を伸ばして体重を横へ移す
初めは勢いや反り返りで偶然転がることもあります。その後、見たい物や取りたい物へ手を伸ばすうちに、体幹と骨盤を使って回れるようになります。
右回りと左回りを同時に覚えなくても珍しくありません。ただし、何週間たっても常に一方向だけを使う、片腕が体の下に入り続ける、片脚をほとんど動かさないなど、はっきりした左右差が続く場合は相談の材料になります。
4. お座りはいつから?座らせた状態との違い
ひとりすわりは、手や背もたれで支えなくても、座った姿勢を一定時間保てる状態を指します。最初は両手を前について支える姿勢から始まり、次第に手を離しておもちゃを持てるようになります。
次の三つは別の段階です。
| 段階 | 状態 |
|---|---|
| 支えれば座れる | 大人やクッションの支えが必要 |
| ひとりで座位を保てる | 支えなしで倒れずに座れる |
| 自分で座る姿勢になれる | 寝た姿勢や四つ這いから座位へ移れる |
座らせれば安定していても、自力で座位になる動作は後から身につくことがあります。座れない時期にクッションで長時間固定したり、倒れないよう無理に姿勢を作ったりする必要はありません。
床で寝返りや重心移動を十分に経験することが、体幹を使う機会になります。倒れた先に硬い家具や角がない、安全な場所を整えましょう。
5. ハイハイはいつから?ずりばいとの違い
日常的な「ハイハイ」には複数の移動方法が含まれます。
| 移動方法 | 主な特徴 |
|---|---|
| ずりばい | お腹を床につけ、腕や脚で進む |
| 四つ這い | 手のひらと膝で体幹を浮かせて進む |
| 高ばい | 膝を浮かせ、手と足で進む |
| お尻歩き | 座った姿勢でお尻をずらして進む |
| 寝返り移動 | 連続して転がり、目的の場所へ近づく |
国内調査の「はいはい」は、はって移動できるかを保護者が回答したものです。そのため、「四つ這いを何メートルできれば完成」といった厳密な判定ではありません。
WHOの追跡研究では、816人のうち35人、4.3%が手と膝による四つ這いを示しませんでした。四つ這いを飛ばしたという一点だけで、異常や将来の学習上の問題が決まるわけではありません。
ずりばいで自由に動けるため四つ這いを急がない子や、移動よりつかまり立ちに関心を示す子もいます。どの形で移動するかだけでなく、左右の手足を使い、自分から物や人へ近づこうとしているかを見ることが大切です。
6. つかまり立ちとひとり歩きの目安
つかまり立ちは、家具などにつかまり、自分で立ち上がる動きです。大人が立たせた状態を短時間保つこととは区別します。
初めは腕の力で体を引き上げ、両脚を突っ張るように立つことがあります。慣れると片膝を立て、脚へ体重を移して立ち上がるようになります。横へ伝い歩きをしたり、いったん座って床へ戻れたりすることも、立位の発達に含まれます。
ひとり歩きは数歩だけの場合から始まり、転びながら距離が伸びていきます。WHOの研究でも到達時期には8.2〜17.6か月の幅があり、1歳の誕生日までに歩くことが全員の基準ではありません。
歩き始めの早さだけを促すより、床で向きを変える、しゃがむ、立ち直るなど、さまざまな姿勢を経験できる環境の方が重要です。歩行器を使えば発達が早まるとは限らず、段差や階段からの転落にも注意が必要です。
7. ハイハイしないときは何を見ればよい?
「10か月なのにハイハイしない」と心配なときは、動作一つではなく、次の項目を組み合わせて見ます。
個人差として見られることがある様子
- ずりばい、寝返り、お尻歩きなど別の方法で移動している
- 安定して座り、両手でおもちゃを扱える
- 左右の手足をおおむね同じように使う
- 物を取るために姿勢を変えようとする
- 支えがあれば脚へ体重をかけられる
- 人や物に興味を示し、声や音へ反応する
専門家に確認したい様子
- 片腕や片脚をほとんど使わない
- 片脚を引きずるなど、移動の左右差が強い
- 座位が安定せず、手を離すとすぐに倒れる
- 脚へ体重をかけようとしない
- 体が極端に硬い、または力が入りにくい
- 反り返りが強く、姿勢を変えにくい
- 運動以外にも視線、音への反応、手の使い方などの心配がある
- 一度できていた動きができなくなった
「様子を見てよいか分からない」という保護者の感覚も、相談する十分な理由になります。普段の動きを短い動画に残すと、健診や診察で状況を伝えやすくなります。
8. 家庭でできる運動発達の支え方
発達を早めるための特別な訓練より、赤ちゃんが安全に体を動かせる時間を作ることが基本です。
- 起きていて大人が見守れる時間に床で遊ぶ
- 仰向け、横向き、うつ伏せなど複数の姿勢を経験させる
- おもちゃを左右から見せ、両方向へ向く機会を作る
- 手を伸ばせば届きそうな位置に興味のある物を置く
- 動きやすい服装にし、床を滑りにくくする
- ベビーチェアやバウンサーで同じ姿勢が続く時間を長くしすぎない
- 嫌がったら休み、短い床遊びを何度か繰り返す
うつ伏せ遊びは、赤ちゃんが起きていて、大人がそばで見守れるときだけ行います。最初は保護者の胸の上など安心しやすい場所で、短時間から始めても構いません。
腕を強く引いて寝返りを完成させる、膝を無理に曲げて四つ這いにする、歩けない時期に手を引いて長時間歩かせるといった練習は不要です。赤ちゃん自身が重心を動かすのを待ち、少し頑張れば届く環境を作ります。
9. 早産児は修正月齢で考える
予定日より早く生まれた赤ちゃんは、誕生日から数えた月齢だけで比べると、発達が遅く見えることがあります。成長や発達を考える際には、出産予定日から数える修正月齢が使われます。
修正月齢 = 出生後の月齢 − 予定日より早く生まれた期間
予定日より2か月早く生まれ、出生から6か月たっている場合、修正月齢はおおむね4か月です。こども家庭庁の小さく生まれた赤ちゃんの成長・発達でも、低出生体重児や早産児の発達を見る際に修正月齢を用いると説明されています。
いつまで修正月齢を使うかは、在胎週数、出生体重、出生後の経過によって異なります。退院時の説明や健診で、かかりつけ医と同じ基準を確認してください。
10. 寝返りや移動が始まる前に安全対策をする
赤ちゃんは、初めて寝返りをする日を予告してくれません。「まだ動かないから大丈夫」と考えず、早めに環境を見直します。
- ベッド、ソファ、おむつ替え台に一人で置かない
- ベビーベッドの柵は常に上げる
- 硬貨、ボタン電池、薬、アクセサリーなどを床に置かない
- 家具の転倒、引き出し、コード、コンセント、熱源を確認する
- 階段や危険な部屋への移動を安全柵などで防ぐ
- テーブルクロスや熱い飲み物を手の届く所に置かない
消費者庁の子どもの転落事故に関する注意喚起でも、0歳を中心に家具などからの転落事故が起き、頭をけがする例が多いとされています。一時的であっても、高さのある場所に寝かせないことが重要です。
眠るときは、寝返りの練習としてうつ伏せにせず、1歳になるまでは仰向けで寝かせ始めます。寝床は硬く平らにし、顔の周囲に枕、クッション、ぬいぐるみなどを置きません。安全な睡眠環境については、こども家庭庁の赤ちゃんが安全に眠れるようにでも確認できます。
11. 小児科や保健師へ相談したいサイン
次のような場合は、次の動作ができるまで待たず、乳幼児健診、かかりつけの小児科、自治体の保健師などへ相談してください。
- 一度できていた動きや反応を失った
- 手足の動きに明らかな左右差が続く
- 体が極端に硬い、または柔らかく支えにくい
- 強い反り返りや脚の交差が目立つ
- 月齢が進んでも首が安定しない
- 9〜10か月頃に支えなしの座位が難しい
- 物へ手を伸ばしたり、移動しようとしたりする様子が乏しい
- 視線が合いにくい、音への反応が乏しいなど、ほかの発達も気になる
- けいれん、意識や呼吸の異常、急な手足の動かしにくさがある
最後の項目のような急な異常は、通常の発達相談を待たず、速やかな受診が必要です。それ以外も、該当すれば必ず病気という意味ではありません。出生歴、体格、筋肉の緊張、視覚・聴覚、手指や対人面の発達などを含めて確認します。
受診時には、母子健康手帳、気になり始めた時期のメモ、普段の動きを撮影した動画が役立ちます。
12. よくある質問
Q. 生後3か月で寝返りしました。早すぎますか?
早い時期に転がる子もいます。最初は反り返りや勢いによる偶然の動きの場合もあります。機嫌や授乳に問題がなく、左右の手足を自然に使っているなら、多くは経過を見られます。転落防止と睡眠環境の見直しはすぐに行いましょう。
Q. 生後7か月で寝返りをしません。遅いのでしょうか?
国内調査では生後6〜7か月未満で97.6%ができると回答していますが、この数字だけで異常とは判断できません。首が安定しているか、横向きになるか、うつ伏せで上体を支えられるかなども確認します。前段階の動きが乏しい、左右差がある、保護者の心配が強い場合は小児科や健診で相談してください。
Q. 寝返りが片方だけでも大丈夫ですか?
習得直後は得意な方向があることも珍しくありません。反対側にも顔を向け、両手足を使っているかを見ます。常に同じ方向だけで、片腕や片脚を使いにくそうな状態が続く場合は動画を撮り、専門家へ相談しましょう。
Q. 10か月でハイハイしませんが、つかまり立ちはします。
四つ這いを飛ばす子はいます。安定して座り、左右の手足を使い、両脚へ体重をかけて立てるなら、その子なりの順序で進んでいる可能性があります。極端なつま先立ち、左右差、座位の不安定さがある場合は確認してもらいましょう。
Q. ずりばいが長くても問題ありませんか?
ずりばいで十分に移動できるため、四つ這いへの移行がゆっくりな子もいます。移動距離だけでなく、左右の手足の使い方、座位、つかまり立ちなど全体の変化を見ます。
Q. ハイハイをしないと運動能力や学習に影響しますか?
四つ這いをしないことだけで、将来の運動能力や読み書きの問題が決まるという十分な根拠はありません。ただし、四つ這いをしない背景に筋緊張や左右差などが隠れている場合はあるため、ほかの発達と合わせて判断します。
Q. 後ろ向きにしか進みません。
四つ這いの初期には、腕で床を押す力が強く、後ろへ下がることがあります。重心移動を覚える途中によく見られます。前方へ無理に引っ張らず、好きなおもちゃを少し前へ置いて見守りましょう。
Q. 発達が遅い気がします。次の健診まで待つべきですか?
待つ必要はありません。健診の時期以外でも、小児科や自治体の保健センターへ相談できます。「明確な異常は説明できないが、何となく気になる」という段階でも構いません。
13. まとめ
寝返りは生後4〜5か月頃、ひとり座りは生後7〜8か月頃、ハイハイは生後8〜9か月頃からできる子が半数を超えます。ただし、発達には幅があり、四つ這いをしないまま次の段階へ進む子もいます。
確認したいポイントは次の三つです。
- 月齢の数字だけでなく、少しずつ新しい動きが増えているか
- 左右の手足の使い方、姿勢、運動以外の反応も一緒に見る
- 後戻りや強い左右差があれば、早めに専門家へ相談する
できるようになった日や気になる動きを母子健康手帳へ記録し、必要に応じて動画も残しておきましょう。ほかの子との早さ比べより、その子自身の数週間前からの変化を見ることが、成長を理解する手がかりになります。