特定動物とは?一般家庭では飼えない?対象動物一覧と許可制度を解説
特定動物は、人の生命・身体・財産に害を加えるおそれがあるとして、動物愛護管理法に基づいて指定された動物とその交雑種です。
トラやクマだけでなく、サーバル、カラカル、ニホンザル、ヒクイドリ、ワニガメ、アミメニシキヘビ、コブラ、マムシなど、哺乳類・鳥類・爬虫類の約650種が対象になります。
2020年6月1日以降、一般家庭が新たにペットとして飼うことはできません。「頑丈なおりを用意して許可を取れば飼える」という制度ではなく、動物園での展示や試験研究など、法令上認められた目的がある場合に限って許可を申請できます。
許可が必要なペットではなく、ペット目的での新規飼育そのものが禁止されている動物です。
一方、カミツキガメのように外来生物法で規制される動物や、サソリ・毒グモのように特定動物リストには含まれない危険生物もいます。危険性と法律上の区分を分けて考えることが大切です。
1. 特定動物とはどのような動物か
特定動物とは、動物愛護管理法の正式名称である「動物の愛護及び管理に関する法律」に基づき、人の生命、身体または財産に害を加えるおそれがある動物として政令で指定された動物です。
対象となるのは、主に次の3つの分類です。
- 哺乳類
- 鳥類
- 爬虫類
- 指定された動物が交雑して生じた動物
環境省によると、トラ、クマ、ワニ、マムシなど約650種が対象です。詳しい種類は、環境省の特定動物リストに科・属・種の単位で掲載されています。
制度の目的は、珍しい動物の所有者を登録することではありません。脱走、咬傷、毒、締め付け、踏みつけなどによって、人や財産に重大な被害が生じることを防ぐための制度です。
そのため、対象になるかどうかは、次のような事情だけでは決まりません。
- 飼育個体がおとなしい
- 幼いころから人に慣れている
- 飼育経験が豊富である
- 動物の体がまだ小さい
- 自宅に広い部屋がある
同じ種類であれば、個体の性格や成長段階にかかわらず、原則として同じ規制を受けます。
2. 一般家庭ではペットとして飼えない
2019年に動物愛護管理法が改正され、2020年6月1日から、特定動物とその交雑種を愛玩目的などで飼養・保管することが禁止されました。
「愛玩目的」とは、簡単にいえば、家庭でペットや観賞動物として飼うことです。販売を行わず、自分だけで世話をする場合でも、ペット目的であれば新たに飼い始めることはできません。
| 飼育の目的・状況 | 原則的な扱い |
|---|---|
| 珍しいペットとして自宅で飼いたい | 不可 |
| 動画やSNSへの投稿を楽しむために飼いたい | 愛玩目的などに当たる可能性が高い |
| 動物園で展示する | 許可を受ければ可能な場合がある |
| 大学や研究施設で試験研究に使う | 許可を受ければ可能な場合がある |
| 獣医師が診療のため一時的に保管する | 条件により例外となる場合がある |
| 2020年以前から適法に飼っていた | 経過措置で継続できる場合がある |
重要なのは、個人だから一律に許可されないのではなく、ペットとして飼う目的が認められないという点です。個人が施設を頑丈にしただけでは、愛玩目的の禁止を回避できません。
2020年6月1日時点ですでに許可を受けて愛玩目的で飼っていた個体などは、経過措置によって継続飼養が認められる場合があります。ただし、対象は原則として当時から飼っている個体です。
経過措置があるからといって、次の行為が自由にできるわけではありません。
- 新しい個体を購入する
- 別の個体へ入れ替える
- 繁殖させて個体数を増やす
- 家族や知人へ自由に譲る
- 転居先で手続きなしに飼い続ける
従来から飼っている場合でも、許可証や個体の資料を用意し、管轄自治体に確認する必要があります。
3. 対象になる動物の代表例
対象動物は、一般名ではなく、科・属・種などの分類単位で指定されています。「大型動物はすべて対象」「毒がある動物はすべて対象」という単純な仕組みではありません。
| 分類 | 主な対象例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 霊長類 | ニホンザル、ヒヒ、マンドリル、チンパンジー、ゴリラ | 小型のサルでも指定されている場合がある |
| イヌ科 | オオカミ、コヨーテ、ジャッカル、リカオン | 通常の犬とディンゴはオオカミの指定から除かれる |
| ネコ科 | トラ、ライオン、ヒョウ、チーター、サーバル、カラカル | 大型ネコ科だけが対象とは限らない |
| クマ・ハイエナ | クマ科全種、ハイエナ科全種 | 飼育下で生まれた個体も対象 |
| 大型草食動物 | ゾウ、サイ、カバ、キリン、バイソン | 肉食性でなくても攻撃力や体格から指定される |
| 鳥類 | ヒクイドリ、イヌワシ、オオワシ、クマタカ、コンドル類 | タカの仲間すべてが対象ではない |
| カメ | ワニガメなど | カミツキガメは外来生物法側で規制される |
| トカゲ | コモドオオトカゲ、ハナブトオオトカゲ、ドクトカゲ類 | オオトカゲ科の全種が対象ではない |
| 大型ヘビ | アミメニシキヘビ、インドニシキヘビ、ボアコンストリクター、オオアナコンダ | ニシキヘビやボアの全種が対象ではない |
| 毒ヘビ | コブラ科全種、クサリヘビ科全種、ヤマカガシ属など | 種名ではなく科・属単位で指定される場合がある |
| ワニ | アリゲーター科、クロコダイル科、ガビアル科の全種 | ワニ目は広く対象になる |
ニホンザルは、環境省のリストでマカク属全種の指定に含まれます。ただし、特定外来生物であるタイワンザル、カニクイザル、アカゲザルは、制度の重複を避けるため除外されています。
また、一般に「タカ」と呼ばれる鳥のすべてが対象なのではありません。イヌワシ、オオワシ、クマタカなど、リストに掲載された大型猛禽類が対象です。
4. よく調べられる動物は対象になる?
名称が似ていても、適用される制度が異なる場合があります。代表的な動物を整理すると、次のようになります。
| 動物 | 特定動物か | 主な注意点 |
|---|---|---|
| サーバル | 対象 | 新たな愛玩目的の飼育は禁止 |
| カラカル | 対象 | ネコ科の指定種 |
| ニホンザル | 対象 | マカク属の指定に含まれる |
| オオカミ | 対象 | 犬とディンゴは指定から除外 |
| ワニガメ | 対象 | カミツキガメ科の指定に含まれる |
| カミツキガメ | 対象外 | 特定外来生物として別の法律で規制 |
| アミメニシキヘビ | 対象 | 大型のニシキヘビとして指定 |
| ボールパイソン | 対象外 | ただし飼育環境や自治体の規則は確認が必要 |
| ボアコンストリクター | 対象 | ボア科の指定種 |
| マムシ | 対象 | クサリヘビ科の指定に含まれる |
| ヤマカガシ | 対象 | ヤマカガシ属全種が指定 |
| コブラ類 | 対象 | コブラ科全種が指定 |
| サソリ | 対象外 | 種類によって外来生物法や輸入規制を確認 |
| タランチュラなどの毒グモ | 対象外 | 対象外でも安全という意味ではない |
この表は代表例であり、すべての品種名や流通名を網羅するものではありません。
生体販売では、同じ動物が和名、英名、学名、品種名、流通名で別々に表示されることがあります。購入前には、販売名だけでなく学名まで確認することが重要です。
5. サバンナキャットやウルフドッグなどの交雑種も注意
2020年6月1日から、指定された動物が交雑して生じた個体も規制対象に加わりました。
典型的な例は、次のような直接の交雑です。
特定動物 × 特定動物ではない動物
↓
直接生まれた交雑個体は対象
オオカミ × 犬
↓
ウルフドッグ
サーバル × イエネコ
↓
サバンナキャット
ただし、すべての世代を品種名だけで一律に判断できるわけではありません。
東京都は、交雑種同士の交配で生まれた子は原則として特定動物ではない一方、元となる動物が科や属の単位で指定されている場合には、複数世代にわたる交配でも対象になることがあると案内しています。詳しくは、東京都の特定動物規制に関する案内で確認できます。
そのため、次の情報が必要です。
- 親個体の種類と学名
- 何世代目の交雑個体か
- 血統書や繁殖証明書
- 輸入時の書類
- 販売者が示した親子関係の資料
「F2だから対象外」「オオカミの血が何%以下なら自由」といった単純な判断は避けてください。血統資料を管轄自治体へ提示し、購入や譲受けの前に確認するのが安全です。
6. 許可を受けられる目的と施設の条件
動物園での展示や試験研究など、法令で認められた目的で飼養・保管する場合は、動物の種類と飼養施設ごとに、都道府県知事または政令指定都市の長の許可が必要です。
許可を受けるには、少なくとも次のような安全対策が求められます。
- 動物の力に耐えられる強度の施設を設ける
- 扉、金網、ガラス、床、排水口などからの逸走を防ぐ
- 施設を定期的に点検する
- 第三者が容易に接触できないようにする
- 特定動物を飼養していることを示す標識を掲示する
- マイクロチップなどで個体を識別する
- 飼養が困難になった場合の対応方法を決める
鳥類では、マイクロチップのほか、脚環による個体識別が認められる場合があります。
原則として、許可を受けた特定飼養施設の外で自由に飼うことはできません。診療、移動、清掃、修繕などで施設外へ出す場合も、逸走防止や移動用施設などの条件を守る必要があります。
管轄区域外で飼養・保管する場合や、施設の所在地・構造、動物の種類・数などを変更する場合には、通知、届出または変更許可が必要になることがあります。
詳しい申請方法は、環境省の特定動物に関する案内と、飼養施設を管轄する自治体の窓口で確認してください。
無許可飼養、不正な手段による許可取得、必要な変更許可を受けない行為には刑事罰が設けられています。対象か判断できない段階で、先に購入や輸送を進めるべきではありません。
7. ミドリガメなどの特定外来生物とは何が違う?
特定動物と特定外来生物は、名称が似ていますが、根拠となる法律と規制の目的が異なります。
| 比較項目 | 特定動物 | 特定外来生物 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 動物愛護管理法 | 外来生物法 |
| 主な目的 | 人の生命・身体・財産への危害防止 | 生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害防止 |
| 主な対象 | 危険性を踏まえて指定された動物と交雑種 | 海外起源で被害を及ぼす、またはそのおそれがある生物 |
| 主な窓口 | 都道府県・政令指定都市 | 国の地方環境事務所など |
| ペット目的 | 2020年6月以降、新たな飼育は禁止 | 原則禁止だが、条件付特定外来生物には例外がある |
アカミミガメ、いわゆるミドリガメは特定動物ではありません。2023年6月1日から、アメリカザリガニとともに「条件付特定外来生物」に指定されています。
すでに家庭で飼っているアカミミガメは、許可や届出なしで飼い続けられます。一方、次の行為は原則として禁止されています。
- 野外へ放す
- 輸入する
- 販売する
- 購入する
- 販売や頒布を目的として飼育する
- 不特定または多数の人へ配る
無償で特定の相手に譲ることは可能ですが、相手が最後まで適切に飼えるかを確認する必要があります。詳しくは、環境省の条件付特定外来生物に関する案内を確認してください。
また、制度の重複を避けるため、タイワンザル、カニクイザル、アカゲザル、カミツキガメ、タイワンハブは特定動物リストから除かれ、外来生物法側で規制されています。
8. 対象外でも危険な生物はいる
特定動物リストは、世界中の危険生物をすべて掲載した一覧ではありません。
現行の対象は哺乳類・鳥類・爬虫類であり、魚類、両生類、昆虫、クモ、ムカデなどは、危険性があっても特定動物には指定されていません。
| 対象外となる主な例 | 注意点 |
|---|---|
| サメ、毒を持つ魚類 | 魚類は現行の特定動物リストに含まれない |
| シャチ | 哺乳類だが現行リストの指定対象ではない |
| クラゲ | 強い毒を持つ種類でも対象外 |
| スズメバチ | 昆虫は対象外 |
| ムカデ | 多足類は対象外 |
| サソリ | クモ形類は対象外 |
| 毒グモ | 特定動物ではないが、種類により別規制があり得る |
| ヒキガエル、ヤドクガエル | 両生類は対象外 |
特定動物ではないことは、安全であることや、自由に輸入・販売・飼育できることを意味しません。
対象外の生物にも、次のような法律や規則が関係する場合があります。
- 外来生物法
- 鳥獣保護管理法
- 種の保存法
- ワシントン条約に基づく輸出入規制
- 動物検疫や感染症に関する制度
- 都道府県や市区町村の条例
- 賃貸借契約や集合住宅の管理規約
たとえば、毒グモやサソリの一部は、特定動物でなくても特定外来生物に指定されている場合があります。「特定動物リストに名前がない」という理由だけで飼育可能と判断するのは危険です。
9. エキゾチックアニマルを迎える前の確認手順
珍しい動物を迎える前には、販売店の「許可不要です」という説明だけで判断せず、次の順番で確認してください。
-
標準和名と学名を確認する
通称や流通名だけでは、法令上の種類を特定できないことがあります。 -
親個体と交雑の有無を確認する
交雑種では、血統や世代によって判断が複雑になります。 -
特定動物リストを確認する
種名だけでなく、科や属の全種が指定されていないかも確認します。 -
外来生物法などの別制度を確認する
特定動物でなくても、特定外来生物などに該当する場合があります。 -
自治体の担当窓口へ問い合わせる
学名、親個体、飼育目的、入手経路、予定施設を伝えます。 -
寿命まで飼えるか検討する
成長後の大きさ、餌代、温度管理、診療できる獣医師、災害時の対応まで考えます。
確認は、購入契約や代金の支払い、輸送手配より前に行う必要があります。
法律上飼えないことが購入後に分かっても、野外へ放すことはできません。販売者へ返却できるとも限らず、本人だけでなく周囲の人や動物にも大きな負担が生じます。
10. よくある質問
Q. 頑丈なおりを作れば、個人でもトラやワニを飼えますか?
A. ペット目的で新たに飼うことはできません。施設が安全であることは許可条件の一部にすぎず、動物園での展示や試験研究など、認められた飼養目的が必要です。
Q. サーバルやカラカルは小型なので対象外ですか?
A. どちらも特定動物です。大型のライオンやトラだけでなく、中型のネコ科動物にも指定種があります。
Q. ニホンザルを捕まえて自宅で飼えますか?
A. ニホンザルは特定動物に含まれます。また、野生鳥獣の捕獲には鳥獣保護管理法も関係します。野生の個体を無断で捕まえて飼うことはできません。
Q. ワニガメとカミツキガメは同じ規制ですか?
A. 異なります。ワニガメは特定動物ですが、カミツキガメは特定外来生物として外来生物法で規制されています。
Q. ニシキヘビはすべて特定動物ですか?
A. すべてではありません。アミメニシキヘビ、インドニシキヘビ、アフリカニシキヘビなどの指定種が対象です。ボールパイソンなど、リストに含まれない種類もあります。
Q. サバンナキャットやウルフドッグは飼えますか?
A. 特定動物との直接の交雑個体は規制対象です。世代が進んだ個体は、親の種類や指定単位によって判断が異なる可能性があります。品種名や世代表示だけで決めず、血統資料を自治体へ提示してください。
Q. サソリやタランチュラは特定動物ですか?
A. 特定動物ではありません。ただし、種類によって外来生物法や輸入規制などの対象になる可能性があります。
Q. 2020年以前から飼っている個体はどうなりますか?
A. 施行前から適法に飼育し、必要な許可や手続きを行っていた個体は、経過措置によって継続できる場合があります。新しい個体の購入や繁殖まで認める制度ではありません。
Q. 対象か分からない場合はどこへ相談すればよいですか?
A. 飼養予定地を管轄する都道府県または政令指定都市の動物愛護管理担当部署が基本の窓口です。特定外来生物の可能性がある場合は、地方環境事務所にも確認してください。
11. 飼育や購入の前に公的なリストを確認しよう
特定動物は、人の生命・身体・財産への危害を防ぐため、動物愛護管理法で指定された危険な動物とその交雑種です。
重要な点を整理すると、次のようになります。
- トラ、クマ、サーバル、ニホンザル、ワニ、毒ヘビなど約650種が対象
- 2020年6月1日から、新たな愛玩目的での飼養は禁止
- 許可を取れば誰でもペットにできる制度ではない
- 動物園での展示や試験研究など、認められた目的が必要
- 動物の種類と飼養施設ごとに許可を受ける
- 特定動物との交雑個体も対象になり得る
- 特定外来生物とは法律と規制目的が異なる
- リストにない危険生物にも別の法律が適用される場合がある
エキゾチックアニマルは、販売名や見た目だけでは法的な区分を判断できません。学名、親個体、交雑世代、入手経路を確認し、購入・譲受け・輸送を進める前に、公的な最新リストと管轄自治体の判断を確認してください。