認知症は予防できる?Lancet最新報告の14リスク因子と脳の老化を遅らせる生活習慣
1. 結論:認知症は「完全に防ぐ」より「発症を遅らせる」と考える
認知症は、生活習慣だけで完全に防げる病気ではありません。年齢、遺伝、脳の病気、血管の状態、社会環境など、複数の要因が重なって起こります。
ただし、現在の研究では、一部の認知症は生活習慣や環境を整えることで、発症を遅らせたり、リスクを下げたりできる可能性があると考えられています。
医学誌『The Lancet』の認知症委員会は、2020年に12の修正可能なリスク因子を示し、世界の認知症の約40%が予防または遅延可能と推定しました。さらに2024年版では、LDLコレステロール高値と視力低下が追加され、14因子で約45%が予防または遅延可能と報告されています。
ここで大切なのは、「これをすれば絶対に認知症にならない」という話ではないことです。認知症予防とは、脳を若返らせる魔法ではなく、脳と血管を傷つける要因を減らし、認知機能の低下をできるだけ遅らせる生活設計です。
この記事でわかることは、次の5つです。
- 認知症はどこまで予防できるのか
- Lancetが示した14のリスク因子とは何か
- 40代・50代から優先すべき生活習慣
- 脳トレやサプリに頼りすぎてはいけない理由
- 今日からできる現実的な予防行動
なお、この記事は認知症の診断や治療を目的としたものではありません。物忘れ、判断力の低下、生活上の困りごとが続く場合は、自己判断せず、かかりつけ医、もの忘れ外来、地域包括支援センターなどに相談してください。
2. なぜ今、認知症予防が重要なのか
認知症は、もはや一部の高齢者だけの問題ではありません。高齢化が進む日本では、本人の生活、家族の介護、医療費、働き方、資産管理、地域づくりにまで関わる大きな社会課題になっています。
世界保健機関(WHO)は、2021年時点で世界に約5,700万人の認知症の人がいると報告しています。また、毎年約1,000万人の新規発症があるとされています。
日本でも、認知症と軽度認知障害(MCI)の人数は今後さらに増えると見込まれています。厚生労働省関連の将来推計では、65歳以上の認知症高齢者数は2022年に約443万人、2040年には約584万人になると推計されています。MCIも2040年には約613万人と見込まれています。
| 年 | 認知症高齢者数の推計 | MCI高齢者数の推計 |
|---|---|---|
| 2022年 | 約443万人 | 約559万人 |
| 2025年 | 約472万人 | 約564万人 |
| 2030年 | 約523万人 | 約593万人 |
| 2040年 | 約584万人 | 約613万人 |
MCIとは、もの忘れなどの認知機能低下があるものの、日常生活はおおむね自立しており、認知症とは診断されない状態です。すべてのMCIが認知症に進むわけではありませんが、早い段階で生活習慣や健康状態を見直す重要なサインになります。
認知症予防が重要なのは、「高齢になってからの問題」ではないからです。血圧、血糖、脂質、聴力、視力、運動、睡眠、社会参加、学習習慣は、何十年もかけて脳に影響します。
特に40代・50代は、まだ認知症を遠い話だと感じやすい時期です。しかし、この時期の高血圧、肥満、脂質異常、運動不足、過度な飲酒を放置すると、将来の脳と血管に負担が積み重なる可能性があります。
3. そもそも認知症とは何か
認知症とは、記憶力、判断力、注意力、言語能力、計画力などが低下し、日常生活に支障が出る状態の総称です。
「認知症」という一つの病気があるというより、さまざまな脳の病気や障害によって起こる状態と考えると理解しやすくなります。
代表的な種類には、次のようなものがあります。
| 種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| アルツハイマー型認知症 | 記憶障害から始まることが多く、最も多いタイプ |
| 血管性認知症 | 脳梗塞や脳出血など、脳血管の障害と関係する |
| レビー小体型認知症 | 幻視、睡眠中の異常行動、パーキンソン症状などが見られることがある |
| 前頭側頭型認知症 | 性格変化、社会的行動の変化、言語障害などが目立つことがある |
WHOは、アルツハイマー病が認知症の60〜70%に関与すると説明しています。
ただし、物忘れがあるからといって、すぐに認知症とは限りません。睡眠不足、強いストレス、うつ、薬の副作用、聴力低下、甲状腺機能の異常、ビタミン不足などでも、認知機能が落ちたように見えることがあります。
特に注意したいのは、次のような状態です。
- 同じ質問を何度も繰り返す
- 予定や約束を頻繁に忘れる
- 慣れた道で迷う
- 金銭管理や服薬管理が難しくなる
- 料理や仕事の段取りが急に苦手になる
- 性格や行動が大きく変わる
- 家族や同僚が明らかな変化に気づく
こうした変化が続く場合は、「年齢のせい」と決めつけず、早めに相談することが大切です。
4. Lancetが示した14のリスク因子
Lancet Commissionは、認知症に関係する修正可能なリスク因子を、人生の時期ごとに整理しています。
2020年版では12因子でしたが、2024年版では2つ追加され、現在は14因子として理解するのがより正確です。
| 人生の時期 | リスク因子 | 予防の方向性 |
|---|---|---|
| 若年期 | 低い教育歴 | 学習機会を増やす |
| 中年期 | 高血圧 | 血圧を管理する |
| 中年期 | 聴力低下 | 聴覚ケア、補聴器の検討 |
| 中年期 | LDLコレステロール高値 | 脂質管理、食事・運動・必要時の治療 |
| 中年期 | 肥満 | 体重、食事、運動を整える |
| 中年期 | 過度の飲酒 | 飲酒量を減らす |
| 中年期 | 頭部外傷 | 転倒・事故・スポーツ外傷を防ぐ |
| 高齢期 | 喫煙 | 禁煙する |
| 高齢期 | うつ | 早めに相談・治療する |
| 高齢期 | 社会的孤立 | 人との接点を保つ |
| 高齢期 | 運動不足 | 身体活動を増やす |
| 高齢期 | 糖尿病 | 血糖を管理する |
| 高齢期 | 大気汚染 | 環境リスクを減らす |
| 高齢期 | 視力低下 | 眼科受診、視覚ケア |
このリストの重要な点は、認知症予防を「脳トレ」だけに閉じ込めていないことです。
血圧、聴力、脂質、視力、教育、運動、社会参加、空気環境まで含めて、脳を守る条件を人生全体で考えています。
つまり、認知症予防は「高齢者になってから急に始めるもの」ではありません。子どもの頃の教育機会、中年期の生活習慣病対策、高齢期の孤立予防まで含む、長期的な健康戦略です。
5. 40代・50代が特に優先したいリスク対策
認知症は高齢期に診断されることが多い一方で、脳や血管への負担は中年期から蓄積します。そのため、40代・50代のうちに次のリスクを見直すことは非常に重要です。
高血圧を放置しない
高血圧は、脳の細い血管に長期的な負担をかけます。脳梗塞や小さな血管障害が積み重なると、認知機能低下のリスクが高まります。
健康診断で「少し高め」と言われても、症状がないため放置されがちです。しかし、脳にとっては静かなダメージになり得ます。
まずは家庭血圧を測る、減塩する、運動する、睡眠を整える、必要に応じて医師に相談することが大切です。
聴力低下を年齢のせいにしない
聴力低下は、認知症リスクと強く関連する因子として注目されています。
聞こえにくくなると、会話が減り、人との交流が減りやすくなります。また、聞き取るために脳の認知資源を多く使うため、会話そのものが疲れる活動になってしまいます。
次のようなサインがある場合は、耳鼻科で相談する価値があります。
- テレビの音量が大きくなった
- 聞き返しが増えた
- 雑音の中で会話が聞き取りにくい
- 電話が苦手になった
- 会話の場を避けるようになった
補聴器を使えば必ず認知症を防げるという単純な話ではありません。ただ、聞こえを改善し、会話や社会参加を保つことは、脳の健康にとって重要です。
LDLコレステロールを確認する
2024年版のLancet Commissionで新たに追加されたのが、LDLコレステロール高値です。
LDLコレステロールは、いわゆる「悪玉コレステロール」と呼ばれることがあります。高い状態が続くと、動脈硬化のリスクが上がり、脳や心臓の血管に負担がかかります。
健康診断の結果でLDLコレステロールが高い場合は、放置せず、食事、運動、体重管理、必要に応じた治療について医師に相談しましょう。
肥満と糖尿病を別々に考えない
肥満は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群などとつながります。これらはすべて、脳の血管や代謝に影響します。
重要なのは、体重だけを気にすることではありません。腹囲、血圧、血糖、脂質、睡眠の質をまとめて見直すことです。
過度な飲酒を減らす
飲酒量が多い状態が続くと、脳、肝臓、睡眠、血圧、気分に悪影響を与えます。
特に注意したいのは、次のような飲み方です。
- 毎日多量に飲む
- 寝るために飲む
- ストレス解消が飲酒だけになっている
- 飲まない日を作れない
- 飲酒後に記憶が抜けることがある
認知症予防の観点では、いきなり完璧を目指す必要はありません。まずは飲酒量を記録し、休肝日を作り、飲酒以外のリラックス方法を増やすことから始めるのが現実的です。
6. 運動・食事・睡眠は脳の土台をつくる
認知症予防というと、特別な脳トレや高価なサプリを思い浮かべる人もいます。しかし、脳は体の一部です。基本になるのは、運動、食事、睡眠です。
運動:座りっぱなしを減らす
運動は、血流、血圧、血糖、脂質、睡眠、気分に関わります。ウォーキング、軽い筋トレ、サイクリング、水泳、ダンス、ラジオ体操など、続けられるもので構いません。
理想を高くしすぎるより、まずは次のような行動が有効です。
- 1日10分歩く
- エレベーターではなく階段を使う
- 30〜60分に一度立ち上がる
- 買い物を徒歩にする
- 週2回だけ軽い筋トレをする
運動の目的は、アスリートのような体を作ることではありません。血管、筋肉、代謝、睡眠、気分を整え、脳に良い環境を作ることです。
食事:単品ではなく食事パターンで考える
「認知症予防に効く食べ物は何か」が気になる人は多いですが、特定の食品だけで予防できるわけではありません。
研究でよく注目されるのは、地中海食やDASH食に近い食事パターンです。共通点は、野菜、果物、豆類、魚、全粒穀物、ナッツを多くし、過剰な糖分、加工食品、飽和脂肪を控えることです。
日本の食生活で実践するなら、次のような形が現実的です。
| 増やしたいもの | 例 |
|---|---|
| 野菜 | 緑黄色野菜、きのこ、海藻 |
| たんぱく質 | 魚、大豆製品、卵、鶏肉 |
| 主食 | 玄米、雑穀米、オートミール |
| 脂質 | 青魚、ナッツ、オリーブオイル |
| 控えたいもの | 菓子パン、清涼飲料、加工肉、揚げ物の過食 |
大切なのは、「これだけ食べれば安心」と考えないことです。食事は、血圧、血糖、脂質、体重、腸内環境、睡眠とつながっています。
睡眠:脳を休ませる時間を削らない
睡眠は、記憶の整理、感情の安定、血糖コントロール、食欲、免疫に関わります。慢性的な睡眠不足は、脳だけでなく全身の健康に影響します。
特に注意したいのは、睡眠時間が短いだけでなく、睡眠の質が悪い場合です。
- 大きないびきがある
- 寝ても疲れが取れない
- 日中に強い眠気がある
- 夜中に何度も目が覚める
- 寝る直前までスマホを見ている
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、医療機関で相談することも大切です。
7. 脳トレより大切な「学び続ける習慣」
認知症予防というと、パズル、計算ドリル、記憶ゲームなどを思い浮かべる人が多いかもしれません。これらは楽しく続けられるなら意味がありますが、脳トレだけで他のリスクを帳消しにできるわけではありません。
より重要なのは、少し難しいことを学び続ける習慣です。
たとえば、次のような活動は、記憶、注意、理解、判断、言語化、計画、振り返りを同時に使います。
- 英語を学ぶ
- 資格試験に挑戦する
- 楽器を始める
- 読書メモを書く
- 新しい料理を覚える
- スマホやPCの新機能を使ってみる
- 人に説明する前提で学ぶ
- オンライン講座や勉強会に参加する
学習は、単なる知識の蓄積ではありません。新しい情報を理解し、記憶し、使い、間違いを修正する過程そのものが、脳を広く使う活動です。
また、学習が人との交流につながると、社会的孤立の予防にもなります。誰かと一緒に学ぶ、質問する、教える、成果を共有するという行動は、自然な認知刺激になります。
英語や資格の勉強そのものが認知症を直接予防すると断定することはできません。ただ、学び続ける環境を持つことは、日常的に脳を使うきっかけになります。
たとえばDailyDropsは、英会話・TOEIC・資格・受験勉強などを完全無料で利用でき、学習行動がユーザーに還元される共益型プラットフォームです。認知症予防を目的に過度な期待をする必要はありませんが、日々の学び直しを始める選択肢の一つとしては相性があります。
大切なのは、「もう年だから覚えられない」と決めつけないことです。何歳からでも、脳に新しい課題を与えることはできます。
8. 予防と共生は対立しない
認知症予防を語るときに、注意しなければならないことがあります。それは、認知症を「なってはいけないもの」とだけ表現しすぎないことです。
日本では2024年に、共生社会の実現を推進するための認知症基本法が施行されました。政府広報でも、認知症は年齢にかかわらず誰もがなり得るものであり、認知症になってからも本人の意思が尊重され、自分らしく暮らし続けられる社会が重要だと説明されています。
つまり、これからの認知症対策には2つの視点が必要です。
- 発症を遅らせるために、変えられるリスクを減らす
- 認知症になっても、尊厳と希望を持って暮らせる社会をつくる
予防は大切です。しかし、認知症になった人や家族を責めるためのものではありません。
生活習慣を整えても、認知症になる人はいます。遺伝、加齢、病気、社会環境など、自分では変えられない要因もあります。
だからこそ、「予防できなかったから自己責任」と考えるのではなく、できる範囲でリスクを減らしつつ、認知症になっても支え合える社会を作ることが重要です。
9. 誤解されやすいポイント
認知症予防には、誤解や過剰な宣伝も多くあります。ここを間違えると、不安をあおる情報や高額な商品に流されやすくなります。
特定の食品だけで予防できるわけではない
「この食品を食べれば認知症にならない」という単純な話ではありません。青魚、野菜、ナッツ、緑茶、コーヒーなどが健康的な食生活の一部として役立つ可能性はありますが、単品の効果を過大評価しないことが大切です。
認知症予防では、食事全体、運動、睡眠、血圧管理、社会参加を組み合わせて考える必要があります。
サプリだけで予防できるわけではない
サプリメントは、栄養不足がある場合に役立つことがあります。しかし、健康な人が特定のサプリを飲めば認知症を防げるという強い根拠は限定的です。
サプリにお金をかける前に、健康診断、食事、運動、睡眠、禁煙、飲酒量の見直しを優先する方が合理的です。
脳トレだけで十分ではない
脳トレアプリやパズルは、楽しみながら続けられるなら良い活動です。ただし、血圧、糖尿病、聴力低下、脂質異常、喫煙、孤立といったリスクを放置したまま、脳トレだけで予防できるわけではありません。
脳は体の一部です。脳だけを鍛えるのではなく、血管、代謝、耳、目、心、人間関係も含めて整えることが大切です。
遺伝があるから無駄、ではない
家族に認知症の人がいると、不安になるのは自然なことです。家族歴や遺伝的要因はリスクに関係することがあります。
しかし、認知症は遺伝だけで決まるものではありません。血圧、運動、睡眠、喫煙、飲酒、糖尿病、聴力、社会参加など、変えられる要因もあります。
家族歴がある人ほど、「変えられる部分」に早めに取り組む価値があります。
10. 今日からできる実践チェックリスト
認知症予防は、完璧を目指すよりも、できることを一つずつ増やす方が続きます。次のチェックリストを使って、今の生活を見直してみましょう。
| 項目 | チェック |
|---|---|
| 健康診断で血圧・血糖・脂質を確認している | □ |
| LDLコレステロールの数値を把握している | □ |
| 週に数回、体を動かしている | □ |
| 座りっぱなしの時間を途中で区切っている | □ |
| 聞こえにくさを放置していない | □ |
| 視力低下や目の不調を放置していない | □ |
| 睡眠不足が慢性化していない | □ |
| 喫煙している場合、禁煙を検討している | □ |
| 飲酒量を把握している | □ |
| 週に数回、人と会話している | □ |
| 新しいことを学ぶ習慣がある | □ |
| 気分の落ち込みを一人で抱え込んでいない | □ |
| 転倒や頭部外傷を避ける環境を整えている | □ |
最初の一歩としておすすめなのは、次の3つです。
- 健康診断の結果を見直す
- 1日10分でも歩く
- 新しいことを一つ学ぶ
この3つは、脳だけでなく、心臓、血管、代謝、睡眠、気分にも良い影響を与えやすい行動です。
11. よくある質問
Q1. 認知症は本当に予防できますか?
完全に予防できるとは言えません。ただし、Lancet Commissionは、修正可能なリスク因子を減らすことで、一部の認知症は予防または発症を遅らせられる可能性があると報告しています。現実的には「絶対に防ぐ」ではなく、「リスクを下げる」「発症を遅らせる」と考えるのが正確です。
Q2. 何歳から始めればいいですか?
早いほど有利ですが、何歳からでも意味があります。特に40代・50代は、高血圧、肥満、LDLコレステロール高値、聴力低下、過度の飲酒、運動不足を見直す重要な時期です。
Q3. 認知症予防に一番いい運動は何ですか?
特定の運動だけが最強というより、続けられる運動を選ぶことが大切です。ウォーキング、軽い筋トレ、サイクリング、水泳、ダンスなどが候補になります。座りっぱなしを減らすだけでも、最初の一歩になります。
Q4. 認知症予防に効果的な食べ物はありますか?
特定の食品だけで予防できるわけではありません。野菜、魚、豆類、全粒穀物、ナッツなどを増やし、糖分や加工食品を取りすぎない食事パターンが大切です。
Q5. 脳トレは認知症予防になりますか?
脳トレは、楽しみながら続けられるなら良い活動です。ただし、脳トレだけで十分ではありません。運動、血圧管理、睡眠、聴力ケア、社会参加、学習習慣と組み合わせることが重要です。
Q6. 補聴器は認知症予防に役立ちますか?
補聴器を使えば必ず認知症を防げるとは言えません。しかし、聞こえを改善し、会話や社会参加を保つことは、脳の健康にとって重要です。聞こえにくさを感じる場合は、耳鼻科で相談する価値があります。
Q7. 親が認知症だと、自分もなりやすいですか?
家族歴はリスクに関係することがあります。ただし、認知症は遺伝だけで決まるものではありません。血圧、血糖、脂質、運動、睡眠、喫煙、飲酒、社会参加など、変えられる要因も多くあります。
Q8. 物忘れと認知症の違いは何ですか?
加齢による物忘れでは、忘れたことを後で思い出せる場合があります。一方で、認知症では出来事そのものを忘れる、日常生活に支障が出る、判断や段取りが難しくなるなどの変化が見られることがあります。不安がある場合は、自己判断せず相談しましょう。
12. まとめ:脳を守る生活は、未来の自分への投資になる
認知症予防で大切なのは、不安になることではありません。今から変えられる要因に目を向けることです。
Lancet Commissionが示した14のリスク因子は、認知症を「年齢だから仕方ない」と片づけず、人生全体で脳の健康を守る視点を与えてくれます。
特に重要なのは、次の5つです。
- 血圧・血糖・脂質を管理する
- 運動不足を減らす
- 聴力・視力の低下を放置しない
- 人とのつながりを保つ
- 新しいことを学び続ける
認知症は、完全に避けられるものではありません。だからこそ、できることを淡々と積み重ねる価値があります。
今日10分歩くこと。健康診断の数値を確認すること。聞こえにくさを相談すること。久しぶりの人に連絡すること。新しい単語を一つ覚えること。
その小さな行動が、10年後、20年後の脳を守る土台になります。
脳の老化を止めることはできなくても、脳を大切に使い続けることはできます。予防は特別な人のものではなく、今日の生活の中から始められる習慣です。