解説を読んでもわからない原因は?前提知識の抜けを見つける勉強法
「解答解説を読んだのに、なぜそうなるのかわからない」「途中式の1行が飛んで見える」「答えを見れば何となく納得するのに、自分では解けない」——この状態は、勉強している人なら誰でも起こります。
結論から言うと、解説を読んでもわからない原因は、理解力の低さではなく、前提知識の抜けであることが多いです。
解説は、すべてをゼロから説明しているわけではありません。多くの場合、「この用語は知っているはず」「この公式は使えるはず」「この計算は追えるはず」という前提の上に書かれています。そのため、前提が1つ抜けているだけで、解説全体が急に難しく見えることがあります。
まず確認すべきなのは、次の4つです。
| 確認する場所 | 見るポイント |
|---|---|
| 用語 | 解説に出てくる言葉を自分の言葉で説明できるか |
| 公式・知識 | その公式や文法を、なぜ使うのか説明できるか |
| 手順 | 途中式や選択肢の判断を1行ずつ追えるか |
| 条件 | 問題文の条件を正しく拾えているか |
解説がわからないときに、ただ解説を丸写ししたり、答えだけ覚えたりしても、次の問題でまた止まりやすくなります。大切なのは、「この問題がわからない」と大きく捉えるのではなく、解説のどの部分で止まったのかを見つけることです。
この記事では、解答解説が理解できない原因、前提知識の抜けを見つける方法、どの単元まで戻ればよいか、質問の仕方、復習の進め方まで具体的に解説します。
1. 解説を読んでもわからないのは珍しいことではない
解説を読んでも理解できないと、「自分は向いていないのでは」「基礎がなさすぎるのでは」と不安になるかもしれません。
しかし、解説がわからない状態は、勉強の失敗ではありません。むしろ、今の自分に足りない前提を見つけるサインです。
たとえば、次のような経験はないでしょうか。
- 数学の解説で、途中式が急に飛んだように見える
- 英語の解説で「このthatは関係代名詞」と書かれていても、なぜそう判断するのかわからない
- 国語の解説で「本文の根拠はここ」と言われても、なぜその根拠になるのかわからない
- 資格試験の解説で、専門用語が多すぎて文章全体が読みにくい
- 解説を読んだ直後はわかった気がするのに、翌日には解けない
これらはすべて、「解説を読む力」だけの問題ではありません。解説を理解するには、その前に必要な語彙・知識・考え方・基本手順が必要です。
解説は、地図のようなものです。地図があっても、現在地がわからなければ目的地まで進めません。勉強でも同じで、解説を読む前に「自分がどこで止まっているのか」を確認する必要があります。
2. 解答解説がわからない主な原因
解答解説が理解できない原因は、主に次の5つに分けられます。
| 状態 | 原因の可能性 | まずやること |
|---|---|---|
| 用語の意味がわからない | 前提用語の不足 | 教科書・用語集で確認する |
| 途中式が追えない | 計算・変形手順の不足 | 1行ずつ自分で補う |
| なぜその公式を使うかわからない | 公式の意味理解が浅い | 基本例題に戻る |
| 正解の根拠がわからない | 判断基準が曖昧 | 選択肢や条件を比較する |
| 読めばわかるが自力で解けない | 再現練習が不足 | 解説を閉じて解き直す |
特に多いのは、「解説の文章は読めるが、判断の理由がわからない」という状態です。
たとえば、数学の解説に「ここで平方完成する」と書かれていたとします。平方完成の手順だけを覚えていても、「なぜ今この形に変えるのか」がわからなければ、次の問題で同じ判断はできません。
英語でも同じです。「この文は分詞構文」と解説されても、分詞構文がどんな役割を持ち、文のどこを見れば判断できるのかが曖昧だと、解説はただのラベル貼りに見えてしまいます。
解説がわからないときは、まず「自分は何を知らないのか」を細かく分けることが大切です。
3. 前提知識が足りないときに起きるサイン
前提知識が足りないときには、いくつかのわかりやすいサインがあります。
| サイン | 何が起きているか |
|---|---|
| 解説の最初からわからない | 単元全体の前提が不足している可能性がある |
| 「よって」「したがって」の後が急にわからない | 論理のつながりを追えていない |
| 途中式の変形が飛んで見える | 計算手順や公式の扱いが不安定 |
| 解説中の用語を説明できない | 語彙・専門用語が不足している |
| 解説を見れば納得するが再現できない | 理解よりも認識に近い状態 |
| 似た問題になると解けない | 解法の条件や使いどころが定着していない |
ここで注意したいのは、「解説を読めた」と「自力で使える」は違うということです。
解説を読んでいるときは、答えの流れがすでに目の前にあります。そのため、理解したように感じやすくなります。しかし、実際の試験や演習では、自分で最初の一手を選ばなければいけません。
学習研究では、ただ読み返すよりも、自分で思い出す練習の有効性が指摘されています。たとえば、Dunloskyらのレビューでは、練習テストと分散学習は、多くの学習者にとって効果が高い学習法として評価されています。
つまり、解説を理解できるようになるには、読むだけでなく、解説を閉じて再現する練習が必要です。
4. まず確認すべきは「用語・公式・手順・条件」
解説がわからないときは、いきなり「この単元全部が苦手だ」と考える必要はありません。まずは、つまずきの原因を4つに分類します。
| 分類 | チェック質問 | 例 |
|---|---|---|
| 用語 | この言葉を説明できるか | 係数、主語、控除、酸化 |
| 公式・知識 | なぜこれを使うのか説明できるか | 二次方程式、受動態、需要と供給 |
| 手順 | 1行前から1行後への流れを追えるか | 式変形、選択肢の消去、資料の読み取り |
| 条件 | 問題文の条件を拾えているか | ただし、少なくとも、〜でない、すべて |
たとえば、解説の中に「よって、この2つの三角形は相似である」と書かれていて止まったとします。この場合、原因は1つとは限りません。
| つまずき方 | 戻る場所 |
|---|---|
| 相似の意味がわからない | 相似の定義 |
| 相似条件が出てこない | 相似条件の基本 |
| どの角が等しいかわからない | 図形の角度・対応関係 |
| 比の計算で詰まる | 比の基本計算 |
同じ「相似がわからない」でも、戻る場所は人によって違います。
だからこそ、解説を読むときは「全部わからない」で終わらせず、どの分類で止まっているのかを見つけることが重要です。
5. どの単元まで戻ればいいかを判断する方法
前提知識が抜けているとわかっても、「どこまで戻ればいいのか」がわからない人は多いはずです。
戻りすぎると時間がかかります。一方で、戻らなすぎるとまた同じところでつまずきます。
判断基準は、次のように考えるとわかりやすいです。
| 今の状態 | 戻る深さ |
|---|---|
| 用語だけが曖昧 | 用語の説明・教科書の該当部分 |
| 公式は見たことがあるが使い方が曖昧 | 基本例題 |
| 解説の方針が立たない | 典型問題 |
| 解説の最初から理解できない | 前の単元 |
| 複数の用語がわからない | さらに前の章や基礎教材 |
ポイントは、「説明できるか」で判断することです。
たとえば英語で、受動態の解説がわからない場合を考えます。次の順番で確認してみてください。
| 確認する順番 | チェック内容 |
|---|---|
| 1 | 主語と動詞を見つけられるか |
| 2 | 能動態と受動態の違いを説明できるか |
| 3 | be動詞 + 過去分詞 の形を見抜けるか |
| 4 | 誰が何をされているか言えるか |
| 5 | 元の問題の解説に戻れるか |
もし1で止まるなら、受動態より前に、文の基本構造に戻る必要があります。3で止まるなら、受動態の形を確認すれば十分かもしれません。
数学でも同じです。二次関数の最大値・最小値がわからないとき、必ずしも二次関数全体をやり直す必要はありません。平方完成の意味だけが抜けているなら、そこに絞って戻ればよいのです。
戻ることは遠回りではありません。前提が抜けたまま解説を何度も読む方が、結果的には時間がかかります。
6. 解説を読んで「わかったつもり」になる原因
解説を読んだ直後はわかった気がするのに、自力で解けない。この状態は非常によくあります。
原因は、解説を読んでいるときには、次の情報がすでに与えられているからです。
- どの公式を使うか
- どこに注目するか
- どの順番で考えるか
- どの選択肢を消すか
- どの条件が重要か
つまり、解説を読む行為は、かなり助けられた状態で問題を追っていることになります。
一方、自力で解くときには、これらを自分で判断しなければいけません。ここに大きな差があります。
「わかったつもり」を防ぐには、解説を読んだあとに次の3つを行うのが効果的です。
| 方法 | やること |
|---|---|
| 再現 | 解説を閉じて、もう一度最初から解く |
| 言語化 | なぜその方法を使うのか声に出して説明する |
| 時間差復習 | 翌日や数日後にもう一度解く |
特に重要なのは、解説を閉じることです。
解説を見ながらなら解けるのに、閉じると手が止まる場合、その問題はまだ「読める」段階であり、「使える」段階ではありません。
7. 解説を理解できないときの読み方
解説を読むときは、最初から最後まで流し読みしない方がよいです。おすすめは、次の3回読みです。
| 回数 | 目的 | やること |
|---|---|---|
| 1回目 | 全体像をつかむ | 何を求める問題か、方針だけ見る |
| 2回目 | 止まる場所を探す | わからない行に印をつける |
| 3回目 | 再現する | 解説を閉じて自分で書く |
2回目では、わからない部分にただ線を引くだけでなく、原因を書き込みます。
たとえば、次のようにメモします。
| メモ | 意味 |
|---|---|
| 用語不明 | 言葉の意味がわからない |
| なぜ? | 判断理由がわからない |
| 変形不明 | 途中式が追えない |
| 条件見落とし | 問題文の条件を拾えていない |
| 再現不可 | 読めるが自分では解けない |
このように印をつけると、復習すべき場所が明確になります。
また、解説を読むときには次の質問を自分に投げかけてください。
- この問題は何を聞いているか
- 最初に注目すべき条件はどれか
- なぜこの公式・文法・知識を使うのか
- 解説の1行前と1行後はどうつながっているか
- 同じ考え方で解ける似た問題はあるか
- 解説を閉じても再現できるか
解説は、読むだけで終わらせるものではありません。自分の理解の穴を見つけるための材料として使うことが大切です。
8. 科目別:前提知識の抜けが起きやすい場所
前提知識の抜けは、科目によって出やすい場所が違います。
| 科目 | 抜けやすい前提 | 例 |
|---|---|---|
| 数学 | 計算、公式の意味、典型パターン | 因数分解が曖昧で二次方程式が詰まる |
| 英語 | 品詞、文型、文法用語 | 主語・動詞が取れず長文解説が読めない |
| 国語 | 接続語、指示語、本文根拠 | なぜその選択肢が正解か説明できない |
| 理科 | 用語、単位、現象の因果 | 公式は覚えたが何を表すか不明 |
| 社会 | 時代背景、因果関係、用語 | 出来事の順番だけ覚えて理由がわからない |
| 資格試験 | 制度の全体像、専門用語 | 解説の言葉が難しくて読みにくい |
数学では、解説がわからない原因が「計算力」ではなく、「どの形に持っていくと解けるか」という方針にあることがよくあります。公式を覚えるだけでなく、公式を使う条件まで確認しましょう。
英語では、単語の意味だけでなく、品詞や文型が前提になります。長文解説がわからない場合、いきなり長文を読み直すより、1文の構造を取る練習に戻る方が効果的なことがあります。
国語では、「なんとなくこの選択肢が正しそう」で終わると伸びにくくなります。解説を読むときは、正解の根拠だけでなく、不正解の選択肢がなぜ違うのかも確認しましょう。
資格試験では、専門用語が連鎖します。1つの用語が曖昧なだけで、解説全体が読みにくくなることがあります。初学者は、問題演習と並行して頻出用語を整理することが大切です。
9. 質問するときは「どこがわからないか」を分ける
解説を読んでもわからないとき、先生・友人・AI・学習サービスに質問するのは有効です。ただし、「全部わかりません」と聞くと、相手もどこから説明すればよいか迷います。
質問するときは、次のように分けると伝わりやすくなります。
| 質問の仕方 | 伝わりやすさ |
|---|---|
| この問題がわかりません | 何に困っているか不明 |
| 解説の2行目から3行目で、なぜこの式になるのかわかりません | 具体的で答えやすい |
| 公式は覚えていますが、なぜここで使うのかわかりません | 前提の抜けが見えやすい |
| この選択肢が違う理由はわかりますが、正解を選ぶ根拠がわかりません | 判断の迷いが明確 |
おすすめの質問テンプレートは、次の形です。
この問題の解説の○行目まではわかります。ただ、○行目でなぜ○○になるのかがわかりません。自分では△△だと思ったのですが、どこで考え方がずれていますか?
この形で質問すると、自分の理解できている部分と、止まっている部分がはっきりします。
質問前に、自分の仮説を書くのも効果的です。
- 自分ではこう考えた
- しかし解説では違う方法を使っている
- どちらの考え方が間違っているのか知りたい
このように聞けると、ただ答えをもらうだけでなく、自分の考え方を修正できます。
10. 解説を読んでもわからないときにやってはいけない勉強法
解説がわからないときに、次のような勉強を続けると、理解が浅いまま進みやすくなります。
| NG行動 | なぜ危険か |
|---|---|
| 解説を丸写しする | 手を動かしていても理解したとは限らない |
| 答えだけ覚える | 少し形が変わると解けない |
| すぐ動画だけを見る | 受け身になり、自分のつまずきが見えにくい |
| 解説を何度も読むだけ | 思い出す練習が不足する |
| 難しい問題を増やす | 前提が抜けたまま負荷が上がる |
もちろん、解説を書き写すことや動画を見ることが常に悪いわけではありません。問題は、それで「わかった気分」になって終わることです。
特に注意したいのは、答えだけ覚える勉強です。
答えを覚えることが完全に無意味なわけではありません。初学者が型を知るために、解答の流れをまねることはあります。しかし、そこで終わると、初見問題に弱くなります。
覚えるなら、答えそのものではなく、次の3つを覚えるべきです。
- 最初にどこを見るか
- なぜその解法を選ぶか
- どの条件が決め手になるか
解説がわからないときほど、「答え」ではなく「判断理由」に注目しましょう。
11. 前提知識を埋める復習ルーティン
前提知識の抜けを見つけたら、次の流れで復習すると効率的です。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | わからなかった箇所を1つに絞る |
| 2 | 用語・公式・手順・条件のどれが原因か分類する |
| 3 | 教科書や基本教材で確認する |
| 4 | 基本例題を1問解く |
| 5 | 元の問題の解説に戻る |
| 6 | 解説を閉じて再現する |
| 7 | 翌日または数日後に解き直す |
ポイントは、復習する範囲を広げすぎないことです。
「この単元が苦手だから全部やり直そう」と考えると、時間がかかりすぎて続きません。まずは、今読んでいる解説を理解するために必要な前提だけを補いましょう。
復習記録を残すのもおすすめです。
| 記録する項目 | 例 |
|---|---|
| 問題 | 二次関数の最大値 |
| 止まった場所 | 平方完成の変形 |
| 抜けていた前提 | a(x-p)^2+q の形の意味 |
| 戻った教材 | 基本例題 |
| 次回確認日 | 3日後 |
こうした記録があると、「自分は応用が苦手」と大きく悩むのではなく、「公式の意味が曖昧なまま進みやすい」「問題文の条件を拾い忘れやすい」と具体的に見えてきます。
学習を続けるうえでは、自分がどこで止まったのかを残し、後で復習できる仕組みがあると便利です。DailyDropsは完全無料で利用でき、学習行動がユーザーに還元される共益型プラットフォームです。問題を解くだけでなく、つまずきや復習のきっかけを作る学習手段の一つとして活用できます。
12. よくある質問
Q. 解説を読んでもわからない問題は飛ばしてもいいですか?
試験直前や時間が限られている場合は、いったん飛ばしても構いません。ただし、復習時には「なぜわからなかったのか」を確認しましょう。単なる難問なのか、前提知識が抜けているのかで対応が変わります。
Q. どのくらい考えてから解説を見るべきですか?
基本問題なら3〜5分、応用問題なら10分程度を目安にするとよいです。何も方針が出ないまま長時間悩むより、解説で最初の一手を確認し、その後に自力で再現する方が効果的です。
Q. 解説を読んでわかるのに、自力で解けないのはなぜですか?
解説を読むことと、自分で解法を思い出すことは別の力だからです。読めばわかる状態から抜けるには、解説を閉じて解き直すこと、数日後にもう一度解くことが必要です。
Q. 解説が不親切な教材は使わない方がいいですか?
初学者には、途中式や考え方が丁寧な教材の方が向いています。ただし、ある程度学習が進むと、簡潔な解説から行間を補う力も必要になります。今の自分のレベルに合っているかで判断しましょう。
Q. 動画解説と文字の解説はどちらがいいですか?
最初の理解には動画が役立つことがあります。一方で、復習や確認には文字の解説が向いています。動画で流れをつかみ、文字の解説で止まった場所を確認し、最後に自力で解く流れがおすすめです。
Q. 前の単元に戻ると時間が足りなくなりませんか?
戻りすぎると時間はかかりますが、必要な前提だけに絞れば大きな遠回りにはなりません。前提が抜けたまま似た問題を大量に解く方が、結果的に非効率になることがあります。
Q. 解説を丸写しする勉強は意味がありませんか?
意味がないわけではありません。ただし、丸写しだけでは理解したかどうかがわかりません。写したあとに、解説を閉じて同じ流れを再現できるか確認することが重要です。
13. まとめ
解答解説を読んでもわからないとき、原因は「理解力がないから」ではなく、前提知識の抜けであることが多いです。
大切なのは、解説を何度も読むことではありません。次の流れで、自分がどこで止まっているのかを見つけることです。
- 解説のどの行で止まったのかを確認する
- 用語・公式・手順・条件のどれが原因か分類する
- 必要なところまで戻る
- 基本例題で確認する
- 元の問題に戻る
- 解説を閉じて再現する
- 数日後にもう一度解く
「解説を読んでもわからない」という瞬間は、勉強が止まったサインではありません。自分に足りない前提を見つけるチャンスです。
答えだけを覚える勉強から、つまずきの原因を見つける勉強へ。そこに切り替えられると、解説はただの答え合わせではなく、自分の弱点を教えてくれる地図になります。