こむら返り(足がつる)の原因は?夜中に多い理由・すぐできる治し方・受診目安
結論から言うと、こむら返りは、ふくらはぎなどの筋肉が自分の意思とは関係なく急激に縮み、しばらく緩まなくなる状態です。筋肉疲労、長時間同じ姿勢でいること、加齢、妊娠、発汗や脱水、薬の影響など、さまざまな背景で起こります。
夜中に突然つったときは、慌てて強く揉むより、膝を伸ばし、つま先をすね側へゆっくり反らすのが基本です。
今、ふくらはぎがつっているとき
- つった脚の膝をできるだけ伸ばす
- かかとを前へ押し出す
- 足首とつま先を、すねの方向へゆっくり反らす
- 痛みが和らぐ位置で20〜30秒ほど保つ
反動をつけたり、痛みを我慢して強く引っ張ったりしないことが大切です。
多くは数分以内に治まりますが、頻繁に繰り返す場合や、しびれ・筋力低下・片脚の腫れなどを伴う場合は、単なる筋肉疲労と決めつけず医療機関に相談してください。
1. 足がつったときにすぐできる治し方
ふくらはぎがつったときは、縮んでいる筋肉を反対方向へゆっくり伸ばすと、けいれんが治まりやすくなります。
寝たまま行う場合は、膝を伸ばし、かかとを前へ押しながら足先を顔側へ近づけます。手が足先に届きにくいときは、タオルを足裏にかけ、両端を少しずつ引く方法もあります。
立てる状態なら、壁を使って伸ばすこともできます。
- 壁に両手をつく
- つった脚を後ろへ引く
- 後ろ脚の膝を伸ばす
- かかとを床につけたままにする
- 前脚の膝を曲げ、体を壁へ近づける
- ふくらはぎが伸びる位置で20〜30秒ほど保つ
勢いよく引っ張ると、筋肉やアキレス腱を傷めるおそれがあります。強いふらつきがある人や転倒しやすい人は、無理に立たず、寝た姿勢で行いましょう。
けいれんが治まった後は、軽く歩く、温かいタオルを当てる、やさしくさすると楽になることがあります。痛み止めは、後に残る筋肉痛には役立つ場合がありますが、効き始めるまで時間がかかるため、けいれん中の即効的な対処にはなりません。
2. こむら返りとはどのような状態か
「こむら」は、ふくらはぎを意味する言葉です。一般には、ふくらはぎにある腓腹筋やヒラメ筋が突然硬く縮み、強い痛みが出る状態をこむら返りと呼びます。
足の裏、足指、すね、太ももなどに同様の筋けいれんが起こることもあります。
典型的な特徴は次のとおりです。
- 突然、鋭い痛みが始まる
- 筋肉が石のように硬く盛り上がる
- 自分の意思ではすぐに緩められない
- 数秒から数分で治まることが多い
- 治まった後も張りや筋肉痛が残ることがある
英国の公的医療サービスであるNHSの案内では、脚のけいれんは数秒から10分ほど続くことがあり、治まった後の痛みが最大24時間ほど残る場合があると説明されています。
「足がつる」は症状であり、原因を表す言葉ではありません。
一度だけ起こる場合と、毎晩のように起こる場合では、考えるべき背景が異なります。
3. 筋肉が勝手に縮む仕組み
筋肉は、脳や脊髄から運動神経を通じて送られる信号によって縮みます。通常は、筋肉を縮める働きと緩める働きが釣り合い、必要な動きだけが行われています。
こむら返りでは、この調整が一時的に乱れ、運動神経から筋肉へ過剰な信号が送られ続けると考えられています。
運動神経が過剰に興奮する
↓
筋線維が一斉に強く縮む
↓
筋肉が硬く盛り上がる
↓
強い痛みが生じる
ただし、過剰な信号が始まる理由を、すべてのケースで特定できるわけではありません。病気や明確な異常が見つからないものは、特発性の筋けいれんと呼ばれます。
運動中のけいれんも、脱水や塩分不足だけで起こるとは限りません。筋肉の疲労によって、神経の興奮と抑制のバランスが崩れるという考え方もあります。汗をかいた人が必ずつるわけではなく、スポーツ飲料を飲めば必ず防げるわけでもありません。
4. 夜中や明け方に足がつりやすい理由
夜間のこむら返りは珍しい症状ではありません。米国の成人を対象にした調査では、過去1か月に軽い夜間の脚のけいれんがあった人は24〜25%、月5回を超える中等度から重度の症状があった人は6%でした。年齢が上がるほど多くなる傾向も示されています。調査の概要はPubMedで確認できます。
夜中や明け方に起こりやすい背景として、次の要素が考えられています。
| 睡眠中の状況 | つりやすさとの関係 |
|---|---|
| つま先が下を向く | ふくらはぎが短く縮んだ姿勢になりやすい |
| 寝返りや歩行が減る | 筋肉や腱の長さが変わる機会が少なくなる |
| 日中の疲労が残る | 運動や立ち仕事の負担が夜に表れることがある |
| 加齢で柔軟性が低下する | 筋肉や腱が硬くなりやすい |
| 掛け布団が足先を押す | 足首が伸び、ふくらはぎが短くなりやすい |
睡眠中は、足首がつま先側へ伸びる「底屈」の姿勢になりやすく、ふくらはぎが短くなります。この状態がきっかけの一つと考えられていますが、夜間の発生を姿勢だけで完全に説明できるわけではありません。
日中に普段より歩いた、長時間立っていた、慣れない運動をしたといった負担が、眠っている間に表れることもあります。
5. 足がつる主な原因を状況別に確認する
健康な人でも、筋肉を普段より強く使った日や、長時間同じ姿勢を続けた日に足がつることがあります。一方、頻繁に繰り返す場合は、薬や病気が関係していないかを確認する必要があります。
| 起こり方・状況 | 考えられる背景 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 慣れない運動後に一度だけ起きた | 筋肉疲労、急な負荷 | ストレッチ、休息、経過観察 |
| 長時間座った日や立ち仕事の後 | 同じ姿勢、筋肉の疲労 | 休憩時に足首を動かす |
| 暑い場所で大量に汗をかいた | 脱水、塩分の喪失、熱中症 | 涼しい場所へ移動し、体を冷やして補水 |
| 妊娠後半に繰り返す | 体重、循環、代謝などの変化 | 産科へ相談する |
| 新しい薬を始めてから増えた | 薬の影響、電解質の変化 | 自分で中止せず処方医へ相談 |
| 毎晩のように起こる | 加齢、薬、神経、血流、基礎疾患など | 内科や整形外科で相談 |
| 歩くと痛み、休むと軽くなる | 下肢の血流障害など | 早めに受診する |
| しびれや筋力低下を伴う | 神経の障害など | 早めに受診する |
| 片脚だけ急に腫れた | 血栓症など | 速やかに受診する |
電解質とは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、神経や筋肉の働きに関わる成分です。下痢、嘔吐、大量発汗、利尿薬の使用、腎臓や内分泌の病気などで大きく乱れると、筋けいれんの原因になることがあります。
ただし、足がつっただけでミネラル不足と決めつけることはできません。 健康な人の夜間の症状では、明確な電解質異常が見つからないこともあります。
6. 暑い日のこむら返りは熱中症にも注意
高温多湿の環境で運動や作業をした後に足がつった場合は、単なる筋肉疲労だけでなく、熱中症の可能性も考える必要があります。
大量の汗によって水分と塩分が失われると、脚や腕、腹部などの筋肉に痛みを伴うけいれんが起こることがあります。厚生労働省は、筋肉痛やこむら返りを熱中症が疑われる症状の一つに挙げています。
- エアコンの効いた室内や日陰など、涼しい場所へ移動する
- 衣服を緩め、首、脇の下、足の付け根などを冷やす
- 意識がはっきりして自力で飲める場合は、水分や経口補水液を補給する
詳しい対応は厚生労働省の熱中症応急処置で確認できます。
自力で水を飲めない、意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応がおかしい場合は、すぐに救急車を呼んでください。
心臓病や腎臓病などで水分・塩分を制限されている人は、自己判断で大量に補給せず、主治医の指示を優先します。
7. 繰り返さないためにできる予防法
予防の基本は、特定の食品だけに頼ることではなく、筋肉を急に疲れさせないこと、ふくらはぎが硬く短くなった状態を減らすこと、必要な水分と栄養を保つことです。
就寝前には、壁に手をつき、片脚を後ろへ引いて、かかとを床につけたままふくらはぎを伸ばします。20〜30秒ほど保ち、左右を無理のない範囲で繰り返します。痛みを我慢したり、反動をつけたりする必要はありません。
日中は次の点を意識しましょう。
- 運動量を急に増やさない
- 運動前後に軽く体を動かす
- 長時間座り続ける場合は、休憩時に立ち上がったり足首を動かしたりする
- 発汗が多い日は、喉の渇きや体調に合わせて水分を取る
- 下痢や嘔吐が続くときは、脱水を放置しない
- 足を締めつける靴や寝具を見直す
- 起きた日時、左右、持続時間、直前の運動や服薬を記録する
就寝前のストレッチによって、夜間のけいれんの回数や痛みが減ったとする研究がありますが、誰にでも確実に効くとは限りません。費用がかからず比較的取り組みやすいため、痛みのない範囲で続ける方法が現実的です。
健康な人が予防目的で塩分やスポーツ飲料を大量に取る必要はありません。高血圧、心臓病、腎臓病がある人では、塩分や水分を増やすことが負担になる場合があります。
8. マグネシウムや食べ物で予防できるのか
足がつると、マグネシウム、カリウム、カルシウムの不足を疑う人は少なくありません。これらは神経や筋肉の働きに必要ですが、こむら返りの原因が栄養不足とは限りません。
コクランの系統的レビューでは、主に夜間のけいれんがある高齢者を対象とした研究をまとめた結果、マグネシウムは、けいれんの頻度や強さを臨床的に意味のある程度には減らしにくいと評価されています。妊娠中については研究結果が一致せず、効果ははっきりしていません。
つまり、検査などで不足が確認された人に必要量を補うことと、原因不明の足のつりに一律でサプリメントを飲むことは別です。
マグネシウムのサプリメントによって、下痢や吐き気が起きることもあります。腎機能が低下している人や薬を使用している人は、医師や薬剤師に確認してください。
バナナなど一つの食品だけに頼るのではなく、主食・主菜・副菜を組み合わせた普段の食事を基本にしましょう。
9. 芍薬甘草湯を使うときの注意点
芍薬甘草湯は、急激に起こる筋肉のけいれんを伴う痛みに使われることがある漢方薬です。ただし、「漢方だから副作用がない」「足がつるたびに長期間飲んでもよい」とは限りません。
甘草を含むため、低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、体重増加、筋力低下などを伴う偽アルドステロン症を起こすことがあります。
PMDAの医療用医薬品添付文書では、治療に必要な最小限の期間にとどめることや、他の甘草含有製剤との重複に注意することが示されています。
かぜ薬、胃腸薬、ほかの漢方薬にも甘草が含まれる場合があります。市販薬であっても、次に当てはまる人は医師や薬剤師に確認してください。
- 高血圧、心臓病、腎臓病がある
- 利尿薬などを使用している
- 妊娠中または授乳中である
- ほかの漢方薬を飲んでいる
- 頻繁に繰り返し服用している
服用後にむくみ、急な体重増加、強いだるさ、筋力低下、動悸などが出た場合は、使用を中止して医療機関へ相談してください。
10. 病院へ行く目安と受診する診療科
たまに起こり、数分以内に治まり、その後は普段どおり歩ける場合は、まずストレッチや生活の見直しで様子を見られることが多いでしょう。
次に当てはまる場合は、医療機関へ相談してください。
- 週に何度も起こる
- 睡眠が繰り返し妨げられる
- 1回のけいれんが10分以上続く
- しびれ、感覚低下、筋力低下を伴う
- 筋肉のぴくつきが広い範囲に続く
- 足だけでなく、腕や体幹にも起こる
- 新しい薬を飲み始めてから増えた
- 下痢、嘔吐、大量発汗の後に繰り返す
- 歩くと痛くなり、休むと軽くなる
- 糖尿病、腎臓病、肝臓病、甲状腺疾患などがある
診療科に迷う場合は、まず内科やかかりつけ医へ相談すると、服薬、脱水、電解質、基礎疾患を含めて確認できます。
腰や関節の症状、運動時の痛みが強い場合は整形外科、しびれや筋力低下が目立つ場合は脳神経内科が候補になります。受診先を自分で完全に判断する必要はなく、身近な医療機関で相談して適切な診療科につないでもらう方法でも構いません。
受診時には、次の点をメモしておくと状況を伝えやすくなります。
- いつから始まったか
- 週に何回起きるか
- 左右どちらに起こるか
- 何分ほど続くか
- 運動、発汗、飲酒との関係
- 使用中の薬やサプリメント
- 腫れ、しびれ、脱力の有無
11. 救急対応が必要な危険なサイン
通常のこむら返りは、筋肉が一時的に硬くなった後、徐々に緩みます。次の症状がある場合は、単なる足のつりとは異なる可能性があります。
- 片脚だけが急に腫れた
- 腫れた脚に赤みや熱感がある
- 痛みが治まらず、時間とともに強くなる
- 足が冷たい、白い、紫色になる
- けがの後から歩けないほど痛む
片脚の腫れ、熱感、持続する痛みは、深部静脈血栓症などでもみられます。さらに突然の息苦しさ、胸痛、失神、血の混じったせきを伴う場合は、血栓が肺へ移動した可能性もあるため、救急車を呼んでください。
NHSの深部静脈血栓症の案内でも、脚の症状に息苦しさや胸痛を伴う場合は緊急対応が必要とされています。
急な麻痺、ろれつが回らない、意識がおかしい、高温環境での体温上昇や意識障害がある場合も、足のつりだけの問題と考えず、速やかに救急要請してください。
12. こむら返りと間違えやすい症状
夜の脚の不快感が、すべて筋けいれんとは限りません。
| 状態 | 主な特徴 | こむら返りとの違い |
|---|---|---|
| むずむず脚症候群 | 安静時に脚を動かしたくなる不快感 | 筋肉が硬く盛り上がる強い痛みは典型的でない |
| 間欠性跛行 | 歩くとふくらはぎが痛み、休むと軽くなる | 突然数分だけ縮むのではなく、歩行と関連する |
| 末梢神経障害 | しびれ、灼ける感じ、感覚低下 | 筋肉の硬直より感覚の異常が目立つ |
| 筋肉や腱の損傷 | 運動や外傷後に痛みが続く | 数分で治まらず、動かすと痛みが増える |
| 深部静脈血栓症 | 片脚の腫れ、熱感、持続する痛み | 一時的な筋肉の収縮ではない |
「夜に脚が気持ち悪い」「動かすと少し楽になる」という場合は、むずむず脚症候群の可能性があります。鉄欠乏や腎臓病、薬が関係することもあるため、症状が続く場合は医療機関へ相談してください。
13. よくある質問
Q. 水を飲めばすぐに治りますか?
水分不足が関係している場合でも、飲んだ水が直ちに筋肉へ届いてけいれんを止めるわけではありません。まずは筋肉をゆっくり伸ばします。大量発汗、下痢、嘔吐などがある場合は、その後の水分・電解質補給も重要です。
Q. バナナを食べれば予防できますか?
バナナはカリウムを含みますが、原因がカリウム不足とは限りません。一つの食品だけに頼らず、普段の食事全体を整えることが基本です。
Q. 冷やすのと温めるのはどちらがよいですか?
けいれんが治まった後のこわばりには、温めると楽になる人がいます。運動後に腫れや熱感がある場合は、短時間の冷却が心地よいこともあります。けいれん中は、ゆっくり伸ばすことを優先してください。
Q. 毎晩つるのは年齢のせいですか?
加齢は起こりやすくなる要素の一つですが、毎晩の症状を年齢だけで片づけるべきではありません。薬、神経、血流、電解質、基礎疾患などを確認する価値があります。
Q. 妊娠中に足がつるのは異常ですか?
妊娠後半には比較的よくみられます。ただし、片脚だけの強い腫れや痛み、息苦しさがある場合は、血栓症との区別が必要です。サプリメントや漢方薬を自己判断で始めず、産科で相談してください。
Q. つった後に筋肉痛が残っても大丈夫ですか?
軽い張りや痛みが翌日まで残ることはあります。腫れや内出血が強い、歩けない、数日たっても改善しない場合は、筋肉や腱の損傷も考えて受診してください。
14. まとめ
こむら返りは、筋肉を動かす神経の調整が一時的に乱れ、筋肉が急激に縮み続けることで起こります。夜中に多いのは、睡眠中の足首の姿勢、日中の筋肉疲労、加齢による柔軟性の変化などが重なるためと考えられています。
起きたときは、膝を伸ばし、つま先をすね側へゆっくり反らすことが第一です。繰り返す場合は、就寝前の軽いストレッチ、急な運動負荷を避けること、長時間同じ姿勢を続けないこと、体調に合わせた水分補給を試します。
マグネシウム不足だけが原因とは限らず、サプリメントや漢方薬を自己判断で常用するのは避けましょう。
頻繁に起こる、長く続く、しびれ・脱力・片脚の腫れを伴う場合は、医療機関で原因を確認することが大切です。胸痛や息苦しさ、意識障害などがある場合は、通常の足のつりと決めつけず、速やかに救急要請してください。