白夜とは?極夜との違い・起こる理由・見られる国と時期を図解
白夜は、夏の高緯度地域で、夜になっても太陽が沈まない、または沈んでも空が暗くなりきらない現象です。極夜はその反対で、冬に太陽が一日中地平線より上へ出ない状態を指します。
どちらも異常気象ではありません。主な原因は、地球の自転軸が約23.4度傾いたまま、太陽の周りを公転していることです。
| 疑問 | 結論 |
|---|---|
| 白夜とは? | 夜になっても太陽が沈まない、または空が暗くなりきらない現象 |
| 極夜とは? | 24時間以上、太陽が地平線より上へ出ない現象 |
| なぜ起こる? | 地軸が約23.4度傾いたまま地球が公転しているため |
| どこで起こる? | 主に北極圏と南極圏 |
| いつ起こる? | その半球の夏に白夜、冬に極夜が起こる |
北半球では6月の夏至前後に白夜、12月の冬至前後に極夜が起こります。南半球では季節が反対になるため、12月ごろに白夜、6月ごろに極夜を迎えます。
1. 白夜とは?極夜・極昼との違い
白夜と極夜を理解するには、最初に言葉の使われ方を整理しておく必要があります。
| 用語 | 太陽の状態 | 空の明るさ |
|---|---|---|
| 白夜 | 太陽が沈まない、または沈んでも薄明が一晩中続く | 真夜中でも明るい |
| 極昼 | 太陽が24時間以上、地平線の下へ沈まない | 一日中太陽が見える |
| 極夜 | 太陽が24時間以上、地平線より上へ昇らない | 暗いが、昼に薄明が見える場合もある |
| 薄明 | 太陽が地平線の下にあるものの、空に明るさが残る | 夕方や明け方のような状態 |
一般的な日本語では、太陽が一日中沈まない現象も「白夜」と呼ばれています。より厳密に区別する場合は、太陽が24時間以上沈まない状態を極昼、太陽はいったん沈むものの薄明が一晩中続く夜を白夜と呼びます。
英語では、太陽が沈まない現象を midnight sun または polar day と表現します。直訳すると「真夜中の太陽」「極地の昼」です。
サンクトペテルブルクの「白夜祭」が有名ですが、同市は北極圏より南にあります。太陽はいったん地平線の下へ沈むものの、深く沈まないため、夕暮れと朝焼けがつながったような明るい夜になります。
「太陽が沈まない白夜」と「太陽は沈むが暗くならない白夜」の両方があるため、地域を比較するときは日の入りの有無を確認することが大切です。
2. 白夜と極夜が起こる理由
地球は約24時間で1回自転しながら、約1年かけて太陽の周りを公転しています。
このとき、地球の自転軸は公転面に対して垂直ではなく、約23.4度傾いています。しかも、短い期間ではほぼ同じ方向を向いたまま公転します。
北半球の夏
太陽光 → → → / 地軸
● 地球
/
北極側が太陽へ傾く
北半球の冬
太陽光 → → → ● 地球
\
\ 地軸
北極側が太陽から遠ざかる
北半球が太陽の方向へ傾く時期には、北へ行くほど太陽が空を通る時間が長くなります。十分に緯度が高い地域では、地球が1回自転しても太陽が地平線の下へ回り込まず、一日中沈まなくなります。
これが北半球の白夜です。
約半年後には、北半球が太陽から遠ざかる方向へ傾きます。高緯度地域では太陽の通り道全体が地平線より下になるため、一日中太陽が昇らない極夜が起こります。
南半球では、同じ時期に反対の現象が起きます。
| 時期 | 北極付近 | 南極付近 |
|---|---|---|
| 6月の夏至前後 | 白夜 | 極夜 |
| 12月の冬至前後 | 極夜 | 白夜 |
| 3月・9月の春分・秋分前後 | 昼夜の切り替わり | 昼夜の切り替わり |
国立天文台暦計算室による季節の解説でも、季節や昼の長さの変化は、地球が自転軸を約23.4度傾けたまま公転することで生じると説明されています。
3. なぜ北緯・南緯約66.6度が境界なのか
北極圏はおよそ北緯66度34分より北、南極圏はおよそ南緯66度34分より南の地域です。
約66.6度という数字は、地軸の傾きから求められます。
90度−23.4度≒66.6度
夏至のころ、太陽が赤道から最も北または南へ離れて見える角度は約23.4度です。そのため、緯度が約66.6度を超えると、地球が自転しても太陽が地平線の下へ沈まない日が生じます。
北極点 90度
│
│ 白夜・極夜が起こる地域
│
北極圏 約66.6度
│
│ 通常は毎日、日の出と日の入りがある地域
│
赤道 0度
ただし、北極圏や南極圏の線を一歩越えた瞬間に、必ず長期間の白夜が始まるわけではありません。境界付近では、夏至前後の短い期間だけ太陽が沈まなくなる場合があります。
実際の見え方には、次の要素も影響します。
- 太陽には見かけの大きさがある
- 大気の屈折によって、太陽が実際より高く見える
- 標高が高いほど遠くの地平線まで見える
- 山や建物が太陽を遮ることがある
- 気温や気圧によって大気の状態が変わる
日の出と日の入りは一般に、太陽の中心ではなく、太陽の上端が地平線に接する時刻を基準に計算されます。そのため、理論上の境界と実際に太陽が見える範囲には多少の違いがあります。
4. 白夜・極夜はどこの国や地域で起こる?
北半球の白夜と極夜は、北極圏に領土を持つ国や地域で見られます。
| 国・地域 | 主な場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| ノルウェー | トロムソ、スバールバル諸島 | 白夜観光で特に有名 |
| スウェーデン | キルナなど北部 | 夏は真夜中でも太陽が見える地域がある |
| フィンランド | ラップランド北部、ウツヨキ、イナリ | 北へ行くほど白夜の期間が長い |
| ロシア | ムルマンスクなど北部 | 北極圏内に広大な地域を持つ |
| アメリカ | アラスカ北部 | ウトキアグヴィクなどで長期間続く |
| カナダ | ユーコン、ノースウエスト準州、ヌナブト準州 | 北部では数週間から数か月続く |
| グリーンランド | イルリサットなど北部 | 高緯度ほど期間が長い |
| アイスランド | グリムセイ島付近 | 北極圏を通る範囲は限られている |
| 南極大陸 | 昭和基地、南極点など | 北半球とは反対の季節に発生する |
注意したいのは、表にある国の全域で白夜が起こるわけではないことです。
例えばノルウェーでは、北部のトロムソでは太陽が沈まない時期がありますが、首都オスロでは真の白夜は起こりません。フィンランドやスウェーデンも、南部では太陽が毎日沈みます。
アイスランドも「白夜の国」と表現されることがありますが、本島の大部分は北極圏より南です。夏の夜は非常に明るくなるものの、太陽が完全に沈まない地域は限られます。
南半球では、南極圏の大部分が海洋と南極大陸であり、北極圏のような大規模な都市はありません。白夜や極夜を日常的に経験するのは、主に観測基地で暮らす隊員などです。
5. 白夜と極夜はいつ起こる?
発生する時期は、北半球と南半球で反対です。
| 地域 | 白夜が起こりやすい時期 | 極夜が起こりやすい時期 |
|---|---|---|
| 北極圏内 | 5〜7月を中心とする夏 | 11〜1月を中心とする冬 |
| 北極点 | 3月の春分ごろ〜9月の秋分ごろ | 9月の秋分ごろ〜翌3月の春分ごろ |
| 南極圏内 | 11〜1月を中心とする夏 | 5〜7月を中心とする冬 |
| 南極点 | 9月の春分ごろ〜翌3月の秋分ごろ | 3月の秋分ごろ〜9月の春分ごろ |
北極圏・南極圏の境界付近では、白夜や極夜は数日程度です。極へ近づくほど期間が伸び、数週間から数か月続くようになります。
北極点では、春分ごろに太陽が昇ると、毎日昇ったり沈んだりするのではなく、地平線の上を回りながら少しずつ高度を上げます。夏至を過ぎると高度を下げ、秋分ごろに沈みます。
大気の屈折などを考えない概略では、北極点と南極点の昼と夜は、それぞれ約半年続くことになります。
ただし、発生期間として紹介される日付は、観測地点や日の出・日の入りの定義によって数日程度異なる場合があります。
6. 日本で白夜や極夜は見られる?
日本では、太陽が24時間沈まない白夜も、24時間昇らない極夜も起こりません。
日本の最北端は北緯約45度にあり、北極圏の境界となる北緯約66.6度には届かないためです。
北海道では夏の日の出が早く、日没も遅くなります。冬には日照時間が短くなりますが、それでも毎日、日の出と日の入りがあります。
| 現象 | 日本で見られる? |
|---|---|
| 太陽が24時間沈まない極昼 | 見られない |
| 太陽が24時間昇らない極夜 | 見られない |
| 夏に夜が短くなる | 見られる |
| 冬に昼が短くなる | 見られる |
| 日没後も空がしばらく明るい薄明 | 見られる |
日本でも夏至のころには昼が長くなりますが、これは白夜ではありません。太陽は地平線の下へ沈み、夜には空が暗くなります。
また、「羅臼の白夜」など、地域の催しや風景の名称として白夜という言葉が使われることがありますが、天文学的な意味で太陽が沈まないわけではありません。
7. トロムソ・スバールバル・昭和基地の具体例
緯度の異なる場所を比べると、極へ近づくほど白夜と極夜の期間が長くなることが分かります。
| 場所 | 緯度の目安 | 白夜の目安 | 極夜の目安 |
|---|---|---|---|
| トロムソ | 北緯約69.7度 | 5月20日〜7月22日ごろ | 11月下旬〜1月中旬ごろ |
| スバールバル諸島 | 北緯約78度 | 4月20日〜8月22日ごろ | 10月下旬〜2月中旬ごろ |
| 昭和基地 | 南緯約69度 | 11月下旬〜1月中旬ごろ | 5月末〜7月中旬ごろ |
| 北極点 | 北緯90度 | 約半年 | 約半年 |
| 南極点 | 南緯90度 | 約半年 | 約半年 |
ノルウェー北部のトロムソでは、5月下旬から7月下旬にかけて真夜中の太陽を見られます。さらに北にあるスバールバル諸島では、白夜の期間が約4か月に及びます。地域ごとの目安はVisit Norwayの真夜中の太陽に関する案内でも紹介されています。
南極の昭和基地では、北半球とは季節が反対です。気象庁による昭和基地周辺の自然現象では、南半球の夏に太陽が一日中沈まない白夜となり、極夜は5月末から7月中旬ごろと説明されています。
環境省の南極に関する解説によると、昭和基地では白夜と極夜がそれぞれ約45日間、南極点ではそれぞれ約半年間続きます。
8. 真夜中の太陽はどのように動く?
白夜の太陽は、空の同じ場所で止まっているわけではありません。通常と同じように空を移動しますが、真夜中になっても地平線の下へ沈みません。
北半球の白夜では、おおまかに次のように見えます。
-
正午ごろ:南の空で最も高くなる
-
夕方:西の空へ低くなる
-
真夜中ごろ:北の空で最も低くなる
-
朝:東側から再び高度を上げる
正午 ☀ / \ / \ 朝 夕方 \ / \ ☀ / 真夜中 地平線の下へ沈まない
真夜中の太陽は高度が低いため、赤色や金色に見えやすくなります。太陽光が大気中を長い距離進む間に、青い光が強く散乱され、赤やオレンジ色の光が目に届きやすくなるためです。
極夜でも、空の明るさは一日中同じではありません。太陽が地平線の近くまで上がる正午前後には、朝焼けや夕焼けに似た薄明が現れることがあります。
雪面がわずかな光を反射するほか、月明かりや街灯、オーロラによって周囲が見える日もあります。
9. 誤解されやすいポイント
白夜は、地球が太陽に近づくから起こるわけではありません。
地球と太陽の距離ではなく、地軸の傾きによって太陽光が当たる角度と時間が変わることが主な原因です。距離だけが原因なら、北半球と南半球で同じ季節になるはずですが、実際には季節が反対になります。
極夜は、必ず24時間真っ暗になるわけではありません。
太陽が地平線より上へ出なくても、地平線の近くまで上がれば薄明が生じます。北極圏の境界に近い場所ほど、昼前後に明るさを感じられる時間があります。
北欧の国全体で白夜になるわけではありません。
白夜が起こるかどうかは国名ではなく、緯度によって決まります。同じ国でも、北部では太陽が沈まず、南部では通常どおり日没することがあります。
白夜や極夜は気候変動によって発生する現象ではありません。
地球の自転軸と公転によって毎年繰り返される天文現象です。気候変動によって極地の気温、海氷、積雪などは変化する可能性がありますが、白夜や極夜が起こる基本的な仕組みとは別です。
極夜なら必ずオーロラを見られるわけではありません。
極夜の季節は空が暗いため、白夜の時期よりオーロラを観察しやすくなります。しかし、実際に見えるかどうかは、太陽活動、雲量、月明かり、街の明るさなどにも左右されます。
10. 白夜・極夜の地域で暮らすと生活はどう変わる?
人の体内時計は、光と暗さの変化を一日の時刻を判断する手がかりにしています。
白夜の時期には、夜になっても明るいため、眠る時刻が遅くなったり、寝つきにくくなったりすることがあります。極夜の時期には朝の光が不足し、起床時刻や活動のリズムを保ちにくくなる場合があります。
米国国立心肺血液研究所の睡眠と覚醒の解説でも、光と暗さは睡眠・覚醒の周期を整える重要な環境要因とされています。
白夜の地域へ旅行するときは、次のような対策が役立ちます。
- 遮光カーテンのある宿泊施設を選ぶ
- アイマスクを用意する
- 就寝時刻と起床時刻を大きく変えない
- 就寝前は強い照明や画面の光を避ける
- 真夜中まで活動を詰め込みすぎない
極夜の時期には、外が暗くても起床、食事、運動、就寝の時間を一定にすることが大切です。旅行中は、日中でも暗い場合に備えて、ライト、反射材、防寒具を用意する必要があります。
強い眠気や不眠、気分の落ち込みが長く続く場合は、自己判断だけで対処せず、医療機関へ相談してください。
11. よくある質問
Q. 白夜は何日間続きますか?
緯度によって異なります。北極圏・南極圏の境界付近では数日程度ですが、極へ近づくほど数週間、数か月へと長くなります。北極点と南極点では、概略として約半年続きます。
Q. 白夜の夜はどれくらい明るいですか?
太陽が沈まない地域では、曇っていなければ日中に近い明るさが残ります。ただし、真夜中の太陽は高度が低いため、正午より暗く、夕方のような光になります。
Q. 極夜は一日中真っ暗ですか?
場所や時期によります。太陽が地平線のすぐ下まで近づく地域では、昼前後に数時間の薄明が見られます。極点に近く、太陽が地平線の深い位置にある時期は、より暗い時間が長くなります。
Q. 東京や北海道で白夜を見ることはできますか?
できません。北海道でも北極圏より大幅に南にあるため、太陽は毎日沈みます。夏の日が長いことと、白夜は別の現象です。
Q. 白夜の時期に星は見えますか?
空が十分に暗くならないため、多くの星は見えにくくなります。太陽が沈む地域でも、一晩中薄明が続けば、暗い星や天の川の観察には適していません。
Q. 白夜と夏至は同じ意味ですか?
同じではありません。夏至は一年で昼が最も長くなるころを指します。白夜は、高緯度地域で太陽が沈まない、または空が暗くなりきらない現象です。
Q. 赤道でも白夜や極夜は起こりますか?
起こりません。赤道付近では、一年を通して昼と夜がほぼ12時間ずつです。季節による日照時間の変化も、高緯度地域より小さくなります。
Q. 白夜の時期とオーロラの時期は重なりますか?
オーロラそのものは明るい季節にも発生する可能性がありますが、白夜では空が明るいため、ほとんど見えません。観察には、空が暗くなる秋から春にかけての時期が適しています。
12. まとめ
白夜と極夜を理解する鍵は、地球が傾いたまま自転・公転していることです。
- 地軸は公転面に対して約23.4度傾いている
- その半球の夏には高緯度地域で白夜が起こる
- その半球の冬には高緯度地域で極夜が起こる
- 主な発生地域は北緯・南緯約66.6度を超える極圏
- 北半球と南半球では発生する季節が反対
- 極へ近づくほど白夜と極夜の期間が長くなる
- 日本では真の白夜や極夜は起こらない
- 極夜でも薄明によって昼前後に明るくなる場合がある
地図上で北極圏と南極圏を確認し、夏至と冬至に地球のどちら側が太陽へ傾いているかを考えると、発生する地域と季節を判断できます。
「北欧だから白夜になる」「極夜は一日中完全な暗闇」と国名や言葉だけで捉えず、緯度、季節、太陽が地平線より上にあるかの三つを確認することが大切です。