大晦日とは?何をする日なのか、由来・過ごし方と除夜の鐘108回の意味
大晦日は、一年を締めくくり、新しい年を迎える準備をする日です。現在の暦では12月31日にあたり、掃除や正月の支度を済ませ、年越しそばを食べたり、除夜の鐘に耳を傾けたりして過ごします。
除夜の鐘を108回つく理由として最もよく知られているのは、人の心を悩ませる煩悩が108あると考えられてきたためです。ただし、108の数え方には複数の説があり、すべての寺院が同じ時刻・回数・方法で鐘をつくわけではありません。
昔ながらの習慣をすべて行う必要はありません。身の回りを整え、一年を振り返り、新年に続けたいことを一つ決めるだけでも、年の境目を丁寧に迎えられます。
年末年始の働き方や家族の形が多様になった現在は、決まった過ごし方を守れる人ばかりではありません。伝統の意味を知っておけば、帰省しない年や一人で過ごす年でも、掃除、食事、振り返りなど自分に必要な習慣を選べます。
1. 大晦日は一年最後の「晦日」
「晦日」は毎月の最終日を表し、そのなかでも一年最後の晦日を「大晦日」と呼びます。単なるカレンダー上の最終日ではなく、古い年を送り、新しい年の神様を迎える節目として大切にされてきました。
代表的な過ごし方と意味は次のとおりです。
| 大晦日にすること | 主な意味 |
|---|---|
| 掃除や片付け | 新年を迎える環境を整える |
| 正月準備 | 年神を迎える支度を済ませる |
| 年越しそば | 長寿や、苦労・災厄を断ち切る願いを込める |
| 一年の振り返り | 古い年に区切りをつける |
| 除夜の鐘 | 煩悩を見つめ、心を整える |
| 二年参り | 年内の感謝と新年の祈りを伝える |
年末年始も仕事をする人、一人で過ごす人、帰省しない人など、生活の形はさまざまです。大掃除や寺社参拝ができなくても、意味が失われるわけではありません。大切なのは、一年を終える意識を持つことです。
2. 大晦日には何をする?一般的な過ごし方
過ごし方に全国共通の決まりはありません。無理のない範囲で、次のように一年を整えるとよいでしょう。
| 時間帯 | よく行われること |
|---|---|
| 午前〜昼 | 掃除、洗濯、買い物を終える |
| 午後 | 正月料理や飾り、火の元、戸締まりを確認する |
| 夕方〜夜 | 入浴し、家族などと食事をする |
| 夜 | 年越しそばを食べ、一年を振り返る |
| 深夜 | 除夜の鐘を聞く、二年参りや初詣へ出かける |
年越しそばには、細く長い形から長寿や家運の伸長を願う説、切れやすいそばに一年の苦労や災厄を断ち切る願いを込めたとする説などがあります。夕食として食べる家庭もあれば、夜食にする家庭もあり、時刻に全国共通の決まりはありません。
農林水産省の「日本の年中行事と食 大晦日と年越しそば」でも、大晦日の語源、年神を迎える風習、地域ごとに異なる年越しそばの食べ方が紹介されています。
大晦日のうちに寺社へ出かけ、年をまたいで参拝することは二年参りと呼ばれます。年内に一年の感謝を伝え、年明けに新年の無事を祈る過ごし方です。深夜は混雑しやすいため、防寒や交通手段を確認し、無理に0時へ合わせないことも大切です。
3. 晦日・除夜・元日・元旦との違い
年末年始には似た言葉が多くあります。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 晦日 | 毎月の最終日 |
| 大晦日 | 一年最後の晦日である12月31日 |
| 除夜 | 大晦日の夜 |
| 年越し | 古い年から新しい年へ移ること |
| 元日 | 1月1日の一日全体 |
| 元旦 | 本来は1月1日の朝。現在は元日全体の意味でも使われる |
「みそか」は、本来「三十日」を表した言葉が月末の意味へ広がったと説明されます。「つごもり」は、月が見えなくなる「月隠り(つきごもり)」に由来するとされます。
旧暦の一か月は29日または30日だったため、月末が必ず30日だったわけではありません。それでも「晦日」は、しだいに日付の数字ではなく、月の終わりを表す言葉として定着しました。
「除夜」の「除」には、古いものを除き、改めるという意味があります。そのため、除夜は古い年を送り、新しい年を迎える夜と理解されています。
4. なぜ掃除や正月準備をするの?
正月は、年神(歳神)を家に迎える行事として受け継がれてきました。年神は、新しい年の実りや家族の安泰に関わる存在と考えられてきた神様です。
年末の大掃除には、部屋をきれいにするだけでなく、汚れやけがれを払い、年神を迎える場所を整える意味があります。門松は年神が訪れる目印、しめ飾りは清められた場所を示すもの、鏡餅は年神への供え物とされます。
かつては大晦日から元日にかけて眠らず、年神を待つ風習もあったと伝えられています。現在は夜通し起きている必要はありませんが、年越しを特別な時間として過ごす習慣には、その名残があります。
正月飾りを12月31日に出すことは「一夜飾り」と呼ばれ、年神を迎える直前の準備になるため避けるという考えがあります。政府広報オンラインの「日本の正月のしつらいの意味と心」でも、31日の飾り付けは直前すぎるため、好ましくないと考えられてきたことが説明されています。
ただし、これは全国共通の禁止事項ではありません。地域や家庭によって習慣は異なり、間に合わなかったから不幸になるというものでもありません。
5. 除夜の鐘を108回つく理由
除夜の鐘は、大晦日の夜から元日にかけて、寺院の梵鐘をつく仏教行事です。多くの寺院では、古い年を振り返り、迷いや執着を見つめながら新年を迎えるための法要として行われます。
108回つく理由として最も有名なのが、人間には108の煩悩があるためという説です。
煩悩とは、単なる欲望だけではありません。欲にとらわれること、怒りや憎しみに支配されること、物事を正しく捉えられないことなど、人に迷いや苦しみを生じさせる心の働きを広く指します。
代表的な煩悩は「三毒」と呼ばれます。
- 貪(とん):必要以上に求め、執着する心
- 瞋(じん):怒り、憎しみ、拒絶する心
- 痴(ち):道理を理解できず、誤って捉える心
浄土宗は「一度立ち止まり 一年を振り返る 除夜会」で、除夜の鐘は「除夜会」という法要の一環であり、一年の締めくくりに自分の言動を見つめ直すことが大切だと説明しています。
鐘を聞けば煩悩が完全に消えるというよりも、自分の欲や怒り、思い込みに気づき、同じ過ちを繰り返さないよう心を整える行事と考えると分かりやすいでしょう。
6. 108の数え方と「107回+1回」の説
108の由来には一つだけの確定した説明があるわけではなく、複数の説があります。
最も詳しく説明されるのが、六つの感覚や認識の働きである「六根」から数える説です。六根は、眼・耳・鼻・舌・身・意を指します。それぞれに、好ましい・好ましくない・どちらでもないという三つの反応があり、清らかな状態と汚れた状態、過去・現在・未来という三つの時間を掛け合わせます。
6(六根)×3(好・悪・平)×2(浄・染)×3(過去・現在・未来)
=108
ただし、仏教には別の煩悩の分類もあります。人の悩みを必ず108項目の固定された一覧にできるという意味ではなく、数多くの迷いや執着を象徴する数字と捉えるのが自然です。
ほかにも、次の説明が知られています。
12か月+24節気+72候=108とし、一年を表すとする説4×9+8×9=108とし、「四苦八苦」を数字に置き換える説
四苦八苦の計算は覚えやすい一方、語呂合わせ的な説明でもあります。どれか一つだけを絶対的な由来と断定するのは避けたほうがよいでしょう。
「年内に107回つき、最後の1回を年明けにつく」ともいわれますが、すべての寺院に共通する決まりではありません。108回すべてを年内につく寺院、0時から始める寺院、参拝者に合わせて108回を超える寺院、近隣への配慮から昼間や夕方に行う寺院もあります。
鐘をつきたい場合は、開始時刻、予約や整理券、参加費、子どもの参加条件などを寺院の公式案内で確認します。除夜の鐘の起源については、中国の宋代に始まり、日本では鎌倉時代以降に禅寺へ広がったという資料が、レファレンス協同データベースで紹介されています。
7. 大晦日にやってはいけないことはある?
法律や宗教上、全国一律で禁止されている行動はありません。「やってはいけない」とされることの多くは、地域や家庭に伝わる縁起上の習慣です。
- 正月飾りを31日だけ飾る:一夜飾りとして避ける考えがあります。可能なら28日や30日までに整えます。
- 深夜まで大掃除を続ける:掃除が悪いのではありません。疲労や事故を避けるため、大きな作業は早めに終えます。
- 年越しそばの時刻にこだわりすぎる:年内に食べる家庭が多いものの、全国共通の正式な時刻はありません。
- 昔の形式を守れないことを気にしすぎる:仕事、介護、育児などの事情がある場合は、できることだけで十分です。
一か所だけ片付ける、一年の感謝を言葉にする、翌朝の準備をして早めに休むといった過ごし方でも、年の区切りをつけられます。
8. よくある質問
Q. 除夜の鐘は神社でもつきますか?
梵鐘をつく除夜の鐘は、基本的に仏教寺院の行事です。神社では年越しの大祓や初詣などが行われます。
Q. 除夜の鐘は必ず108回ですか?
必ずではありません。108回が一般的ですが、参拝者の人数や寺院の方針により回数が増減することがあります。
Q. 年越しそばは何時に食べますか?
夕食や夜食として年内に食べる家庭が多く見られます。ただし全国共通の決まりはなく、元日にそばを食べる地域もあります。
Q. 初詣は大晦日に行ってもよいですか?
年内の参拝は、一年の感謝を伝える参拝になります。そのまま年をまたいで新年の参拝を行うのが二年参りです。
Q. 喪中でも除夜の鐘を聞いてよいですか?
鐘を聞くことや寺院へ参拝することが一律に禁じられているわけではありません。家庭や宗派の考え方が気になる場合は、家族や菩提寺に確認すると安心です。
Q. 一人で過ごす場合は何をすればよいですか?
特別な行事は必要ありません。机や玄関を整える、今年できたことを三つ書く、感謝したい人へ連絡する、新年最初に行うことを一つ決めるなど、短時間でできる方法があります。
9. 一年の終わりを自分らしく整える
大晦日は、暮らしと心を整えて新しい年を迎える節目です。晦日は毎月の最終日、大晦日は一年最後の晦日を表します。掃除や正月準備には年神を迎える意味があり、年越しそば、二年参り、除夜の鐘などの習慣があります。
除夜の鐘の108回は煩悩の数を表すという説が最も有名ですが、六根、暦、四苦八苦など複数の説明があります。107回と1回に分ける方法も、すべての寺院に共通する決まりではありません。
習慣を完璧にこなす必要はありません。片付けを一つ終え、過ぎた一年への感謝を言葉にし、新年に続けたい行動を一つ決めるだけでも、十分に意味のある年越しになります。