プリンターが紙を吸い込まない原因は?給紙しない・空回り・斜め送りの直し方
プリンターが用紙を取り込まないときは、すぐに分解する必要はありません。まずは用紙の状態、セット方法、給紙元の設定、トレイの装着、給紙ローラーの順に確認します。
新しい普通紙へ交換し、正しくセットし直すだけで改善することも少なくありません。ローラー音がするのに紙が動かない場合はローラーの汚れや摩耗、斜めに入る場合は用紙ガイドや紙端のずれ、紙があるのに「用紙なし」と表示される場合は給紙元や用紙サイズの設定が主な確認ポイントです。
最初は、折れや反りのない普通紙を5~10枚程度セットし、給紙元と用紙サイズを確認してから1枚だけ印刷してみてください。
1. 紙を吸い込まないときに最初に試すこと
原因を細かく調べる前に、次の手順を上から順に試します。
- 印刷を中止する
- エラーメッセージやエラー番号を確認する
- 給紙トレイから用紙をすべて取り出す
- 折れ、反り、湿気のない普通紙を用意する
- 紙の四辺を平らな場所でそろえる
- 5~10枚程度を給紙トレイへ入れる
- 用紙ガイドを紙の端に軽く触れる位置へ合わせる
- カセットや背面カバーを確実に閉める
- 給紙元、用紙サイズ、用紙種類を確認する
- 1枚だけテスト印刷する
大量の用紙を入れたまま確認すると、積みすぎや紙同士の張り付きに気づきにくくなります。最初は少ない枚数で試す方が原因を絞りやすくなります。
用紙ガイドは、紙を強く締め付けないようにします。反対に、紙との間に大きなすき間があると、片側だけが先に引き込まれて斜め送りになることがあります。
2. 症状から原因を確認する早見表
同じ給紙不良でも、紙がどこまで動くかによって疑う場所が異なります。
| 症状 | 最初に確認すること |
|---|---|
| ローラー音はするが紙が動かない | 紙の反り、紙粉、給紙ローラー |
| 手で少し押すと紙が入る | 紙のセット位置、ローラーの汚れや摩耗 |
| 紙が少しだけ入って止まる | 紙片、異物、背面カバー、搬送経路 |
| 紙が斜めに入る | 用紙ガイド、紙端、ローラーの左右差 |
| 2枚以上が一緒に入る | 湿気、静電気、積載枚数、分離部 |
| 1枚ずつなら印刷できる | 紙同士の張り付き、反り、分離部 |
| 紙があるのに「用紙なし」と出る | 給紙元、用紙サイズ、カセット装着 |
| 背面給紙だけ失敗する | 背面側の設定、異物、ローラー |
| カセットだけ失敗する | カセットの装着、ガイド、カセット側ローラー |
| 普通紙は入るが、はがきや封筒は入らない | 用紙の向き、反り、厚さ、対応給紙口 |
プリンター内部では、給紙ローラーが紙をつかみ、分離パッドや分離ローラーが2枚目以降を抑え、用紙センサーが紙の通過を確認しています。
用紙トレイ
↓
給紙ローラーが紙をつかむ
↓
分離部が1枚だけ通す
↓
センサーが通過を検知
↓
搬送ローラーが印刷部へ送る
どの段階で止まっているかを見ると、故障箇所を判断しやすくなります。
3. ローラー音はするのに紙が動かない原因
モーター音やローラーの空回りする音が聞こえるのに紙が動かない場合は、給紙ローラーが紙の表面を十分につかめていない可能性があります。
主な原因は次のとおりです。
- 給紙ローラーに紙粉やほこりが付着している
- 用紙が湿気を吸って波打っている
- 紙の表面が滑りやすくなっている
- 紙が給紙位置まで届いていない
- 用紙を入れすぎている
- 対応していない厚紙や特殊紙を使っている
- 給紙ローラーが摩耗している
まずは、開封してから長期間たった紙ではなく、新しい普通紙で試します。見た目では問題がなくても、湿気を含んだ紙は互いに張り付いたり、給紙ローラーがつかみにくくなったりします。
紙を入れ直すときは、トレイの奥まで無理に押し込まず、機種で指定された位置へまっすぐセットします。最大積載線がある場合は、その線を超えないようにしてください。
手で押すと給紙できる場合
紙の後ろを少し押すと取り込まれる場合は、給紙ローラーの摩擦が弱くなっている可能性があります。
ただし、毎回手で押し込んで使うのは避けてください。斜め送りや紙詰まりを起こし、内部のセンサーや搬送部へ負担をかけるおそれがあります。
次の順で確認します。
- 新しい普通紙へ交換する
- 用紙の枚数を減らす
- 用紙ガイドを合わせる
- 機種指定の給紙ローラークリーニングを行う
- 改善しなければ修理を検討する
4. 紙が少し入って止まる・斜めに入る原因
紙の先端が数センチ入った後に止まる場合は、給紙口より奥に原因がある可能性があります。
確認する場所は次のとおりです。
- 給紙口の奥に破れた紙片がないか
- クリップ、付箋、包装材などが入り込んでいないか
- 背面カバーが浮いていないか
- 両面印刷ユニットが正しく装着されているか
- 紙の先端が折れたり、カールしたりしていないか
- 対応していない厚紙やラベル紙を使っていないか
見えない場所へドライバーや金属棒を差し込むのは危険です。センサー、ローラー、配線などを傷つける可能性があります。
紙が完全に内部へ入った後で動かなくなっている場合は、給紙不良ではなく紙詰まりとして、型番ごとの説明書に従って対処してください。
紙が斜めに入る場合
紙の片側だけが先にローラーへ触れると、用紙が回転しながら斜めに送られます。
次の手順でセットし直します。
- 用紙をすべて取り出す
- 折れや反りのある紙を除く
- 紙の四辺をそろえる
- トレイへまっすぐ入れる
- 左右の用紙ガイドを紙幅に合わせる
- 少ない枚数でテストする
- 別の普通紙でも試す
毎回同じ方向へ斜めに入る場合は、片側のローラーだけが汚れている、ローラーが偏って摩耗している、用紙ガイドが変形しているといった可能性もあります。
5. 2枚以上入る・1枚ずつしか送れない原因
複数枚の用紙が一緒に送られる現象は「重送」と呼ばれます。
給紙ローラーが紙を引き込む一方、分離パッドや分離ローラーは2枚目以降の紙を抑えています。紙同士が強く張り付いていたり、分離部が汚れていたりすると、複数枚が同時に入ることがあります。
主な原因は次のとおりです。
- 紙が湿気で張り付いている
- 静電気が発生している
- 最大積載枚数を超えている
- 異なる種類や厚さの紙を混ぜている
- 片面印刷済みの紙が反っている
- 分離パッドやローラーが汚れている
- 用紙トレイに紙粉がたまっている
紙束を軽くさばき、四辺をそろえてから少量だけセットします。強く扇状に広げると紙の端が傷み、かえって斜め送りや紙詰まりの原因になるため注意してください。
1枚ずつなら正常に印刷できる場合は、プリンター本体の故障ではなく、用紙同士の張り付きや積載枚数に原因がある可能性が高まります。
6. 紙があるのに「用紙なし」と表示される原因
「用紙なし」という表示は、トレイが空であることだけを意味するとは限りません。指定された場所から用紙を取り込めなかった場合にも表示されることがあります。
| 確認項目 | よくある状態 |
|---|---|
| 給紙元 | 背面トレイに紙を入れたのにカセットを選択している |
| 用紙サイズ | A4を入れたのにはがきやLetterを選択している |
| 用紙種類 | 普通紙を入れたのに写真用紙を選択している |
| カセット | 奥まで差し込まれていない |
| 用紙の位置 | 紙が給紙位置まで届いていない |
| 用紙ガイド | 紙幅と合っていない |
| 印刷アプリ | 本体と異なる用紙設定になっている |
パソコンから印刷している場合はプリンタードライバー、スマートフォンから印刷している場合は印刷アプリ、本体に画面がある場合は操作パネルも確認します。
どの設定が優先されるかは、機種やアプリによって異なります。給紙元、用紙サイズ、用紙種類をできるだけ同じ内容にそろえてください。
HPも、用紙があるのに用紙切れエラーが出る場合の対処として、用紙のしわや曲がり、セット状態、トレイなどを確認するよう案内しています。詳しい手順はHPの「用紙切れ」エラー対処案内で確認できます。
7. 背面給紙・カセットの一方だけ使えない場合
給紙口が複数あるプリンターでは、どの場所からも紙を送れないとは限りません。
背面トレイでは印刷できるのにカセットでは失敗する場合は、次を確認します。
- 印刷設定でカセットが選択されているか
- カセットが奥まで装着されているか
- 用紙ガイドが紙幅に合っているか
- カセット内に紙片や異物がないか
- カセット側のローラーが汚れていないか
反対に、カセットでは印刷できるのに背面給紙だけ失敗する場合は、背面トレイの用紙設定、紙の挿入位置、異物、背面側ローラーを確認します。
一方の給紙口で正常に印刷できるなら、プリンター全体ではなく、失敗する給紙口の設定や部品へ原因を絞り込めます。
8. 普通紙は入るのに、はがきや封筒だけ入らない場合
普通紙では印刷できるのに、はがき、封筒、写真用紙、厚紙だけ入らない場合は、故障よりも用紙の仕様やセット方法を優先して確認します。
- 機種がその用紙サイズに対応しているか
- 対応する厚さや重さの範囲内か
- 指定された給紙口を使っているか
- 印刷面を正しい向きにしているか
- 封筒のフラップが指定方向になっているか
- 用紙の反りや膨らみを直しているか
- 1枚ずつ給紙する指定ではないか
- 用紙種類の設定が合っているか
封筒は内部に空気が残って膨らんでいると、ローラーがうまくつかめない場合があります。四隅と縁を押して平らにし、フラップの向きも確認します。
写真用紙やラベル紙には、背面給紙だけに対応するものや、セットできる枚数が少ないものがあります。一般的な普通紙と同じ方法で大量にセットしないでください。
9. 給紙ローラーを安全に掃除する方法
給紙ローラーに紙粉やほこりが付着すると、紙をつかみにくくなることがあります。エプソンやブラザーも、用紙のセット状態やローラーの汚れを給紙不良の確認項目として挙げています。
ただし、ローラーの位置、回し方、清掃に使える道具は機種ごとに異なります。
安全な確認順は次のとおりです。
- プリンターの型番を確認する
- 取扱説明書またはメーカー公式サポートを開く
- 本体にローラークリーニング機能があれば実行する
- 指示がある場合だけ電源を切り、電源プラグを抜く
- 指定された部分だけを清掃する
- 水分を使った場合は完全に乾かす
- 新しい普通紙でテストする
エプソンの給紙トラブル案内では、用紙設定、用紙のセット状態、給紙ローラーへの紙粉などが確認項目として案内されています。
キヤノンも、紙が入らない、斜めに入る、紙詰まりを繰り返す場合の対処として、機種別の給紙ローラークリーニングを案内しています。キヤノンの給紙ローラークリーニング例は特定シリーズ向けなので、実際の操作は自分の型番に合う手順を確認してください。
ブラザーも、給紙ローラーに紙粉などが付着すると用紙を送れない場合があると説明しています。詳しくはブラザーの給紙エラー対処案内で機種を確認できます。
アルコール、シンナー、潤滑剤、粘着力の強いテープなどを、メーカーの指定なく使用しないでください。ゴムや樹脂の劣化、変形、故障につながる可能性があります。
市販のクリーニングシートも、すべての機種で使用できるわけではありません。対応機種、使用方向、使用枚数を確認してから使います。
10. インクジェットとレーザーで異なる注意点
インクジェットプリンターとレーザープリンターは、用紙をローラーで送る点は共通していますが、内部構造が異なります。
| 種類 | 確認しやすい場所 | 注意点 |
|---|---|---|
| インクジェット | 背面トレイ、前面カセット、給紙ローラー | エンコーダーフィルムや内部部品へ不用意に触れない |
| レーザー | 給紙カセット、手差しトレイ、搬送経路 | 定着部や周辺が高温になる場合がある |
| 複合機 | 印刷用紙側と原稿送り装置 | ADFの給紙不良と印刷用紙の給紙不良を分ける |
レーザープリンターは、印刷直後に内部の定着部が高温になっている場合があります。内部を確認するときは、警告ラベルと機種別の説明書に従い、指定されていない部品へ触れないでください。キヤノンもレーザープリンターの紙詰まり処理について、定着器周辺の高温に注意するよう案内しています。
複合機で「紙を吸わない」と感じた場合は、印刷用紙を送る給紙部なのか、コピーやスキャンに使う原稿送り装置であるADFなのかを確認します。両者は別のローラーやセンサーを使用しています。
11. 自分で直せる症状と修理が必要な症状
次のような状態は、設定や用紙の交換で改善する可能性があります。
- 新しい普通紙では正常に印刷できる
- 用紙を入れ直すと直る
- 給紙元を変更すると印刷できる
- 一方の給紙トレイだけ正常に使える
- ローラークリーニング後に改善した
- 用紙枚数を減らすと正常に給紙できる
一方、次の状態が続く場合は、ローラーの摩耗、ギアの破損、センサー異常なども考えられます。
- 新しい普通紙でもまったく給紙しない
- 毎回手で紙を押さないと入らない
- ローラー清掃後も空回りする
- 毎回同じ方向へ大きく斜めに入る
- ガリガリ、カチカチなどの異音がする
- カセットが正しく固定できない
- 紙がない状態でもローラーが回り続ける
- 複数の給紙口で同じ症状が出る
- 本体内部に割れた部品が見える
- エラー番号が何度も再表示される
保証期間内であれば、自分で分解せずメーカーや販売店へ相談します。保証期間外では、修理料金だけでなく、本体の使用年数、インクやトナーの在庫、印刷頻度、ほかの不具合の有無も考慮します。
給紙不良に加えて、印字かすれ、通信不良、異音など複数の問題が出ている場合は、修理より買い替えの方が負担を抑えられることもあります。
12. やってはいけない対処
一時的に紙が入っても、次の方法は故障を悪化させるおそれがあります。
- 印刷中に紙を強く押し込む
- ローラーを無理に逆回転させる
- 見えない異物を金属棒で探る
- 紙を勢いよく斜めに引き抜く
- 内部へ潤滑油を吹き付ける
- 指定のない洗剤や溶剤でローラーを拭く
- 異なる厚さや種類の紙を混ぜる
- 濡れた紙や大きく反った紙を使う
- 対応していないラベル紙を通す
- 別の型番の分解方法をそのまま試す
正常な状態であれば、対応用紙を正しくセットするだけで、手で押さなくても給紙できます。手で補助しなければ印刷できない状態が続くなら、そのまま使い続けず原因を確認してください。
13. よくある質問
Q. 給紙ローラーはアルコールで拭いてもよいですか?
メーカーや機種によって異なります。ゴム部品を劣化させる可能性があるため、説明書に記載がない場合は使用しないでください。指定された清掃方法を優先します。
Q. ティッシュやウェットティッシュで拭けますか?
ティッシュは繊維くずが残ることがあり、ウェットティッシュにはアルコールや洗浄成分が含まれている場合があります。指定がある場合は、柔らかく繊維の出にくい布などを使用します。
Q. 紙は多めに入れた方が吸い込みやすくなりますか?
多すぎると重送や給紙不良の原因になります。最初は新しい普通紙を5~10枚程度入れ、最大積載線を超えない範囲で試してください。
Q. 1枚ずつなら印刷できます。故障でしょうか?
故障とは限りません。湿気や静電気による紙の張り付き、用紙の反り、積載枚数、分離部の汚れなどが考えられます。
Q. 背面給紙では印刷できますが、カセットでは印刷できません。
カセットの装着、給紙元の設定、用紙ガイド、カセット側のローラーを確認します。背面給紙が正常なら、プリンター全体の故障ではなく、カセット側に原因がある可能性があります。
Q. 紙詰まり表示がないのに途中で止まります。
小さな紙片、異物、背面カバーの装着不良、対応外用紙、搬送部の不具合などが考えられます。見える範囲だけ確認し、無理に分解しないでください。
Q. 電源を入れ直せば直りますか?
一時的なエラーであれば改善する可能性はありますが、紙の状態、給紙設定、ローラーの汚れは電源を入れ直しても解消しません。再起動だけでなく、用紙と設定も確認してください。
Q. 長期間使っていなかったプリンターでも直せますか?
新しい普通紙への交換や、機種指定のローラークリーニングで改善する場合があります。改善しないときは、ローラーの硬化や摩耗、センサー異常も考えられます。
14. まとめ
用紙を取り込めないときは、次の順で確認すると原因を絞りやすくなります。
- 新しい普通紙を少量セットする
- 紙の反り、折れ、湿気を確認する
- 用紙ガイドを紙幅に合わせる
- 給紙元、用紙サイズ、用紙種類をそろえる
- カセットや背面カバーを確実に装着する
- 給紙口の異物や紙片を確認する
- 型番に合ったローラークリーニングを行う
- 改善しなければ修理を検討する
空回りする場合はローラーと用紙、斜めに入る場合はガイドと紙端、複数枚入る場合は湿気と分離部、「用紙なし」と出る場合は給紙元と用紙設定を優先して確認します。
新しい普通紙でもまったく給紙しない、手で押さないと入らない、異音や大きな斜め送りが続く場合は、部品の摩耗や破損も考えられます。無理に分解せず、型番を確認したうえでメーカーや修理窓口へ相談してください。