再就職手当はいくらもらえる?条件・計算方法・いつもらえるかを具体例で解説
結論から言うと、再就職手当は「失業手当を最後までもらい切る前に、早く安定した仕事に就いた人」を支援する雇用保険の給付です。
もらえる金額は、基本的に次の式で計算します。
基本手当日額 × 支給残日数 × 60%または70%
特に重要なのは、次の3点です。
| 確認すること | ポイント |
|---|---|
| 対象条件 | 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていることが必要 |
| 支給率 | 3分の2以上残っていれば70%、3分の1以上なら60% |
| 申請期限 | 原則として就職日の翌日から1か月以内 |
「失業手当を全部もらってから働いた方が得では?」と迷う人もいますが、早く再就職すれば給与収入に加えてまとまった手当を受け取れる可能性があります。一方で、待期期間、給付制限、就職経路、内定時期、前職との関係などで対象外になることもあります。
1. 早く働き始めた人を支援する制度
再就職手当は、雇用保険の「就職促進給付」の一つです。
失業手当、つまり基本手当の受給資格がある人が、所定給付日数を一定以上残して安定した仕事に就いた場合に支給されます。単なる「就職祝い金」ではなく、早期の職場復帰を後押しする公的制度です。
制度の公式情報は、以下で確認できます。
再就職手当を理解しておくと、次のような判断がしやすくなります。
- 早めに内定を受けるべきか
- 失業手当をどの程度残せば対象になるか
- 自己都合退職でも対象になるか
- 派遣・契約社員・アルバイトでも対象になるか
- 再就職後に賃金が下がった場合、別の給付があるか
2. 今知っておきたい理由
離職や転職は、誰にとっても生活費とキャリアの両方に関わる問題です。
総務省統計局の労働力調査では、2026年4月時点の完全失業者数は193万人、完全失業率は2.5%とされています。また、厚生労働省の一般職業紹介状況では、2026年4月の有効求人倍率は1.18倍、正社員有効求人倍率は0.99倍でした。
求人は一定数ある一方で、正社員求人だけを見ると、求職者に対して十分に余裕がある状況とは言い切れません。条件の良い職場を探しながら、生活費の不安も抑える必要があります。
そのため、再就職手当は「早く働くか、失業手当を受け続けるか」を考えるうえで重要な制度です。
3. 自分は対象?まず確認したい条件
再就職手当は、次の条件をすべて満たす必要があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 受給手続き | ハローワークで基本手当の受給手続きをしている |
| 待期期間 | 7日間の待期満了後に就職または事業開始している |
| 支給残日数 | 就職日の前日までの失業認定後、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある |
| 雇用の安定性 | 1年を超えて勤務することが確実と認められる |
| 雇用保険 | 原則として雇用保険の被保険者になる |
| 前職との関係 | 離職前の会社や密接な関係にある会社への再就職ではない |
| 過去の受給歴 | 就職日前3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受けていない |
| 内定時期 | 受給資格決定前から内定していた会社への就職ではない |
特に見落としやすいのは、ハローワークで受給手続きをする前から内定していた場合は対象外になり得ることです。
また、自己都合退職などで給付制限がある人は、待期満了後1か月間の就職経路にも注意が必要です。この期間に就職する場合、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介による就職であることが求められます。
4. かんたん判定表
細かい判断はハローワークが行いますが、目安として次のように考えると分かりやすいです。
| 状況 | 対象になる可能性 |
|---|---|
| 受給手続き後、7日間の待期満了後に就職した | 高い |
| 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある | 高い |
| 支給残日数が3分の1未満 | 原則対象外 |
| 受給資格決定前から内定していた | 対象外になりやすい |
| 前職と同じ会社・関連会社に再就職した | 対象外になりやすい |
| 1年以上働く見込みのある契約社員・派遣社員 | 対象になり得る |
| 短期アルバイト、週20時間未満、雇用保険なし | 対象外になりやすい |
| 起業した | 条件次第で対象になり得る |
迷った場合は、内定承諾前または入社日前にハローワークへ確認するのが安全です。就職後に「対象外だった」と分かると、やり直しが難しい場合があります。
5. 金額の計算方法
支給額は、次の式で計算します。
再就職手当 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率
支給率は、支給残日数によって変わります。
| 支給残日数 | 支給率 |
|---|---|
| 所定給付日数の3分の2以上 | 70% |
| 所定給付日数の3分の1以上 | 60% |
| 所定給付日数の3分の1未満 | 対象外 |
たとえば、所定給付日数が90日の人なら、60日以上残して就職すると70%、30日以上残して就職すると60%が目安です。
| 所定給付日数 | 60%対象の目安 | 70%対象の目安 |
|---|---|---|
| 90日 | 30日以上 | 60日以上 |
| 120日 | 40日以上 | 80日以上 |
| 150日 | 50日以上 | 100日以上 |
| 180日 | 60日以上 | 120日以上 |
| 210日 | 70日以上 | 140日以上 |
| 240日 | 80日以上 | 160日以上 |
| 270日 | 90日以上 | 180日以上 |
| 300日 | 100日以上 | 200日以上 |
| 330日 | 110日以上 | 220日以上 |
| 360日 | 120日以上 | 240日以上 |
6. 支給額の早見表
基本手当日額と支給残日数ごとの目安は次のとおりです。
| 支給残日数・支給率 | 基本手当日額4,000円 | 基本手当日額5,000円 | 基本手当日額6,000円 |
|---|---|---|---|
| 30日・60% | 72,000円 | 90,000円 | 108,000円 |
| 45日・60% | 108,000円 | 135,000円 | 162,000円 |
| 60日・70% | 168,000円 | 210,000円 | 252,000円 |
| 90日・70% | 252,000円 | 315,000円 | 378,000円 |
| 120日・70% | 336,000円 | 420,000円 | 504,000円 |
具体例も見てみましょう。
| 例 | 条件 | 計算 | 支給額 |
|---|---|---|---|
| 例1 | 基本手当日額5,000円、支給残日数70日、70% | 5,000円 × 70日 × 70% | 245,000円 |
| 例2 | 基本手当日額6,000円、支給残日数60日、60% | 6,000円 × 60日 × 60% | 216,000円 |
| 例3 | 基本手当日額6,570円、支給残日数130日、70% | 6,570円 × 130日 × 70% | 597,870円 |
なお、再就職手当の計算に使う基本手当日額には上限があります。2025年8月1日からの上限は次のとおりです。
| 離職時の年齢 | 再就職手当の計算に使う基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 59歳以下 | 6,570円 |
| 60歳以上64歳以下 | 5,310円 |
基本手当日額の上限は毎年8月1日に見直されることがあります。最新額は、厚生労働省の資料で確認してください。
7. いつもらえる?申請から振込までの流れ
再就職手当は、自動的に振り込まれるものではありません。本人が申請し、ハローワークで審査された後に支給可否が決まります。
基本的な流れは次のとおりです。
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1 | 離職後、ハローワークで求職申し込みと基本手当の受給手続きをする |
| 2 | 7日間の待期期間が満了する |
| 3 | 就職が決まったらハローワークへ申告する |
| 4 | 再就職手当支給申請書を受け取る |
| 5 | 事業主に証明欄を記入してもらう |
| 6 | 原則、就職日の翌日から1か月以内に提出する |
| 7 | ハローワークの審査後、支給または不支給が決まる |
厚生労働省のQ&Aでは、支給申請書を受理した後にハローワークで審査を行い、支給可否を判断するため、支給までには一定程度の時間を要するとされています。
つまり、「毎月○日に必ず振り込まれる」という制度ではありません。書類不備、事業主への確認、申請先の処理状況によって変わります。
申請後の審査状況を確認したい場合は、申請したハローワークに本人確認書類を持参して確認しましょう。個人情報保護の観点から、電話では答えてもらえない場合があります。
8. 申請期限と必要書類
申請期限は、原則として就職日の翌日から1か月以内です。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 再就職手当支給申請書 | 本人記入欄と事業主証明欄がある |
| 雇用保険受給資格者証 | 支給残日数や基本手当日額の確認に使う |
| 採用証明書など | 再就職の事実を確認するために求められる場合がある |
| その他ハローワークが求める書類 | 雇用契約書、出勤状況、事業開始関連書類など |
申請書は、以下のページからも確認できます。
会社に依頼するのは、主に事業主証明欄の記入です。本人が会社へ「再就職手当の申請に必要な書類です」と伝え、記入してもらいます。
9. 自己都合退職でも対象になる?
自己都合退職だからといって、必ず対象外になるわけではありません。
ただし、自己都合退職などで給付制限がある場合は、次の点に注意が必要です。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 待期期間 | 7日間の待期満了後であることが必要 |
| 就職経路 | 待期満了後1か月間は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職が必要 |
| 自己応募 | 待期満了後1か月を過ぎれば、知人紹介や求人サイト応募などでも対象になり得る |
| 教育訓練による解除 | 給付制限が解除された場合でも、待期満了後1か月間の就職経路条件に注意 |
2025年4月以降、自己都合退職の給付制限は原則1か月になりました。ただし、過去5年以内に2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けた場合などは3か月になることがあります。
また、一定の教育訓練等を受けた場合に給付制限が解除される制度もあります。
ただし、どの学習でも対象になるわけではありません。給付制限解除の対象になる教育訓練かどうかは、必ずハローワークで確認してください。
10. 対象外になりやすいケース
再就職手当で失敗しやすいのは、「早く就職したから当然もらえる」と思い込むことです。
次のケースは対象外になりやすいため注意しましょう。
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 受給手続き前から内定していた | 受給資格決定前の内定先は対象外になり得る |
| 待期期間中に就職した | 7日間の待期満了後の就職が条件 |
| 支給残日数が3分の1未満 | 支給残日数の条件を満たさない |
| 前職と同じ会社に戻った | 離職前の事業主への再就職は対象外 |
| 前職と密接な関係のある会社に就職した | 資本・人事・取引関係などで判断される |
| 1年以下の短期契約で更新見込みがない | 安定した職業と認められにくい |
| 雇用保険に入らない働き方 | 原則として雇用保険の被保険者になる必要がある |
| 3年以内に再就職手当等を受けている | 過去の受給歴で対象外になる |
「前職の取引先に就職する」「グループ会社に移る」「退職前から声をかけられていた」などは判断が難しいことがあります。自己判断せず、ハローワークで確認しましょう。
11. 派遣・契約社員・アルバイト・起業の場合
正社員でなくても、条件を満たせば対象になる可能性があります。
| 働き方 | 対象になる可能性 |
|---|---|
| 派遣社員 | 1年を超えて勤務する見込みがあり、雇用保険に入るなら可能性あり |
| 契約社員 | 更新見込みや契約内容によって判断される |
| アルバイト・パート | 雇用保険に入り、1年超の勤務見込みがあれば可能性あり |
| 短期バイト | 対象外になりやすい |
| 起業・自営業 | 事業の継続性などが認められれば対象になり得る |
起業の場合は、事業開始日や準備開始日の扱いが重要です。給付制限がある人は、待期満了後1か月以内に事業を開始すると対象外になる場合があります。
起業準備を始めるタイミングで基本手当の扱いにも影響するため、退職後に開業を考えている人は、早めにハローワークへ相談してください。
12. 失業手当をもらい切るのとどちらが得?
多くの人が迷うのが、「失業手当を最後までもらってから働いた方が得なのでは?」という点です。
単純な手当額だけを見ると、基本手当を受け続けた方が多く見える場合があります。しかし、早く再就職すると給与収入が入ります。
たとえば、基本手当日額5,000円、支給残日数60日の人がいるとします。
| 選択 | 受け取れるもの |
|---|---|
| 失業手当を60日分受ける | 5,000円 × 60日 = 300,000円 |
| すぐ再就職して70%の再就職手当を受ける | 5,000円 × 60日 × 70% = 210,000円 + 再就職後の給与 |
この例では、再就職手当だけを見ると300,000円より少なくなります。しかし、再就職後の給与が入るため、家計全体では早期就職の方が有利になることがあります。
ただし、金額だけで急いで就職先を決めるのは危険です。
- 仕事内容が合わない
- 通勤が長すぎる
- 労働条件が聞いていた内容と違う
- すぐ退職してしまう
このような状態になると、長期的には損をする可能性があります。再就職手当は早期就職を後押しする制度ですが、無理な就職をすすめる制度ではありません。
13. 就業促進定着手当との違い
再就職後に賃金が下がった場合は、就業促進定着手当も確認しておきましょう。
| 制度 | 目的 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 基本手当 | 失業中の生活支援 | 失業認定を受けながら求職活動をしている人 |
| 再就職手当 | 早期再就職の支援 | 支給残日数を残して安定した仕事に就いた人 |
| 就業促進定着手当 | 再就職後の賃金低下を補う | 再就職手当を受け、同じ就職先に6か月以上雇用され、賃金が低下した人 |
就業促進定着手当は、再就職手当を受けた人が、同じ事業主に6か月以上雇用され、再就職後6か月間の賃金が離職前より低い場合に対象となる可能性があります。
再就職先の月給が下がった人は、雇用契約書、給与明細、出勤簿に関する書類などを保管しておきましょう。
14. 受給漏れを防ぐチェックリスト
就職が決まると、入社準備で手続きが後回しになりがちです。次の項目を確認しておきましょう。
| チェック項目 | 確認 |
|---|---|
| ハローワークで基本手当の受給手続きをした | □ |
| 7日間の待期期間が満了している | □ |
| 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある | □ |
| 1年を超えて勤務する見込みがある | □ |
| 雇用保険に入る条件で働く | □ |
| 受給資格決定前から内定していた会社ではない | □ |
| 前職の会社や関連会社への再就職ではない | □ |
| 給付制限中の場合、就職経路を確認した | □ |
| 会社に申請書の証明欄を書いてもらった | □ |
| 就職日の翌日から1か月以内に提出できる | □ |
| 雇用保険受給資格者証を保管している | □ |
特に、申請期限と事業主証明欄は忘れやすいポイントです。入社後に忙しくなる前に、必要書類を早めにそろえましょう。
15. 再就職後に備えてできること
手当は生活面の不安を和らげてくれますが、新しい職場で安定して働き続けるには、知識やスキルの準備も大切です。
次のような人は、入社前後に少しずつ学習を進めておくと安心です。
- 未経験職種へ転職する
- 英語やTOEICの学習を再開したい
- 事務・会計・IT・資格試験の基礎を固めたい
- 入社後の研修についていけるか不安がある
- 転職活動中の時間を有効に使いたい
スキマ時間で英会話・TOEIC・資格・受験勉強などを進めたい場合は、学習の選択肢の一つとしてDailyDropsがあります。完全無料で利用でき、学習行動がユーザーに還元される共益型プラットフォームです。
ただし、雇用保険上の教育訓練に該当するかどうかは別の問題です。給付制限解除の対象になる教育訓練かどうかは、必ずハローワークで確認してください。
16. よくある質問
Q. 失業手当をまだ1回も受け取っていなくても対象になりますか?
A. 受給手続きをして、待期期間が満了し、支給残日数などの条件を満たせば対象になる可能性があります。実際に基本手当を何回受け取ったかより、受給資格決定や支給残日数が重要です。
Q. 受給手続き前に内定していた場合はどうなりますか?
A. 受給資格決定前から採用が内定していた会社への就職は、対象外になり得ます。退職後すぐ内定が出そうな場合でも、手続き前後の時期に注意してください。
Q. 申請期限を過ぎたら絶対にもらえませんか?
A. 原則は就職日の翌日から1か月以内です。期限を過ぎそうな場合や書類がそろわない場合は、自己判断で諦めず、早めにハローワークへ相談してください。
Q. 会社に知られますか?
A. 申請書には事業主の証明欄があるため、会社に記入を依頼する場面があります。また、審査の過程で在籍確認が行われることもあります。
Q. 試用期間中でも対象になりますか?
A. 試用期間があるだけで直ちに対象外になるわけではありません。1年を超えて勤務する見込みや雇用保険加入条件などで判断されます。
Q. アルバイトでも対象になりますか?
A. 短期・週20時間未満・雇用保険なしの場合は対象外になりやすいです。一方で、雇用保険に入り、1年を超えて働く見込みがある場合は対象になる可能性があります。
Q. 再就職後すぐ辞めたら返金が必要ですか?
A. 不正受給でない限り、受け取った再就職手当を単純に返金する制度ではありません。ただし、再び失業状態になった場合の基本手当の扱いは残日数や受給期間によって変わるため、退職後すぐにハローワークへ相談してください。
Q. 再就職手当を何回も受け取れますか?
A. 就職日前3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受けている場合は対象外になります。短期間で何度も受け取れる制度ではありません。
Q. 採用証明書と再就職手当支給申請書は同じですか?
A. 役割が異なります。採用証明書は就職の事実を確認するための書類で、再就職手当支給申請書は手当を申請するための書類です。必要書類はハローワークの案内に従ってください。
17. まとめ
再就職手当は、早く安定した仕事に就いた人を支援する実用的な制度です。
押さえるべきポイントは、次の3つです。
- 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上必要
- 3分の2以上残して就職すれば支給率は70%
- 申請は原則として就職日の翌日から1か月以内
金額は、基本手当日額 × 支給残日数 × 60%または70%で計算します。
ただし、待期期間、給付制限、就職経路、内定時期、前職との関係、雇用保険加入の有無などで対象外になることがあります。内定が出たら、入社準備と同時にハローワークへの確認を進めましょう。
制度を正しく使えば、転職直後の生活費の不安を抑えながら、新しい職場でのスタートに集中しやすくなります。お金の手続きを早めに済ませ、次の仕事で必要な知識やスキルを少しずつ積み上げていきましょう。