終活とは何をする?やることリスト・エンディングノートの書き方・費用・何歳から始めるかを解説
1. まず何をすればいいか結論から整理する
終活は、人生の終わりだけを準備するものではありません。病気や介護が必要になったとき、判断能力が低下したとき、亡くなったあとに、家族や周囲の人が困らないように「情報」と「希望」を整理しておくことです。
最初にやるべきことは、難しい契約や高額な準備ではありません。まずは次の3つを見える化するだけで、家族の負担は大きく減ります。
| 最初に整理すること | 目的 | 具体例 |
|---|---|---|
| 財産 | 相続や手続きを進めやすくする | 預貯金、不動産、保険、証券、借入金 |
| 希望 | 家族が判断に迷わないようにする | 医療、介護、葬儀、お墓、連絡してほしい人 |
| 連絡先・保管場所 | 緊急時に探す時間を減らす | 主治医、親族、保険会社、重要書類の場所 |
大切なのは、完璧なノートを作ることではなく、自分しか知らない情報を家族が見つけられる状態にすることです。
終活は「死ぬ準備」ではなく、これからの人生を自分らしく過ごし、家族の不安を減らすための整理です。
2. やることリスト10項目
終活で何をするのか迷ったら、まずは次の10項目を上から順に確認しましょう。
| 順番 | やること | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 1 | エンディングノートを書く | 家族に情報と希望を伝える |
| 2 | 財産一覧を作る | 相続や名義変更の手間を減らす |
| 3 | 保険・年金・借入金を確認する | 請求漏れや借金の見落としを防ぐ |
| 4 | 医療・介護の希望を整理する | 家族の判断負担を軽くする |
| 5 | 葬儀の希望を考える | 形式や費用で迷わせない |
| 6 | お墓・納骨先を確認する | 死後の手続きを明確にする |
| 7 | 遺言書が必要か検討する | 相続トラブルを防ぎやすくする |
| 8 | デジタル資産を整理する | スマホ、ネット銀行、サブスクに備える |
| 9 | 重要書類の保管場所を書く | 探す時間を減らす |
| 10 | 家族と共有する | 実際に使える状態にする |
この中で、最初から費用がかかるものは多くありません。エンディングノート、財産一覧、連絡先一覧は、紙のノートや表計算ソフトでも始められます。
一方で、不動産、遺言、相続税、成年後見、家族信託、事業承継などが関係する場合は、一般的な情報だけで判断せず、司法書士・弁護士・税理士・行政書士などへの相談も検討しましょう。
3. 今重要になっている社会的背景
終活が必要とされる背景には、高齢化、長寿化、一人暮らし高齢者の増加、デジタル契約の普及があります。
内閣府の高齢社会白書によると、日本の高齢化率は29.3%です。さらに2070年には65歳以上が総人口の38.7%、75歳以上が25.1%になると推計されています。
また、厚生労働省の令和6年簡易生命表では、平均寿命は男性81.09年、女性87.13年です。長く生きることが当たり前になるほど、亡くなった後だけでなく、介護、医療、認知症、住まい、財産管理を早めに考える必要があります。
さらに、厚生労働省の人口動態統計では、令和6年の死亡数は160万5298人とされています。相続や葬儀の手続きは、誰にとっても身近な課題になっています。
| 社会の変化 | 起こりやすい困りごと |
|---|---|
| 高齢化 | 医療・介護・相続の判断が増える |
| 長寿化 | 老後資金や住まいの設計が長期化する |
| 一人暮らしの増加 | 緊急連絡先や見守り体制が必要になる |
| デジタル化 | ネット銀行、スマホ、サブスクの把握が難しくなる |
| 相続登記の義務化 | 不動産の名義変更を放置しにくくなる |
「まだ元気だから必要ない」と考えがちですが、終活は本人が元気で判断できるうちの方が進めやすい作業です。
4. 何歳から始めるのがよいか
終活を始める年齢に決まりはありません。目安としては、50代から軽く始め、60代で具体化する流れが現実的です。
| 年代 | 主な目的 | やること |
|---|---|---|
| 40代 | 家族を困らせない最低限の整理 | 保険、住宅ローン、緊急連絡先、デジタル情報 |
| 50代 | 老後設計の土台作り | 資産一覧、親の介護、自分の医療・介護希望 |
| 60代 | 具体的な意思表示 | エンディングノート、葬儀、お墓、遺言の検討 |
| 70代以降 | 実行と更新 | 書類保管、家族共有、専門家相談 |
ただし、年齢よりも大切なのはタイミングです。
次のような出来事があれば、早めに見直す価値があります。
- 退職した
- 配偶者と死別した
- 親の介護が始まった
- 不動産を相続した
- 大きな病気をした
- 子どもが独立した
- 一人暮らしになった
- スマホやネット銀行の利用が増えた
特に、子どもがいない夫婦、独身の人、再婚家庭、不動産を持っている人、相続人同士の関係が複雑な人は、早めの整理が重要です。
5. エンディングノートの書き方
エンディングノートは、自分の情報や希望を家族に伝えるためのノートです。市販品を使っても、自治体の配布冊子を使っても、普通のノートや表計算ソフトで作っても構いません。
書く内容は、次のように分けると整理しやすくなります。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 基本情報 | 氏名、生年月日、住所、本籍、マイナンバーの保管場所 |
| 緊急連絡先 | 家族、親族、友人、主治医、ケアマネジャー |
| 医療 | 延命治療、告知、臓器提供、かかりつけ医 |
| 介護 | 自宅希望、施設希望、相談してほしい人 |
| 財産 | 預貯金、証券、不動産、保険、年金、借入金 |
| デジタル | スマホ、パソコン、ネット銀行、SNS、サブスク |
| 葬儀 | 宗教、葬儀形式、遺影、参列者、予算感 |
| お墓 | 墓地、納骨先、永代供養、改葬の希望 |
| メッセージ | 家族への感謝、伝えたいこと |
書き方のコツは、金額を細かく書きすぎるより、どこに何があるかを優先することです。
たとえば、次のような情報があるだけでも、家族は手続きを進めやすくなります。
- 通帳やキャッシュカードの保管場所
- 保険証券の保管場所
- 固定資産税通知書の場所
- 年金関係書類の場所
- 実印や印鑑登録証の場所
- 契約しているスマホ会社やネットサービス名
注意点として、暗証番号やパスワードをノートにそのまま書くのは危険です。盗み見られると財産被害につながる可能性があります。利用サービス名や保管場所は書き、パスワードは別の安全な方法で管理しましょう。
6. エンディングノートと遺言書の違い
エンディングノートと遺言書は、似ているようで役割が違います。
| 比較項目 | エンディングノート | 遺言書 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 情報や希望を伝える | 財産の分け方などを法的に示す |
| 法的効力 | 原則として弱い | 要件を満たせば効力がある |
| 書ける内容 | 医療、介護、葬儀、連絡先、思い出 | 相続分、遺贈、遺言執行者など |
| 形式 | 自由 | 法律上の方式が必要 |
| 向いている内容 | 家族への連絡・希望共有 | 相続トラブルの予防 |
つまり、エンディングノートに「長男に自宅を残したい」と書いても、それだけで法的に確実とは限りません。財産の分け方を明確にしたい場合は、遺言書を検討する必要があります。
政府広報オンラインの相続の基本解説でも、遺言書がある場合は原則としてその内容が優先され、ない場合などは民法のルールに従って遺産分割協議を行うと説明されています。
遺言書が特に必要になりやすいのは、次のようなケースです。
- 不動産を持っている
- 子どもがいない
- 再婚していて前婚の子がいる
- 相続人以外に財産を渡したい
- 事業を引き継ぐ人を決めたい
- 相続人同士の関係に不安がある
- 特定の人に多く財産を残したい
自筆証書遺言を使う場合は、法務局の自筆証書遺言書保管制度もあります。遺言書の保管申請手数料は、遺言書1通につき3900円です。
7. 終活にかかる費用の目安
終活は、高額な費用をかけなくても始められます。むしろ最初の段階では、無料でできる整理が多くあります。
| 項目 | 費用の考え方 |
|---|---|
| エンディングノート | 無料〜数千円程度 |
| 財産一覧の作成 | 自分で作れば無料 |
| 重要書類の整理 | 自分で行えば無料 |
| 自筆証書遺言の保管制度 | 法務局保管は1通3900円 |
| 公正証書遺言 | 財産額や内容により変動 |
| 葬儀 | 形式、人数、地域、宗教儀礼で大きく変動 |
| お墓・納骨 | 墓地、永代供養、樹木葬などで変動 |
| 専門家相談 | 相談先と依頼内容により変動 |
費用で失敗しないためには、最初から契約を急がないことです。葬儀、墓、保険、相続対策は、内容をよく理解しないまま契約すると、家族の希望と合わなかったり、不要な費用が発生したりすることがあります。
特に葬儀費用は、「一式」と書かれていても、飲食費、返礼品、宗教者への謝礼、火葬料、式場使用料、搬送費などが別になる場合があります。見積もりを比較するときは、総額だけでなく、何が含まれていて何が別料金なのかを確認しましょう。
8. 財産整理とデジタル終活で見落としやすいもの
財産整理では、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も書き出します。借入金、カードローン、未払い金、連帯保証、事業上の債務などは、相続人にとって重要な情報です。
| 種類 | 確認するもの |
|---|---|
| 預貯金 | 銀行名、支店名、口座種類、通帳の場所 |
| 証券 | 証券会社、株式、投資信託、NISA口座 |
| 保険 | 生命保険、医療保険、介護保険、受取人 |
| 不動産 | 登記事項証明書、固定資産税通知書、共有名義 |
| 年金 | 年金証書、企業年金、個人年金 |
| 借入金 | 住宅ローン、カードローン、保証債務 |
| 動産 | 車、貴金属、美術品、貸金庫 |
| 契約 | サブスク、通信契約、公共料金、会員サービス |
近年は、デジタル終活も重要です。国民生活センターは、スマホやパソコンの中にあるネット銀行、サブスク、SNSなどの「デジタル遺品」について注意を呼びかけています。スマートフォンでインターネットを利用する人は、60代で78.3%、70代で49.4%とされ、家族が契約内容を把握できないケースが増える可能性があります。詳しくは国民生活センターの注意喚起が参考になります。
デジタル終活では、次の4つを整理しましょう。
- スマホ・パソコンのロック解除方法をどう保管するか
- ネット銀行、ネット証券、コード決済の有無
- 毎月課金されるサブスク一覧
- SNS、クラウド写真、メールアカウントの扱い
ただし、ログインIDやパスワードを無防備に書き残すのは危険です。まずは「どのサービスを使っているか」「問い合わせ先はどこか」「重要情報の保管場所はどこか」を整理するところから始めましょう。
9. 医療・介護・認知症への備え
終活というと葬儀や相続を思い浮かべがちですが、実際には亡くなる前の医療・介護の判断が先に必要になることがあります。
| 項目 | 家族が迷いやすいこと |
|---|---|
| 延命治療 | 人工呼吸器、胃ろう、心肺蘇生を望むか |
| 告知 | 病名や余命を本人に伝えてほしいか |
| 介護場所 | 自宅、施設、家族との同居の希望 |
| 費用 | どの資産から介護費を出すか |
| 判断能力低下 | 誰に手続きや財産管理を任せるか |
本人が希望を話していないと、家族は「この判断でよかったのか」と悩み続けることがあります。医療や介護の希望は、家族に治療方針を押しつけるものではなく、判断するときの手がかりを残すものです。
認知症などで判断能力が低下した場合に備える制度として、成年後見制度、任意後見制度、家族信託などがあります。ただし、それぞれ仕組み、費用、財産管理の自由度が異なります。財産が多い、不動産がある、家族関係が複雑、事業をしている場合は、早めに専門家へ相談しましょう。
10. 葬儀・お墓・相続準備で決めておきたいこと
葬儀準備では、細かい演出よりも、家族が迷いやすい部分を決めておくと役立ちます。
| 項目 | 書いておくとよいこと |
|---|---|
| 葬儀形式 | 一般葬、家族葬、直葬、一日葬など |
| 宗教・宗派 | 菩提寺、戒名、読経の希望 |
| 参列者 | 呼んでほしい人、呼ばなくてよい人 |
| 遺影 | 使ってほしい写真の場所 |
| 費用 | 予算感、支払いに使う口座 |
| お墓 | 先祖代々の墓、永代供養、樹木葬、散骨など |
相続準備では、不動産の有無が大きなポイントです。2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。法務省は、正当な理由なく申請義務を怠った場合、10万円以下の過料の対象になると案内しています。詳細は相続登記の申請義務化についてを確認しましょう。
不動産は、共有名義にすると後の売却や管理で意見がまとまりにくくなることがあります。自宅、空き家、賃貸物件、農地、山林などがある場合は、誰が引き継ぐのか、売却するのか、維持費をどうするのかを早めに話し合うことが大切です。
11. 親に話を切り出すときのコツ
親の終活を子どもから切り出すときは、言い方に注意が必要です。「亡くなった後の準備をして」と言うと、責められているように感じる人もいます。
始めやすいのは、死後の話ではなく、入院や緊急時の話から入ることです。
| 避けたい言い方 | 伝えやすい言い方 |
|---|---|
| そろそろ終活してよ | 入院したときの連絡先だけ確認しておきたい |
| 通帳と暗証番号を教えて | 通帳や保険証券の保管場所だけ知っておきたい |
| 葬式はどうするの | 万一のとき、呼んでほしい人はいる? |
| 遺言を書いて | 不動産や保険のことを一度整理しておかない? |
親に話す前に、自分のエンディングノートを作ってみるのも有効です。「自分も整理してみたら大事だと思った」と伝えると、親も受け止めやすくなります。
兄弟姉妹がいる場合は、誰か一人だけで進めないことも大切です。財産や介護の話は誤解を招きやすいため、できるだけ情報を共有しながら進めましょう。
12. よくある質問
Q. 最初に何から始めればよいですか?
まずは、通帳、保険証券、不動産書類、年金関係書類の保管場所を書き出しましょう。次に、緊急連絡先と利用している金融機関・保険会社を一覧にします。
Q. エンディングノートだけで相続対策になりますか?
家族への情報共有には役立ちますが、財産の分け方を法的に確実にするものではありません。相続で揉める可能性がある場合は、遺言書を検討しましょう。
Q. 暗証番号やパスワードを書いてもよいですか?
そのまま書くのは危険です。利用サービス名や保管場所を記録し、パスワードは別の安全な方法で管理しましょう。
Q. 独身でも必要ですか?
必要です。入院時の連絡先、財産管理、死後の手続き、賃貸住宅の片付け、デジタル契約の解約などを誰が行うのかを整理しておくと安心です。
Q. 子どもがいない夫婦でも必要ですか?
必要性は高いです。配偶者だけでなく、親、兄弟姉妹、甥姪が相続に関係する場合があります。遺言書を作った方がよいケースもあります。
Q. 葬儀の生前契約はした方がよいですか?
必須ではありません。契約前に、解約条件、追加費用、家族の意向、葬儀社の信頼性を確認しましょう。希望を書き残すだけでも家族の判断材料になります。
Q. 終活は一度作れば終わりですか?
終わりではありません。口座、保険、家族関係、健康状態、住まい、スマホ契約は変わります。年1回、誕生日や年末などに見直すのがおすすめです。
Q. 専門家に相談すべきタイミングはいつですか?
不動産がある、相続人が多い、再婚家庭である、子どもがいない、事業をしている、相続税が心配、判断能力低下に備えたい場合は早めに相談しましょう。
13. まとめ:小さく始めて、家族と共有する
終活で大切なのは、完璧な計画を一度で作ることではありません。家族が困りやすい情報を、少しずつ見える化することです。
まずは、次の5つから始めてみましょう。
- 重要書類の保管場所を書く
- 財産と借入金を一覧にする
- 緊急連絡先をまとめる
- 医療・介護・葬儀の希望を書く
- スマホ、ネット銀行、サブスクを整理する
終活は、家族のためだけでなく、自分の不安を減らすための行動でもあります。情報が整理されると、老後資金、住まい、医療、介護についても冷静に考えやすくなります。
制度や手続きの意味を少しずつ理解しておきたい人には、日々学ぶ習慣も役立ちます。DailyDropsは完全無料で利用でき、学習行動がユーザーに還元される共益型プラットフォームです。暮らしに必要な知識を整理するための学習手段の一つとして活用できます。
今日できることは、大きな契約ではなく、1枚のメモを書くことです。財産、連絡先、希望のうち、まず一つだけでも書き出してみましょう。その小さな整理が、将来の自分と家族を助ける準備になります。