サッカー選手が子どもと手をつないで入場するのはなぜ?エスコートキッズの意味と選ばれ方
サッカーの試合前に選手と一緒に入場する子どもたちは、エスコートキッズやフェアプレーキッズと呼ばれます。
子どもと並んで入場する主な理由は、フェアプレーや相手への敬意を象徴し、次世代の子どもに特別な参加機会を提供するためです。選手の暴力や反則を直接防ぐための制度ではなく、サッカーが大切にする仲間意識や地域とのつながりを、目に見える形で表すセレモニーと考えると分かりやすいでしょう。
参加者は一般公募だけでなく、ファンクラブ、スポンサー、サッカースクール、地域団体などを通じて選ばれます。対象年齢や費用、観戦チケットの有無、どの選手と歩くかは大会ごとに異なります。
1. まず知りたいことを簡単に整理
| 疑問 | 結論 |
|---|---|
| 入場する子どもの名前は? | エスコートキッズ、フェアプレーキッズなど |
| なぜ選手と入場する? | フェアプレー、仲間意識、子どもの参加を象徴するため |
| なぜ手をつなぐ? | 安全に列を整え、選手と子どものつながりを表すため |
| どうやって選ばれる? | 抽選、会員募集、スポンサー企画、地域招待など |
| 何歳が対象? | 主に未就学児から小学生だが、大会によって異なる |
| 好きな選手を選べる? | 原則として選べないことが多い |
| 参加費は必要? | 無料、チケット別、有料企画など条件が異なる |
名称や運営方法は統一されていません。海外では player escort や match mascot、FIFAの企画では Player Escort などの表現も使われます。
2. エスコートキッズとは?
エスコートキッズとは、試合開始前の選手入場で、選手と一緒にピッチへ入る子どものことです。
一般的には選手と一対一で並び、手をつないで入場します。ピッチ上で両チームが整列し、記念撮影や国歌斉唱などを終えたあと、スタッフの案内に従って退場します。
日本サッカー協会は、エスコートキッズについて、子どもたちに夢を与えると同時に、フェアプレー精神を大切にし、「サッカーをする者は皆仲間である」ことを伝える意味があると説明しています。
詳しい説明は、JFAの公式FAQで確認できます。
エスコートキッズと似た役割には、次のようなものがあります。
| 役割 | 主な内容 |
|---|---|
| プレーヤーズエスコートキッズ | 選手と手をつないで入場する |
| レフェリーエスコートキッズ | 主審や副審と入場する |
| フラッグベアラー | 国旗、大会旗、フェアプレー旗などを運ぶ |
| ボールキャリア | 公式球をピッチへ運ぶ |
| コイントスキッズ | 試合前のコイントスを補助する |
| ハイタッチキッズ | ウォーミングアップへ向かう選手を迎える |
子どもが参加する試合前企画をすべて「エスコートキッズ」と呼ぶわけではなく、担当する役割によって名称が分かれています。
3. 子どもと入場する4つの理由
選手と子どもの入場には、ひとつだけではなく、複数の意味があります。
1つ目は、フェアプレーを象徴することです。
対戦相手、審判、観客を尊重し、ルールを守って正々堂々と戦う姿勢を、試合開始前に示します。子どもと選手が並ぶ光景は、サッカーが勝敗だけを目的とする競技ではないことを伝えやすくします。
2つ目は、仲間意識を表すことです。
試合では両チームが激しく競い合いますが、どちらの選手も同じ競技を支える仲間です。ホームとアウェーの選手が同じ形式で子どもと入場することで、対立だけではないスポーツの価値を表現できます。
3つ目は、子どもに参加機会を提供することです。
満員のスタジアムで選手と同じ通路を歩き、ピッチに立つ経験は、子どもにとって強い記憶になります。サッカーを始める、試合を継続して見る、将来スポーツに関わるといったきっかけになる可能性もあります。
4つ目は、クラブと地域社会を結ぶことです。
参加者には、クラブのファンクラブ会員やスクール生だけでなく、開催地域の子ども、地域団体、社会貢献活動に参加する子どもが選ばれることもあります。
FIFAワールドカップ2018では、選手エスコート、旗手、ボール係などを含むユースプログラムに、6~17歳の子どもや若者が約4,000人参加しました。このうちプレーヤーエスコートは、開催国から1,273人、海外から135人の計1,408人でした。
こうした規模からも、単なる数分間の演出ではなく、子どもと国際大会をつなぐ公式参加プログラムとして定着していることが分かります。詳細はFIFAのユースプログラムに関する発表に掲載されています。
4. なぜ選手と手をつなぐの?
手をつなぐこと自体に、サッカーの競技規則上の特別な意味はありません。
主な理由は、次のように考えられます。
- 大勢の観客や大きな音の中でも子どもが迷いにくい
- 選手と子どもの組み合わせが分かりやすい
- 入場する列の速度を合わせやすい
- 世代を超えたつながりを視覚的に表現できる
- テレビ映像や写真でもセレモニーの意味が伝わりやすい
選手は試合直前で集中しているため、長く会話できるとは限りません。それでも、手をつないで同じピッチへ向かう体験には、言葉だけでは伝えにくい一体感があります。
先発選手は1チーム11人なので、両チームの全選手に1人ずつ付く場合は22人となります。
11人 × 2チーム = 22人
ただし、必ず22人が参加するわけではありません。ホームチーム側だけで11人を募集する場合や、選手ではなく審判団を担当する子どもを別に募集する場合もあります。
5. どうやって選ばれる?主な募集方法
選び方は全国共通ではなく、クラブ、大会、代表戦、スポンサーによって異なります。
| 選ばれ方 | 主な応募条件 |
|---|---|
| 一般公募・抽選 | 年齢、居住地域、保護者の同意など |
| ファンクラブ会員向け募集 | 本人または保護者の会員資格 |
| スポンサー企画 | 会員登録、商品購入、応募課題など |
| スクール生向け募集 | クラブのサッカースクールへの所属 |
| 地域団体からの招待 | 開催地域、学校、少年団、福祉団体など |
| 当日の会場企画 | じゃんけん、抽選会、イベント参加など |
選手としての実力を審査して決めるとは限りません。サッカー未経験でも、応募条件に競技経験が書かれていなければ参加できる場合があります。
代表戦では、スポンサーごとに異なるプログラムを募集する例があります。JFAユースプログラムの募集例では、小学1~3年生のプレーヤーズエスコートキッズを22人募集し、応募にスポンサーのアプリや会員登録を必要としていました。
一方、Jクラブではファンクラブ会員限定の抽選が多く見られます。応募数が募集人数を上回った場合は抽選になりますが、応募総数や当選倍率までは公表されないことが少なくありません。
6. 対象年齢は何歳から何歳まで?
世界共通の年齢制限はありません。
代表戦やJリーグで見られる主な対象は、次のとおりです。
- 小学1~3年生
- 小学生全般
- 年長から小学6年生
- 6~10歳
- レフェリー担当など一部の役割では小学4年生以上
横浜F・マリノスが2024年に実施したエスコートキッズ募集では、対象を年長から小学6年生までとしていました。ファンクラブ会員限定で、応募者が多い場合は抽選となり、参加者自身で観戦チケットを用意する条件も設けられていました。
年齢だけでなく、次の条件にも注意が必要です。
- 試合開催日時点の学年で判定するか
- 応募時点の年齢で判定するか
- 本人名義の会員登録が必要か
- 保護者の会員資格でも応募できるか
- 指定された集合時刻に到着できるか
- スタッフの説明を聞き、単独で行動できるか
同じクラブでも試合や企画によって条件が変わるため、過去の募集要項だけで判断せず、参加したい試合の案内を確認する必要があります。
7. 参加費用や観戦チケットは必要?
参加に必要な金額も一律ではありません。
主に次のような形式があります。
| 形式 | 負担する可能性があるもの |
|---|---|
| 参加無料・チケット付き | 交通費、宿泊費など |
| 参加無料・チケット別 | 本人と保護者の観戦チケット |
| 会員限定 | ファンクラブやスポンサー会員の会費 |
| 商品・サービス連動企画 | 対象商品の購入費など |
| 有料体験企画 | 参加権を含む商品や体験プランの代金 |
無料募集であっても、観戦チケットや会場までの交通費が必要な場合があります。反対に、参加者と保護者1人分のチケットが用意される企画もあります。
たとえば、浦和レッズレディースの2025-26シーズンの募集例では、小学1~6年生を対象とし、参加する子どもと保護者1人の計2枚の観戦チケットを用意していました。
「参加無料」という言葉だけで判断せず、次の金額を合計して考えましょう。
会費・購入費
+ 観戦チケット
+ 交通費
+ 必要に応じた宿泊費
= 実際に必要な費用
ユニフォームは貸与されることが多いものの、そのまま記念品として受け取れる場合と、終了後に返却する場合があります。
8. 好きな選手と一緒に歩ける?
好きな選手やチームを指定できない募集が一般的です。
両チームから22人を募集する試合では、応援しているクラブではなく、対戦相手の選手を担当する可能性もあります。選手の欠場や先発変更もあるため、事前に組み合わせを確約することは難しいからです。
浦和レッズが国際大会で実施した22人の募集例でも、手をつなぐチームと選手は指定できないと明記されていました。
当日までに好きな選手と歩けると期待させすぎると、子どもが落胆することがあります。
誰と歩くかではなく、大きな試合の入場に参加できる体験そのものを楽しむ。
このように伝えておくと、どの組み合わせになっても前向きに参加しやすくなります。
9. 応募情報はどこで見つける?
参加を希望する場合は、次の順序で確認すると見つけやすくなります。
- 応援しているクラブの公式サイトを見る
- ファンクラブのお知らせや会員ページを確認する
- クラブ公式アプリやメールマガジンを確認する
- サッカースクール会員向けの案内を見る
- 代表戦ではJFAの大会特設ページを見る
- 大会スポンサーのキャンペーンページを確認する
募集期間は数日から2週間程度と短いことがあります。試合の直前ではなく、チケット発売やファンクラブイベントの案内が始まる時期から確認しておくと見逃しにくくなります。
応募前には、次の項目を必ず読みましょう。
- 対象年齢・学年
- 会員資格
- 募集人数
- 観戦チケットの有無
- 集合時刻と解散予定
- 保護者の同行範囲
- 服装や靴の指定
- 写真・映像の利用条件
- 当選連絡の方法
- 雨天時や中止時の対応
SNSで募集を知った場合も、最終的にはクラブや主催者の公式募集要項から申し込むことが大切です。
10. 起源はいつ?1998年と2002年の違い
子どもが選手と入場する習慣について、世界で最初に始めた国、クラブ、試合は明確になっていません。
JFAも、いつ、どこで始まったのかは定かではないと説明しています。そのうえで、FIFAワールドカップでは1998年大会から選手とエスコートキッズが入場しているとしています。
FIFAの説明では、子どもを大会運営に参加させるFIFA Youth Programmeが1998年のワールドカップから続いています。
一方、スポンサーと連携したPlayer Escort Programmeについて、FIFAは2002年に開始されたと説明しています。FIFAの2017年の公式発表では、2002年以降、1万人を超える子どもが主要大会に参加したとされています。
整理すると、次のようになります。
| 年 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 1998年 | ワールドカップで子どもが選手と入場し、FIFAユースプログラムが展開される |
| 2002年 | スポンサーと連携したプレーヤーエスコート・プログラムが始まる |
| その後 | 各国リーグ、代表戦、女子大会などへ広く定着する |
そのため、「1998年に世界で初めて始まった」「2002年に初めて子どもが入場した」と単純に言い切るのは適切ではありません。
1998年はFIFAのユースプログラムとワールドカップでの入場、2002年は特定の公式プレーヤーエスコート企画の開始として区別する必要があります。
11. よくある誤解と注意点
「選手の乱闘を防ぐために始まった」は確定した事実ではない
子どもの前で選手にフェアプレーを意識させるという説明はあります。しかし、それが歴史的な発祥理由だったと裏付ける明確な記録は確認されていません。
競技規則で義務づけられているわけではない
子どもとの入場は試合前セレモニーです。ゴール、反則、選手交代などを定める競技規則とは別であり、実施しない試合もあります。
上手な子だけが選ばれるわけではない
抽選や会員募集、地域招待では、サッカー技術を審査しない場合があります。未経験者でも応募できる企画はあります。
保護者がピッチまで付き添えるとは限らない
受付後はスタッフが子どもを引率し、保護者は観客席や指定場所で待つ形式が一般的です。
写真や映像が公開される可能性がある
テレビ中継、公式サイト、SNS、広報物などに顔が映る場合があります。応募時の同意事項を確認しておきましょう。
大きな音や照明が苦手な子には負担になることがある
スタジアムでは歓声、音楽、照明、花火などの演出が行われる場合があります。参加を無理強いせず、本人の意思や体調を優先することが大切です。
12. よくある質問
Q. エスコートキッズは何人ですか?
A. 両チームの先発11人全員に付く場合は22人です。ホームチーム側だけなら11人、審判担当などを含める場合は別の人数になります。
Q. サッカー未経験でも応募できますか?
A. 募集要項に競技経験が条件として書かれていなければ、未経験でも応募できる場合があります。
Q. 女の子も参加できますか?
A. 性別を問わず募集する企画が一般的です。ただし、必ず個別の条件を確認してください。
Q. 当選倍率はどのくらいですか?
A. 応募総数が公表されないことが多いため、一般的な倍率は分かりません。代表戦や注目度の高い試合では、少ない募集枠に応募が集中する可能性があります。
Q. 選手と話したり、サインをもらったりできますか?
A. 試合直前のため、会話やサインは原則として期待しないほうがよいでしょう。撮影や交流の可否は運営方法によって異なります。
Q. ユニフォームはもらえますか?
A. 貸与後に返却する場合と、記念品として受け取れる場合があります。靴や靴下を自分で用意する企画もあります。
Q. 当選した権利を兄弟や友人に譲れますか?
A. 本人確認を行うため、譲渡を禁止している募集が一般的です。参加できなくなった場合は、主催者へ連絡しましょう。
Q. 雨が降っても実施されますか?
A. サッカーの試合が開催されても、天候や安全上の理由でセレモニーだけ中止・変更される可能性があります。
13. 意味と応募時のポイントをまとめ
エスコートキッズは、選手の警護役でも、反則を直接防止する係でもありません。
主な役割は、次の4つです。
- フェアプレーと相手への敬意を象徴する
- サッカーに関わる人々の仲間意識を表す
- 子どもに特別な参加機会を提供する
- クラブ、大会、地域社会をつなぐ
参加者の選び方は、一般抽選、ファンクラブ、スポンサー企画、スクール枠、地域招待などさまざまです。対象年齢、費用、チケット、服装、選手の指定可否にも統一されたルールはありません。
応募する際は、特に次の5点を確認しておきましょう。
- 対象年齢と学年
- 会員資格や購入条件
- 本人と保護者の観戦チケット
- 集合時刻と当日の行動
- 写真・映像の利用条件
好きな選手と歩けるとは限りませんが、大勢の観客が見守るピッチへ選手と入場する経験は、それ自体が特別なものです。誰と組み合わせられるかだけにこだわらず、試合を支える一員として参加する意味を子どもと共有しておくと、より思い出深い一日になるでしょう。