太陽の周りに虹色の輪が見えるのはなぜ?日暈(ハロ)・月暈・幻日の違いと天気
太陽を囲む大きな虹色の輪は、多くの場合、日暈(ひがさ)またはハロと呼ばれる現象です。月を囲んでいれば月暈(つきがさ)、太陽の左右に明るい虹色の点があれば幻日(げんじつ)の可能性があります。
いずれも、上空の薄い雲に含まれる氷の結晶が光を曲げることで生じる大気光学現象です。ただし、太陽のすぐ近くにある小さな輪は光冠や花粉光環、写真にだけ写る輪や光点はレンズフレアかもしれません。
形、大きさ、現れる位置を比べると、よく似た現象を見分けやすくなります。
1. 太陽や月の輪の名前がすぐわかる早見表
最初に、見えている形から現象名を絞り込みましょう。
| 見え方 | 考えられる現象 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 太陽を囲む大きな輪 | 日暈・ハロ | 太陽から約22度離れていることが多い |
| 月を囲む大きな輪 | 月暈 | 白く淡い輪に見えやすい |
| 太陽の左右にある明るい点 | 幻日 | 太陽とほぼ同じ高さに出る |
| 月の左右にある明るい点 | 幻月 | 満月に近い夜でも見つけにくい |
| 太陽や月のすぐ近くにある小さな輪 | 光冠 | 輪が小さく、赤が外側になりやすい |
| 春に太陽の近くへ現れる小さな多重リング | 花粉光環 | 大気中の花粉による回折で生じる |
| 雲の一部分だけが不規則に色づく | 彩雲 | 雲の縁などに淡い色が並ぶ |
| 太陽の反対側に現れる大きな弧 | 虹 | 雨粒によって生じる |
| 写真にだけ輪や光点が写る | レンズフレア | カメラ内部で光が反射して生じる場合がある |
見分けるときに最も役立つのは、光源からどれくらい離れているかです。
太陽や月から手のひら一つ分ほど離れた大きな輪なら、代表的な22度ハローである可能性が高くなります。光源のすぐ近くにある小さな輪なら、光冠や花粉光環を疑います。
2. 暈・日暈・月暈とは何か
暈(かさ、うん)は、太陽や月の光が大気中の氷晶によって屈折・反射し、輪や弧などに見える現象の総称です。英語では halo と呼ばれ、日本でも「ハロ」という名称が広く使われています。
太陽の周りにできる暈が日暈、月の周りにできる暈が月暈です。
| 名称 | 読み方 | 光源 | 代表的な形 |
|---|---|---|---|
| 暈 | かさ・うん | 太陽または月 | 輪、弧、光点など |
| 日暈 | ひがさ | 太陽 | 太陽を囲む大きな輪 |
| 月暈 | つきがさ | 月 | 月を囲む大きな輪 |
| 内暈 | うちがさ・ないうん | 太陽または月 | 半径約22度の輪 |
| 外暈 | そとがさ・がいうん | 太陽または月 | 半径約46度の輪 |
気象庁は、暈を太陽や月を中心としてできる視半径22度または46度の比較的大きな輪と説明しています。最もよく見られるのは、半径約22度の内暈です。
詳しい定義は、気象庁「雲・大気現象・大気光象について」で確認できます。
暈を作る氷晶は、主に高い空に広がる巻雲や巻層雲に含まれています。地上が暖かい日でも、高度の高い場所は氷点下になるため、夏を含めて一年中見られる可能性があります。
3. なぜ約22度の大きな輪になるのか
日暈や月暈を作る主役は、六角形をした小さな氷晶です。氷晶は、空中に浮かぶ無数の小さなプリズムとして働きます。
光が空気から氷の中へ入り、再び空気中へ出るとき、進む方向が変わります。これが屈折です。
六角柱状の氷晶では、光がある面から入り、約60度傾いた別の面から出ることがあります。この経路を通った光には、約22度の最小偏角が生じます。多数の氷晶がさまざまな向きを向いていると、太陽や月から約22度離れた方向へ光が集まり、観察者には円形の輪として見えます。
太陽または月の光
↓
六角形の氷晶へ入る
↓
屈折して方向が変わる
↓
光源から約22度離れた方向へ届く
↓
大きな輪として見える
22度という数字は、空に浮かぶ輪の実際の直径ではなく、太陽や月の中心から輪までの角距離です。
腕を伸ばして手を大きく広げると、親指から小指までが約20度前後に見えます。個人差はありますが、光源から手のひら一つ分ほど離れた位置に輪があれば、22度ハローを見分ける目安になります。
世界気象機関の国際雲図帳でも、22度ハローは太陽または月を中心とする半径22度の明るい輪と定義されています。
4. 虹色になる理由と色の並び方
太陽光や月光は白く見えますが、複数の波長の光が含まれています。氷の中では色によって屈折率がわずかに異なるため、光が赤、黄、緑、青、紫などに分かれます。
22度ハローでは、一般に次のような色の並びになります。
- 輪の内側:赤
- 外側:黄、緑、青、紫
- 色が重なった部分:白っぽく見える
赤い光は紫の光より屈折率が小さいため、曲げられる角度も小さくなります。その結果、赤が太陽や月に近い内側へ現れます。
ただし、実際の暈が鮮やかな虹色になるとは限りません。氷晶の形や向きが不ぞろいだったり、雲が厚かったりすると色が重なり、白い輪に見えます。
月暈も同じ原理で色が分かれますが、夜間の人間の目は色を識別しにくくなるため、白く見えるのが一般的です。世界気象機関も、夜は色を知覚しにくいため、月によるハローは通常白く見えると説明しています。
輪が白いから暈ではない、というわけではありません。特に月暈は、白く淡い大きな輪として見えることが多い現象です。
5. 幻日はなぜ太陽の左右に現れるのか
幻日は、太陽の左側、右側、または両側に現れる明るい光点です。英語では parhelion、一般的には sun dog と呼ばれます。
日暈と同じく、氷晶による光の屈折で生じます。ただし、輪を作る22度ハローとは、氷晶の向きに違いがあります。
幻日を作りやすいのは、薄い六角板状の氷晶です。板状氷晶は落下するとき、空気抵抗によって平らな姿勢になりやすい性質があります。多くの氷晶の向きが水平にそろうと、屈折した光が特定の方向へ集中し、太陽の左右に強い光点が現れます。
主な特徴は次のとおりです。
- 太陽とほぼ同じ高さに出る
- 太陽の左、右、または両側に出る
- 太陽高度が低いときは約22度離れた位置に現れやすい
- 太陽に近い側が赤く、外側ほど白や青系になる
- 日の出後や日没前など、太陽が低い時間帯に目立ちやすい
- 条件がそろうと22度ハローと同時に見える
片側にしか幻日がない場合もあります。これは不吉な現象ではなく、左右の空で氷晶の量や向きが異なっているためです。
月の左右に同様の光点が生じた場合は幻月(げんげつ)と呼ばれます。月光は太陽光より暗いため、幻月は幻日より見つけにくい現象です。
6. 月の周りの輪は月暈・光冠・レンズフレアのどれか
月の周りに輪が見えたときは、輪の大きさと、肉眼でも見えるかを確認します。
月から大きく離れた輪
月から手のひら一つ分ほど離れた大きな輪なら、月暈の可能性が高いでしょう。輪の内側がやや暗く、全体が白っぽく見えるのが代表的な特徴です。
月のすぐ近くにある小さな輪
月のすぐそばに青、黄、赤などの小さな輪があれば、光冠の可能性があります。
光冠は、霧や薄い雲に含まれる非常に小さな水滴や氷の粒によって、光が回折して生じます。氷晶による屈折が中心の日暈・月暈とは、発生の仕組みが異なります。
世界気象機関による光冠の定義では、太陽や月を中心とする小さな色の輪が一つ、または複数並ぶ現象とされています。
写真にだけ輪や光点が出る
肉眼では見えないのに、スマートフォンやカメラの写真にだけ輪や光点が写る場合は、レンズフレアの可能性があります。
レンズフレアは、強い光がカメラレンズや内部の部品で反射して生じるものです。撮影する角度を少し変えたときに輪や光点が大きく移動したり、消えたりするなら、実際の空の現象ではない可能性が高くなります。
7. 花粉光環・光冠・彩雲・虹との違い
虹色の輪が見えても、すべてが日暈とは限りません。特に春は、花粉光環との混同に注意が必要です。
| 現象 | 主な原因 | 位置と形 | 色の特徴 |
|---|---|---|---|
| 日暈・月暈 | 氷晶による屈折 | 光源を囲む半径約22度の大きな輪 | 赤が内側 |
| 幻日 | 水平にそろった氷晶による屈折 | 太陽の左右にある光点 | 赤が太陽側 |
| 光冠 | 微小な水滴や氷粒による回折 | 光源のすぐ近くにある小さな輪 | 青紫が内側、赤が外側 |
| 花粉光環 | 花粉による回折 | 太陽の近くにある小さな多重リング | 虹色の輪が複数見えることがある |
| 彩雲 | 微小な水滴や氷晶による回折 | 雲の一部分が不規則に色づく | 淡いパステル調が多い |
| 虹 | 雨粒内での屈折と反射 | 太陽と反対側の空に出る | 主虹は赤が外側 |
| 環天頂アーク | 板状氷晶による屈折 | 太陽より高い空に弓形で出る | 鮮やかな逆さ虹に見える |
| 太陽柱 | 氷晶面による反射 | 太陽の上下に光の柱が伸びる | 赤、黄、白系が多い |
| レンズフレア | カメラ内部での反射 | 写真にだけ輪や光点が写る | 撮影角度で位置が変わる |
花粉光環との見分け方
花粉光環は、空気中を飛ぶ花粉によって光が回折して生じます。春の晴れた日に見られることがあり、花粉の大量飛散を示す現象として知られています。
日暈よりも太陽に近く、輪が小さいことが大きな違いです。日本気象協会による花粉光環の解説でも、太陽の周りに虹色の光の輪が現れる仕組みが説明されています。
ただし、太陽の近くにある小さな光環が、必ず花粉によるものとは限りません。水滴や氷粒による光冠も似た形になるため、季節や花粉情報、輪の形だけを組み合わせて判断します。
8. 暈が出ると雨になるのは本当か
「太陽や月がかさをかぶると雨」という言い伝えには、気象学的に説明できる部分があります。
低気圧や温暖前線が近づくと、地上へ雨を降らせる厚い雲より先に、高い空へ巻雲や巻層雲が広がることがあります。巻層雲に含まれる氷晶によって暈が生じ、その後、雲が徐々に厚く低くなり、雨や雪になる場合があります。
巻雲・巻層雲が広がる
↓
日暈や月暈が現れる
↓
雲が次第に厚くなる
↓
雨や雪になる場合がある
そのため、暈が天気の下り坂を知らせることはあります。
一方で、暈を見たら必ず雨になるわけではありません。上空の薄い雲だけが通過し、雨雲が近づかない場合もあります。雨が降り始める時刻や確率を、輪の濃さや大きさだけから判断することもできません。
気象庁も、天気のことわざには科学的に説明できるものがあり、低気圧の接近に伴う上層雲と暈の関係を例として挙げています。詳しくは気象庁「天気予報・天気図について」で確認できます。
暈は雨を確定させる予言ではなく、上空に氷晶を含む薄い雲が広がっていることを知らせる観察材料です。外出や洗濯の予定がある場合は、天気予報や雨雲の動きも併せて確認しましょう。
9. 見えやすい季節・時間・気象条件
日暈や月暈は、冬だけの現象ではありません。地上が暑い夏でも、高度の高い場所は非常に低温で、雲の中に氷晶が存在します。そのため、日本では一年を通して観察できます。
見えやすさを左右する主な条件は次のとおりです。
- 巻層雲などの薄い氷晶雲が広がっている
- 雲が厚すぎず、太陽や月の光が透けて見える
- 氷晶が十分に多い
- 光を屈折させるのに適した形の氷晶がある
- 暈の方向に建物や厚い雲が重なっていない
- 月暈の場合は月が明るく、空との明暗差が大きい
幻日は、太陽が低い朝夕に比較的見つけやすくなります。月暈は、満月に近い明るい月の夜ほど見つけやすい傾向があります。
非常に寒い地域では、雲の中だけでなく、地表付近を漂う細かな氷晶であるダイヤモンドダストが暈や幻日、太陽柱などを作ることもあります。
ただし、都市部でも上空に適切な雲があれば観察できます。特別な山岳地帯や寒冷地だけで見られる現象ではありません。
10. 地震の前兆や不吉な現象ではない
大きな光の輪や複数の太陽のような幻日を見ると、「地震の前兆ではないか」「不吉な意味があるのではないか」と不安になることがあります。
暈や幻日は、氷晶による光の屈折や反射で説明できる大気光学現象です。地震の発生を知らせる現象であるという科学的根拠は示されていません。
気象庁は、雲は大気の現象、地震は大地の現象であり、両者を結び付ける科学的な仕組みは説明されていないとしています。気象庁「地震予知について」でも、形や色の変わった雲と地震が見かけ上結び付けられることについて説明されています。
文化や伝承の中では、光の輪が吉兆や凶兆として扱われる場合があります。しかし、自然科学上は運勢や災害を示すものではありません。
珍しい形を見たときほど、次の点を確認すると落ち着いて判断できます。
- 太陽や月から約22度離れているか
- 上空に薄い雲が広がっているか
- 太陽の左右に光点があるか
- 肉眼でも見えるか、写真にだけ写っているか
- 気象庁などから実際に防災情報が出ているか
災害への備えは日頃から必要ですが、暈そのものを地震予測に利用することはできません。
11. 太陽を安全に観察・撮影する方法
日暈や幻日を探すときは、太陽を直接見続けないことが最も重要です。薄い雲がかかっていても、太陽光は目を傷める強さがあります。
安全に探すには、建物や屋根、街路樹などで太陽本体を隠し、その周囲だけを見る方法が適しています。
- 建物や屋根で太陽本体を隠す
- 太陽から手のひら一つ分ほど離れた範囲を見る
- 大きな輪や左右の光点がないか短時間で確認する
- 長時間見上げず、こまめに目を休ませる
- 双眼鏡や望遠鏡を太陽へ向けない
普通のサングラス、色付き下敷き、CD、黒いフィルムなどは、太陽観察用の安全な保護具ではありません。双眼鏡や望遠鏡を使うと太陽光が集められ、肉眼よりも大きな危険があります。
国立天文台も、太陽を肉眼で直接見ることや、双眼鏡、望遠鏡、サングラスなどを使って見ることを避けるよう注意を呼びかけています。詳しくは国立天文台「日食の観察のしかた」を確認してください。
撮影するときは、画面越しだから安全とは限りません。太陽を見ながら構図を調整し続けず、建物などで太陽本体を遮った状態で撮影します。
月暈は太陽のような直視の危険がないため、大きさや色、雲の動きを落ち着いて観察できます。
12. よくある質問
Q. 太陽の周りの輪はすべてハロですか?
いいえ。太陽から大きく離れた輪はハロの可能性が高いものの、太陽のすぐ近くにある小さな輪は光冠や花粉光環かもしれません。写真にだけ写る場合は、レンズフレアも考えられます。
Q. 日暈とハロは同じ意味ですか?
日暈は太陽の周りに現れる暈です。ハロは、日暈、月暈、幻日、環天頂アークなど、氷晶によって生じる複数の現象を広く指す言葉としても使われます。日常的には、太陽を囲む22度ハローを「ハロ」と呼ぶことが多くあります。
Q. 月の周りに白い輪があるのは何ですか?
月から大きく離れた白い輪なら、月暈の可能性があります。月のすぐ近くに小さな色の輪がある場合は、光冠かもしれません。
Q. 輪が一周せず、一部分しか見えないのはなぜですか?
氷晶を含む雲が空全体に均一に広がっていないためです。暈を作る条件がそろった場所だけが光り、円弧や途切れた輪として見えることがあります。
Q. 幻日は左右に二つ出るのですか?
左右両方に出る場合も、片側だけに出る場合もあります。左右それぞれの空に、適切な形や向きの氷晶が十分に存在するかどうかで決まります。
Q. 夏でも日暈や幻日は見られますか?
見られます。地上が暑くても、巻雲や巻層雲ができる高い空は低温で、氷晶が存在できます。
Q. 月暈が大きいほど雨が近いのですか?
輪の大きさは主に光の屈折角で決まり、雨までの距離を直接表しているわけではありません。代表的な月暈は、天候にかかわらず半径約22度になります。
Q. スマートフォンで撮った光の輪も本物ですか?
肉眼でも同じ場所に見えるなら、実際の大気光学現象である可能性があります。撮影角度を変えると輪や光点が移動したり、肉眼ではまったく見えなかったりする場合は、レンズフレアの可能性があります。
13. 形と位置を見れば現象名を判断しやすい
太陽や月の近くに虹色の光を見つけたら、まず輪の大きさと位置を確認しましょう。
- 太陽を囲む大きな輪:日暈・22度ハロー
- 月を囲む大きな輪:月暈
- 太陽の左右にある明るい点:幻日
- 光源のすぐ近くにある小さな輪:光冠や花粉光環
- 雲の一部分だけが色づく:彩雲
- 太陽と反対側に現れる弧:虹
- 写真にだけ現れる光点や輪:レンズフレアの可能性
日暈や幻日は、上空の氷晶と光が作り出す自然な現象です。雨の前に現れることはありますが、必ず天気が崩れるとは限らず、地震の前兆でもありません。
空に光の輪を見つけたときは、太陽を直接見ないよう注意しながら、光源からの距離、色の並び、左右の光点、薄い雲の有無を確認してみましょう。見た目の特徴を一つずつ確かめると、よく似た空の現象も正しく見分けられるようになります。