卓球選手はなぜ卓球台のネット際を触る?手汗・タオル6点ルールと反則の違い
卓球の試合で選手がポイントの合間に台へ手を伸ばすのは、主に指先や手のひらの汗を減らし、ラケットを握る感覚を整えるためです。
正式な試合では、タオルを好きなタイミングで使えるわけではありません。原則として、両選手の得点を合わせた合計が6ポイント増えるごとに使用できます。そのため、次にタオルを使える時までの応急的な手汗対策として、台のネット際へ軽く触れる選手がいます。
ただし、台に触れる理由が全員同じとは限りません。呼吸を整えたり、前のポイントから気持ちを切り替えたりするルーティンとして行う選手もいます。
最も注意したいのは、ポイントが終わった後に触れる場合と、ラリー中にラケットを持っていない手で台面へ触れる場合では、ルール上の扱いが異なることです。
| 疑問 | 結論 |
|---|---|
| なぜ台を触る? | 主に手汗を減らし、握りを整えるため |
| なぜネット際? | ボールのバウンドへの影響を抑えやすいため |
| なぜタオルを使わない? | 原則として合計6ポイントごとに限られるため |
| 得点後に触ると反則? | 台を動かすなどしなければ、直ちに反則ではない |
| ラリー中に触ると反則? | フリーハンドが台の上面に触れると相手の得点 |
1. 台へ触れる主な目的は手汗を減らすこと
卓球では、ラケットを強く握り続ければ安定するわけではありません。打球する瞬間やコースに応じて力を調節し、指先や手首を使ってラケットの角度を細かく変えます。
手のひらや指先に汗が増えると、次のような問題が起こりやすくなります。
- グリップが手の中でずれる
- ラケットの角度を一定に保ちにくくなる
- 滑りを防ごうとして余計な力が入る
- フォアとバックの切り替えがしにくくなる
- サービス時の細かい操作が不安定になる
- 木製グリップの感触が変わる
そのため、選手はラリーとラリーの間にラケットを持っていない手を台へ軽く当て、指先の水分を少し減らすことがあります。
タオルの代わりに手のひら全体を大きくこするというより、指先を一瞬当てて、いつもの握りへ戻すための小さな調整に近い動作です。
卓球専門メディアのRallysによる解説でも、競技選手が台へ触れる理由として手汗への対処が挙げられています。
ただし、映像だけを見て「この選手は手汗が多い」と断定することはできません。汗を拭く目的のほかに、毎回同じ動作を繰り返して集中を保つ意味が含まれている場合もあります。
2. なぜ台の中央ではなくネット際を触るのか
選手が触れる場所は、台の中央やエンドライン付近ではなく、ネットに近い端の部分であることが多くあります。
理由として考えられるのは、主に次の3点です。
ボールへの影響を抑えやすい
台の中央や選手側のエンドライン付近は、ラリー中にボールが頻繁にバウンドする場所です。そこへ汗や水分が残れば、ボールの跳ね方や滑り方に影響する可能性があります。
ネット際にも短いサービスやストップしたボールは入りますが、端の限られた場所へ指先だけを軽く触れることで、プレーへの影響を抑えやすくなります。
短い動作で済む
ポイントが終わった後、選手は台の近くにいます。ネット方向へ数歩進んで指先を当てれば、ベンチやタオル置き場まで移動する必要がありません。
数秒以内に元の位置へ戻れるため、試合の進行を大きく止めずに済みます。
同じ動作を繰り返しやすい
ネット際へ近づき、台に触れ、呼吸を整えて構えに戻るという一連の動作を決めておくと、前のポイントの結果を引きずりにくくなります。
ただし、公式ルールで「汗はネット際で拭く」と決められているわけではありません。台面へ目立つ汗を残したり、何度も強くこすったりしてよいという意味でもありません。
相手のプレーへ影響を与える可能性がある場合は、主審から拭き取りや競技の再開を求められることがあります。
3. タオルを使えるのは原則として合計6ポイントごと
卓球の試合では、汗をかいたからといって毎ポイント自由にタオルを使えるわけではありません。
日本卓球協会が公開している基本ルールでは、タオルを使える主なタイミングとして、各ゲームの開始から6ポイントごとなどが示されています。
ここでいう「6ポイントごと」とは、どちらか一方が6点を取るごとではなく、両選手の得点を合計した数字です。
| スコア | 合計得点 | 通常のタオル使用 |
|---|---|---|
| 3-3 | 6 | 可能 |
| 5-1 | 6 | 可能 |
| 6-0 | 6 | 可能 |
| 6-1 | 7 | 原則として不可 |
| 7-5 | 12 | 可能 |
| 10-8 | 18 | 可能 |
| 10-10 | 20 | 原則として不可 |
| 12-12 | 24 | 可能 |
たとえば、スコアが5-1になった時点では合計6ポイントなので、タオルを使用できます。一方、6-1は一方の選手が6点を取っていますが、合計は7ポイントなので、通常のタオル使用のタイミングではありません。
合計得点で数えると、タオルを使える基本的なタイミングは次のようになります。
6ポイント
↓
12ポイント
↓
18ポイント
↓
24ポイント……
このほかにも、次のような場面ではタオルを使用できます。
- 各ゲームの間
- 認められたタイムアウト中
- 最終ゲームのチェンジエンド時
- 主審が必要と認めた特別な状況
タオルの使用を一定の間隔に限ることで、選手が毎ポイント長い休憩を取り、試合の流れを止めることを防いでいます。
タオルを使えるタイミングまでの間、選手は手を振る、ユニフォームの乾いた部分へ触れる、グリップを握り直す、台へ一瞬触れるといった方法で感覚を整えます。
4. 得点後に触るのとラリー中に触るのは別
「卓球台へ手をついたら反則」と覚えている人もいますが、台へ触れたすべての場面が反則になるわけではありません。
重要なのは、ボールがインプレーの状態かどうかです。
ポイントがすでに決まった後であれば、ボールはインプレーではありません。次のサービスやレシーブの準備中に台へ軽く触れただけで、ハンドオン・テーブルの反則になるわけではありません。
得点が決まる
↓
ボールがインプレーではなくなる
↓
ネット際へ軽く触れる
↓
次のポイントを準備する
一方、サービスが開始され、まだラリーが続いている間にフリーハンドが台の上面へ触れると、相手に1ポイントが与えられます。
サービスが始まる
↓
ボールがインプレーになる
↓
ラリー中にフリーハンドが台面へ触れる
↓
相手の得点になる
日本卓球協会の用語集では、この反則を「ハンドオン・テーブル」と説明しています。
試合映像を見る時は、選手の手元だけでなく、次の点にも注目すると判別しやすくなります。
- ボールがまだ飛んでいるか
- 主審が得点を宣告した後か
- 選手が次のポイントの準備に入っているか
- 接触したのがラケットを持っていない手か
- 接触によって台が動いていないか
5. フリーハンド以外が触れた場合はどうなる?
フリーハンドとは、利き手ではなく、その時にラケットを持っていない手のことです。
右手でラケットを持つ選手なら通常は左手、左手で持つ選手なら通常は右手がフリーハンドになります。
ラリー中の接触について、基本的な違いを整理すると次のようになります。
| ラリー中の接触 | 基本的な扱い |
|---|---|
| フリーハンドが台の上面へ触れる | 相手の得点 |
| ラケットを持つ手が台面へ触れる | 触れただけでは直ちに失点とは限らない |
| 腕や脚、体が台面へ触れる | 台を動かさなければ直ちに失点とは限らない |
| 体や用具で台を動かす | 相手の得点 |
| 体や用具がネットや支柱へ触れる | 相手の得点 |
| 得点後に台へ軽く触れる | ラリー中の接触反則には当たらない |
たとえば、選手が大きく踏み込んで打球し、バランスを崩して台へぶつかったとします。
この時、ラケットを持っている手や体が台へ触れただけなら、フリーハンドの接触と同じ理由で失点するわけではありません。しかし、ぶつかった勢いで台を動かしたり、ネットへ触れたりすれば相手の得点になります。
反射的に手をつく場合も注意が必要です。転びそうになってフリーハンドを台面へつけば、身体を支えるためであっても失点の対象です。
台の側面は上面と同じ扱いではない
ハンドオン・テーブルの対象になるプレーイングサーフェスは、卓球台の水平な上面です。垂直になっている側面は、上面には含まれません。
そのため、フリーハンドが側面へ触れたことだけで、上面へ手をついた場合と同じ反則になるわけではありません。
ただし、実際のプレーでは側面を触ろうとして上面にも手がかかったり、勢いで台が動いたりすることがあります。最終的な判断は主審が行います。
公式競技へ出場する場合は、日本卓球協会の競技規則と大会要項を確認することが大切です。
6. 汗拭き以外にルーティンの意味もある
同じ選手の試合を何度か見ると、ポイントの後にほぼ同じ動作を繰り返していることがあります。
- 台のネット際へ触れる
- グリップを握り直す
- ラケットを反対の手へ持ち替える
- 深く息を吐く
- 一度コートの後方へ下がる
- サービス前にボールを一定回数つく
こうした行動は、汗への対処だけでなく、集中力や気持ちを整えるルーティンにもなります。
長いラリーを落とした後は、すぐに次のポイントへ入ると、失点への悔しさや焦りが残りやすくなります。そこで毎回同じ動作を挟むことで、前の結果を区切り、次の1球へ注意を戻しやすくなります。
逆に、重要なポイントを取った直後も、興奮しすぎれば次のプレーが雑になる可能性があります。台へ触れながら呼吸を整えることが、気持ちを平常に戻す合図になっている場合もあります。
ただし、ルーティンであれば何をしても許されるわけではありません。
- 相手が準備しているのに長時間戻らない
- 毎ポイント必要以上に試合を止める
- 主審から再開を促されても従わない
- 相手の集中を意図的に妨げる
このような行為は、競技の遅延や不適切な行動と判断される可能性があります。短いルーティンと、故意の時間稼ぎは別です。
7. よくある質問
卓球台を触るのは不衛生ではありませんか?
多数の選手が触れるため、衛生面が気になる人もいるでしょう。選手は通常、指先を一瞬当てる程度であり、台をタオルのように広くこするわけではありません。
ただし、汗や水分が目立って残る行為が望ましいわけではありません。競技へ影響する可能性があれば、台面を拭き取る対応が行われます。
なぜ自分の服で汗を拭かないのですか?
ユニフォームも汗を吸っているため、必ずしも乾いた状態とは限りません。また、服へ手をこすりつけるより、指先を台へ一瞬当てるほうが素早く済む選手もいます。
選手によっては、ユニフォームやショーツの乾いた部分を使う場合もあります。
3-3や5-1ではタオルを使えますか?
どちらも使えます。両選手の合計得点が6ポイントだからです。
- 3-3:合計6
- 5-1:合計6
- 6-0:合計6
一方、6-1は合計7ポイントなので、通常の6ポイントごとのタイミングには該当しません。
デュースではいつタオルを使えますか?
デュースになった後も、合計得点が6の倍数になった時が基本です。
たとえば、10-10は合計20ポイントなので通常のタイミングではありません。12-12になれば合計24ポイントなので、タオルを使用できます。
ラリー中に台へ触ると必ず反則ですか?
フリーハンドが台の上面へ触れた場合は、相手の得点になります。
ラケットを持つ手、腕、脚、体などが触れた場合は、それだけで同じ反則になるわけではありません。ただし、台を動かしたり、ネットへ触れたりした場合は失点します。
台の側面へ触れた場合も反則ですか?
垂直な側面は、ハンドオン・テーブルの対象となる上面には含まれません。ただし、側面への接触によって台を動かした場合や、同時に上面へ手がかかった場合は別の判定になります。
得点後なら台へ何度触れてもよいですか?
ポイント終了後の接触が直ちにハンドオン・テーブルになるわけではありませんが、台面を濡らしたり、競技を不必要に遅らせたりすることまで認められているわけではありません。
短時間で次のポイントの準備へ戻り、主審の指示に従う必要があります。
8. まとめ
卓球選手がポイント間に台のネット際へ触れる主な理由は、手汗を減らし、ラケットを握る感覚を整えるためです。
タオルは自由なタイミングで使えず、原則として両選手の合計得点が6、12、18ポイントと増えるごとに使用できます。その間の簡単な汗対策として、指先を台へ軽く当てる動作が見られます。
重要なポイントを整理すると、次のとおりです。
- 台へ触れる主な目的は手汗への対処
- ネット際はボールへの影響を抑えやすい
- タオルは自分が6点取った時ではなく合計6ポイントごと
- 得点が決まった後の接触は直ちに反則ではない
- ラリー中にフリーハンドが台の上面へ触れると相手の得点
- 台を動かしたりネットへ触れたりした場合も失点になる
- 汗拭きではなく、気持ちを整えるルーティンの場合もある
試合を見る時は、選手が台へ触れた瞬間だけでなく、ボールがまだインプレーなのか、どちらの手で触れたのか、スコアの合計はいくつなのかにも注目してみてください。
何気ない仕草の中に、手汗への対処、ラケット操作の繊細さ、ポイント間の心理的な切り替え、競技ルールの違いが見えてきます。