授業中に当てられるのが怖い理由|頭が真っ白で答えられない人の対策
1. 授業で当てられるのが怖いのは、勉強不足だけが原因ではない
授業中、先生に急に当てられた瞬間、頭が真っ白になる。
さっきまで答えは浮かんでいたのに、いざ名前を呼ばれると声が出ない。
あとから考えると簡単だったのに、その場では何も言えなかった。
このような経験があると、「自分は頭が悪いのかもしれない」「もっと勉強しないといけない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、答えがわかっているのに言えない状態は、理解不足だけで起こるものではありません。
授業中に当てられて頭が真っ白になる背景には、主に次のような要因があります。
| 原因 | 起きること |
|---|---|
| 評価される不安 | 間違えたら笑われる、変に思われると感じる |
| 周囲の視線 | クラス全員に見られているように感じる |
| 作業記憶の圧迫 | 答えを考える容量が不安に奪われる |
| 完璧主義 | 正しく言わなければいけないと思いすぎる |
| 声に出す練習不足 | 頭の中の答えを言葉に変換できない |
つまり、問題は「わかっていないこと」だけではなく、わかっている内容を、緊張する場面で声に出すことにあります。
授業中に当てられる場面では、次のような負荷が一気にかかります。
- 先生の質問を理解する
- 答えを思い出す
- 言い方を考える
- 周りの反応を気にする
- 間違えたときのことを想像する
- 声の大きさや話し方を意識する
これらを同時に処理しようとすると、普段ならできることでも止まってしまいます。
大切なのは、まず「自分はダメだ」と決めつけないことです。
授業で当てられるのが怖いのは、能力がないからではなく、脳と身体がプレッシャーに反応している状態だと考えると、対策が立てやすくなります。
2. 授業で当てられるのが怖い人は少なくない
授業で当てられるのが怖い、発表が苦手、人前で話すと頭が真っ白になる。
こうした悩みは、決して珍しいものではありません。
学校生活では、勉強そのものだけでなく、友人関係、先生との関係、発表、グループワーク、進路、成績など、さまざまなプレッシャーがあります。
文部科学省の「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、小・中学校の不登校児童生徒数が約34万6千人、高等学校の不登校生徒数が約6万9千人と公表されています。また、小・中・高・特別支援学校におけるいじめの認知件数は約73万3千件とされています。
参考:文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
もちろん、この数字がそのまま「授業で当てられるのが怖い人の数」を表しているわけではありません。
しかし、学校生活の中で不安や対人関係の負担を感じている児童生徒が少なくないことは、公的な調査からも読み取れます。
さらに、OECDのPISA 2022では、日本の15歳の学力は数学・読解力・科学の各分野でOECD平均を上回っています。
参考:OECD PISA 2022 Japan Country Note
つまり、日本の生徒は学力面で大きく劣っているわけではありません。
それでも、「授業で当てられると答えられない」「発表が怖い」と感じる人はいます。
ここからわかるのは、学力があることと、人前で答えられることは別の力だということです。
特に近年は、動画教材、オンライン学習、チャット、選択式の学習アプリなど、声を出さずに学べる環境が増えています。これは便利な一方で、普段から自分の考えを短く声に出す機会が少ない人にとっては、教室で急に話す場面の負担が大きくなりやすい面もあります。
授業で当てられるのが怖いという悩みは、単なる「恥ずかしがり」ではありません。
学んだことを人前で表現する力、緊張した場面で答えを取り出す力に関わる、重要な学習課題です。
3. 頭が真っ白になるとき、脳と身体では何が起きているのか
人前で急に答えを求められると、身体は緊張状態になります。
心拍が上がる。
呼吸が浅くなる。
手や声が震える。
顔が熱くなる。
視線が気になる。
頭の中で同じ言葉がぐるぐる回る。
これは、身体が危険に備えるときの自然な反応です。
授業中に当てられることは、本来なら命の危険ではありません。
しかし、脳は次のような社会的なリスクも「危険」として処理することがあります。
- 間違えたら笑われるかもしれない
- 先生に注意されるかもしれない
- 友達に変だと思われるかもしれない
- しどろもどろになったら恥ずかしい
- クラスの空気を止めてしまうかもしれない
このような不安が強くなると、脳の処理能力の一部が「答えを考えること」ではなく、「失敗を避けること」に使われます。
ここで関係するのが、作業記憶です。
作業記憶とは、短い時間だけ情報を頭に置きながら処理する力のことです。
たとえば、次のような場面で使われます。
- 問題文を覚えながら計算する
- 先生の質問を聞きながら答えを考える
- 英単語を思い出しながら英文を作る
- 自分の考えを短くまとめる
- 前に言われたことを踏まえて返答する
授業で当てられた瞬間、頭の中では次の処理が同時に走ります。
| 頭の中で起きること | 負荷 |
|---|---|
| 質問を理解する | 中 |
| 答えを思い出す | 中 |
| 言い方を考える | 中 |
| 声に出す準備をする | 中 |
| 周囲の視線を気にする | 大 |
| 間違えた場合を想像する | 大 |
不安が強いほど、作業記憶の容量が不安や自己チェックに使われます。
その結果、答えを考えるための余裕が減り、普段なら出てくる答えが出にくくなります。
これは、パソコンでたくさんのアプリを同時に開いて動きが重くなる状態に似ています。
パソコンが壊れているのではなく、処理が一時的に混み合っているのです。
同じように、授業中に頭が真っ白になるのも、能力がないからではありません。
緊張、不安、視線、時間制限が重なり、答えを取り出すための処理が止まりやすくなっているのです。
4. 「わかっているのに答えられない」はなぜ起こるのか
「家では答えられるのに、授業では言えない」
「ノートには書けるのに、口では説明できない」
「選択肢ならわかるのに、声に出すと止まる」
このような状態は、勉強ではよく起こります。
なぜなら、学習にはいくつかの段階があるからです。
| 段階 | できること | 例 |
|---|---|---|
| 認識 | 見ればわかる | 解説を読むと理解できる |
| 再生 | 自分で思い出せる | ノートを閉じても答えを書ける |
| 発話 | 声に出して言える | 指名されても短く答えられる |
| 説明 | 理由まで言える | なぜそうなるか説明できる |
多くの人は、「わかっているなら言えるはず」と考えます。
しかし実際には、理解する力と声に出す力は同じではありません。
たとえば、英語でも次のような差があります。
- 読めば意味がわかる単語
- 聞けば理解できる単語
- 自分で書ける単語
- 会話中にすぐ言える単語
同じ単語でも、使える場面には差があります。
数学でも同じです。
- 解説を見ればわかる
- 類題なら解ける
- テストで時間内に解ける
- 先生に聞かれて口で説明できる
これらは似ているようで、必要な力が少しずつ違います。
授業中に当てられたときに求められるのは、単なる理解ではありません。
理解した内容を、短時間で、周囲の視線がある中で、声に出す力です。
だから、家でわかるのに授業で言えない人は、勉強していないのではなく、発話の段階だけがまだ弱い可能性があります。
特に次のような人は、頭の中では理解できていても、声に出す段階で止まりやすくなります。
- 完璧な文章にしてから言おうとする
- 少しでも間違えたくない
- 声が震えるのを気にしてしまう
- 周りの反応を想像しすぎる
- 「変な答えだったらどうしよう」と考える
- 言い始める前に何度も頭の中で確認する
この場合、必要なのは「もっと長く勉強すること」だけではありません。
短く言う練習が必要です。
たとえば、次のような一言でも十分です。
- 「答えはAだと思います」
- 「たぶん、比例です」
- 「理由は、同じ割合で増えているからです」
- 「途中までですが、ここまではわかりました」
- 「自信はありませんが、〇〇だと思います」
授業中の発言は、最初から完璧である必要はありません。
まずは、頭の中にあるものを短く外に出すことが大切です。
5. 授業中に頭が真っ白になりやすい人の特徴
授業で当てられたときに固まりやすい人には、いくつかの共通点があります。
ただし、これは「悪い性格」という意味ではありません。むしろ、まじめで、周囲に気を配り、失敗を避けようとする人ほど起こりやすい場合があります。
| タイプ | 特徴 | 起こりやすいこと |
|---|---|---|
| 正解不安タイプ | 間違えるのが怖い | 答えが浮かんでも言えない |
| 視線過敏タイプ | 周りの目が気になる | クラス全員に見られているように感じる |
| 完璧主義タイプ | きれいに言おうとする | 話し始める前に止まる |
| 処理停止タイプ | 急な質問に弱い | 何を聞かれたか一瞬わからなくなる |
| 声出し不足タイプ | 口に出す経験が少ない | 家ではわかるのに授業で詰まる |
| 過去経験タイプ | 以前笑われた経験がある | 似た場面で強く緊張する |
たとえば、答えは浮かんでいるのに「これで合っているかな」と何度も確認してしまう人は、正解不安タイプかもしれません。
先生の質問よりも、周りの友達の顔や空気が気になってしまう人は、視線過敏タイプの要素があります。
頭の中では長い説明を作ろうとしているのに、最初の一言が出ない人は、完璧主義タイプに近いでしょう。
どのタイプにも共通しているのは、答える前のハードルが高くなりすぎていることです。
本来、授業中の返答は次のような短いもので構いません。
- 単語で答える
- 選択肢で答える
- 途中まで答える
- わからない部分を言う
- もう一度質問を聞く
ところが、頭の中で「正確に、わかりやすく、変に思われず、すぐに答えなければ」と考えると、返答の難易度が一気に上がります。
まずは、自分がどのタイプに近いかを知ることが大切です。
原因が違えば、対策も変わります。
6. やってはいけない対処法
授業で当てられるのが怖いと、できるだけ目立たないようにしたくなります。
しかし、短期的には楽になっても、長期的には不安を強めてしまう行動もあります。
| 行動 | 一時的な効果 | 長期的な問題 |
|---|---|---|
| ずっと下を向く | 当てられにくく感じる | 授業内容が入りにくくなる |
| 目を合わせない | 注目を避けられる | 余計に緊張しやすくなる |
| わからないふりをする | 失敗を避けられる | 「言えた経験」が積めない |
| 完璧な答えだけ言う | 間違いを減らせる | 発言回数が極端に減る |
| 自分を責める | 反省した気になる | 次の授業がさらに怖くなる |
| 発表を全部避ける | その場は安心する | 苦手意識が固定されやすい |
特に注意したいのは、避けるほど怖さが強くなることです。
不安な場面を避けると、その瞬間は安心します。
しかし脳は、「避けたから助かった」と学習します。
すると次に同じ場面が来たとき、以前よりも強く警戒するようになります。
もちろん、強すぎる不安を無理やり我慢する必要はありません。
動悸や吐き気が出るほどつらい場合、先生やスクールカウンセラーに相談することも大切です。
ただ、「すべて避ける」か「根性で全部やる」かの二択にする必要はありません。
大切なのは、小さく慣れることです。
たとえば、いきなり長い発表を目指すのではなく、
- うなずく
- 教科書の場所を示す
- 単語だけ答える
- 一文で答える
- 理由を一つ添える
というように、段階を分けます。
授業で当てられる怖さを減らすには、「失敗しないこと」よりも、小さく答えられた経験を増やすことが重要です。
7. 当てられたときに使える返答フレーズ
頭が真っ白になりやすい人は、答えそのものよりも先に、最初の一言を決めておくと楽になります。
急に当てられると、脳は「何を言えばいい?」「どう始めればいい?」で止まりやすくなります。
そこで、あらかじめ返答の型を持っておきます。
| 場面 | 使える一言 |
|---|---|
| 答えがわかる | 「答えは〇〇だと思います」 |
| 少し自信がない | 「自信はありませんが、〇〇だと思います」 |
| 理由も言える | 「理由は、〇〇だからです」 |
| 途中までわかる | 「途中までですが、〇〇まではわかりました」 |
| 質問を聞き逃した | 「すみません、もう一度お願いします」 |
| 少し考えたい | 「少し考えてもいいですか」 |
| どこがわからないか言える | 「ここまではわかりますが、この先がわかりません」 |
| 完全にわからない | 「今はわかりません。解説を聞きたいです」 |
このようなフレーズを用意しておくと、答えられない場面でも完全に沈黙しにくくなります。
特におすすめなのは、次の3つです。
「自信はありませんが、〇〇だと思います」
「途中までですが、〇〇まではわかりました」
「少し考えてもいいですか」
この3つは、完璧な答えが出ないときにも使えます。
授業中に大切なのは、必ずしも正解を一発で言うことではありません。
自分が今どこまで考えているかを伝えるだけでも、学習として意味があります。
また、「わかりません」だけで終わるよりも、次のように言えると先生もサポートしやすくなります。
| 避けたい言い方 | 改善した言い方 |
|---|---|
| 「わかりません」 | 「問題の意味はわかりますが、式の立て方がわかりません」 |
| 「無理です」 | 「最初の部分だけならわかります」 |
| 「忘れました」 | 「言葉が出てこないので、少し考えてもいいですか」 |
| 無言 | 「すみません、もう一度質問をお願いします」 |
沈黙してしまう人ほど、「正解を言う」以外の選択肢を持っておくことが大切です。
8. 家でできる練習は「声に出す再生」
授業中に答えられるようになるには、家での勉強方法も少し変える必要があります。
問題を解く。
解説を読む。
答え合わせをする。
ノートにまとめる。
これらは大切ですが、これだけでは「声に出す力」はあまり鍛えられません。
授業中に当てられたときに必要なのは、見ないで思い出し、短く声に出す力です。
おすすめの練習は次の3つです。
| 練習 | やり方 | 効果 |
|---|---|---|
| 10秒説明 | 解いた問題を10秒で説明する | 要点を短くまとめる力がつく |
| 一文回答 | 答えを一文で言う | 授業中の返答に近い練習になる |
| 音読確認 | 重要語句や英文を声に出す | 声に出す抵抗が減る |
たとえば数学なら、問題を解いたあとに次のように言います。
- 「この問題は、まず条件を式にします」
- 「比例なので、
y = axの形で考えます」 - 「ここで代入して、最後に答えを出します」
- 「間違えた原因は、符号を見落としたことです」
英語なら、次のように言えます。
- 「ここは過去の話なので、過去形を使います」
- 「主語が三人称単数なので、動詞にsがつきます」
- 「becauseの後ろには理由を置きます」
- 「この単語は読めますが、まだ自分では使えません」
社会や理科なら、用語を一文で説明します。
- 「光合成は、植物が光を使って栄養を作るはたらきです」
- 「鎌倉幕府は、源頼朝が開いた武士の政権です」
- 「需要が増えると、価格が上がりやすくなります」
ポイントは、長く説明しようとしないことです。
最初から1分話そうとすると負担が大きくなります。
まずは10秒で十分です。
また、声に出す練習は、毎回大きな声でやる必要はありません。
小さな声でも、独り言でも構いません。
大切なのは、頭の中だけで終わらせず、言葉として外に出すことです。
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9. 授業中にできる具体的な対策
授業中に当てられるのが怖い人は、当てられた瞬間だけで何とかしようとすると難しくなります。
大切なのは、当てられる前から準備しておくことです。
まず、先生が説明している間に、心の中で短い答えを作る癖をつけます。
- 「この質問なら答えは何だろう」
- 「一言で言うなら何だろう」
- 「理由をつけるなら何と言えるだろう」
- 「自分ならどこまで説明できるだろう」
これをしておくと、急に当てられてもゼロから考えずに済みます。
次に、見る場所を決めておきます。
周囲の視線が気になる人は、クラス全体を見ようとすると緊張が強くなります。
最初は次のどれかで十分です。
- 先生の手元
- 黒板の文字
- 自分のノート
- 教科書の該当箇所
- 机の少し前
「みんなに見られている」と感じると不安は大きくなります。
しかし実際には、多くの生徒は自分のノートや教科書を見ていたり、次に自分が当たらないかを気にしていたりします。
緊張していると、周囲の視線を実際より大きく感じやすくなります。
見る場所を決めておくだけでも、視線への不安は少し減らせます。
また、答える前に一呼吸置くことも有効です。
おすすめは、吸う:2秒、吐く:4秒 です。
長い深呼吸をしようとすると、かえって不自然に感じることがあります。
短く息を吐くだけでも、身体の緊張を少し落ち着かせる助けになります。
授業中の目標は、段階的に考えましょう。
| 段階 | 目標 |
|---|---|
| 第1段階 | うなずく、反応する |
| 第2段階 | 単語だけ答える |
| 第3段階 | 一文で答える |
| 第4段階 | 理由を一つ添える |
| 第5段階 | 自分の考えを短く説明する |
最初から「堂々と話す」必要はありません。
まずは、短くても声が出た経験を増やすことが大切です。
10. 発表が怖い人にも共通する対策
授業で当てられるのが怖い人は、発表やスピーチも苦手なことがあります。
ただし、指名と発表には違いがあります。
| 場面 | 特徴 |
|---|---|
| 授業中の指名 | 急に当たる、準備時間が短い |
| 発表 | 事前準備はできるが、注目時間が長い |
| グループ発表 | 役割分担があるが、人間関係の不安がある |
| 面接・口頭試問 | 評価される感覚が強い |
共通しているのは、人前で言葉にする不安です。
発表が怖い人にも、次の対策は役立ちます。
- 最初の一文を決めておく
- 全文を暗記しようとしない
- 話す内容を3点に絞る
- 見る場所を決める
- 早口になりすぎない
- 一度小さな声でリハーサルする
- 「完璧に話す」より「伝える」を目標にする
特に、発表が苦手な人は原稿を丸暗記しようとしがちです。
しかし、丸暗記は一文飛ぶと一気に止まりやすいという弱点があります。
おすすめは、全文暗記ではなく、次のようなメモにすることです。
| 順番 | メモする内容 |
|---|---|
| 1 | 結論 |
| 2 | 理由 |
| 3 | 具体例 |
| 4 | まとめ |
この形なら、多少言葉が変わっても話を続けやすくなります。
授業中の指名でも同じです。
頭の中で完璧な文章を作るより、結論だけ先に言うほうが止まりにくくなります。
たとえば、
「答えはBだと思います。理由は、前の文とつながるからです。」
この程度で十分です。
短く答える練習は、発表、面接、英会話、資格試験の説明問題などにもつながります。
「授業で当てられるのが怖い」という悩みをきっかけに、少しずつ人前で言葉にする力を育てていくことができます。
11. 先生に相談するときの伝え方
授業で当てられるのがつらい場合、先生に相談するのも一つの方法です。
ただし、「当てないでください」とだけ言うと、先生側もどう対応すればよいか迷うことがあります。
できれば、困っていることと、あると助かる配慮をセットで伝えるとよいでしょう。
たとえば、次のように言えます。
授業内容は理解できていることもありますが、急に当てられると緊張して言葉が出なくなることがあります。少し考える時間があると答えやすいです。
または、
口で答えるのが苦手なので、最初はノートに書いてから答える形にしてもらえると助かります。
さらに短く伝えるなら、
急に当てられると頭が真っ白になるので、少し待ってもらえると答えやすいです。
先生に相談するときのポイントは、次の3つです。
| ポイント | 例 |
|---|---|
| 困っている場面を具体的に言う | 「急に当てられると固まります」 |
| できることも伝える | 「書けば答えられることがあります」 |
| 助かる対応を伝える | 「少し考える時間がほしいです」 |
保護者に伝える場合は、次のような言い方もできます。
わからないから黙っているわけではなく、人前で急に答えると頭が止まる感じがあります。家で短く説明する練習をしたいです。
もし直接言うのが難しい場合は、紙に書いて渡す、連絡帳に書く、保護者から伝えてもらう、スクールカウンセラーに相談する方法もあります。
配慮の例としては、次のようなものがあります。
- いきなりではなく、少し考える時間をもらう
- 最初は選択式の質問にしてもらう
- ノートに書いてから答える
- ペアで確認してから発言する
- 途中までの答えでも認めてもらう
- 発表の順番を事前に知らせてもらう
ただし、すべての発言を避けることが必ずしも最善とは限りません。
完全に避け続けると、発話への不安が残りやすくなるからです。
理想は、先生と相談しながら、安心できる難易度から少しずつ慣れることです。
12. 不安が強すぎる場合は相談していい
授業中に当てられるのが苦手なだけなら、練習や環境調整で少しずつ楽になることがあります。
しかし、次のような状態が続く場合は、一人で抱え込まないほうがよいでしょう。
- 指名される可能性があるだけで登校がつらい
- 発表の前日から眠れない
- 動悸、吐き気、震えが強い
- 授業中ずっと不安で内容が入ってこない
- 友達との会話も避けるようになっている
- 失敗を何日も引きずってしまう
- 自分を強く責め続けてしまう
- 勉強そのものが手につかない
このような場合は、学校の先生、保護者、スクールカウンセラー、医療機関などに相談することも選択肢です。
人前で話す不安は多くの人が経験します。
一方で、日常生活や学習に大きな支障が出ている場合は、単なる恥ずかしさだけではなく、強い不安が関係していることもあります。
ここで大切なのは、自己判断で病名を決めつけないことです。
インターネットで調べると「社交不安」「対人不安」などの言葉が出てくることがありますが、診断は専門家が行うものです。
ただし、相談すること自体は早すぎる必要はありません。
「このくらいで相談していいのかな」と思う段階でも、先生やスクールカウンセラーに話してみる価値はあります。
相談することは、弱さではなく、自分に合った対策を見つけるための行動です。
13. よくある質問
Q. 家では答えられるのに、授業中だけ答えられません。これは甘えですか?
甘えではありません。家と教室では、周囲の視線、評価される感覚、時間制限、先生や友達の反応が違います。同じ問題でも、環境が変わると答えを取り出しにくくなることがあります。
Q. 授業で当てられるのが怖いなら、発言を避けたほうがいいですか?
不安が強すぎる場合は、先生に相談して配慮を受けることも大切です。ただし、完全に避け続けると苦手意識が残りやすくなります。単語で答える、一文だけ言う、ノートを見ながら答えるなど、小さな段階から慣れるのがおすすめです。
Q. 答えはわかっているのに、声に出そうとすると止まります。どうすればいいですか?
最初の一言を決めておくと楽になります。「答えは〇〇だと思います」「自信はありませんが〇〇です」「途中までですが〇〇まではわかりました」など、返答の型を用意しておきましょう。
Q. 間違えて笑われた経験があり、それ以来怖いです。
過去に嫌な経験があると、似た場面で身体が強く警戒することがあります。無理に忘れようとする必要はありません。信頼できる先生に事情を伝え、いきなり大きな発表ではなく、短い返答から練習するのが現実的です。
Q. 声が震えるのが恥ずかしいです。
声の震えは、緊張したときによく起こる身体反応です。本人は大きく感じますが、周囲は思ったほど気にしていないこともあります。最初は声の安定よりも、「短くても言えた」ことを目標にしましょう。
Q. 勉強すれば自然に答えられるようになりますか?
知識が増えると自信はつきますが、それだけで発話不安が消えるとは限りません。理解する練習と、声に出す練習は別です。解いた問題を10秒で説明する練習を加えると、授業中の返答につながりやすくなります。
Q. 先生に相談するのが怖いです。
直接言いにくい場合は、紙に書く、保護者から伝えてもらう、スクールカウンセラーに間に入ってもらう方法もあります。「当てないでください」だけでなく、「少し考える時間があると答えやすいです」と伝えると、具体的な配慮につながりやすくなります。
Q. 英語の授業で特に当てられるのが怖いです。
英語は、答えを考えるだけでなく、発音、文法、周囲の反応も気になりやすい教科です。まずは短い英文を音読する、答えを一文で言う、間違えても言い直す練習をするなど、声に出す回数を増やすことが大切です。
14. まとめ:目標は堂々と話すことではなく、少しずつ答えられる場面を増やすこと
授業中に当てられると頭が真っ白になるのは、勉強不足だけが原因ではありません。
評価される不安、周囲の視線、作業記憶の圧迫、完璧主義、声に出す練習不足が重なると、答えがわかっていても言葉が出なくなることがあります。
大切なのは、いきなり堂々と話せる人を目指さないことです。
まずは、次のような小さな行動からで十分です。
- 答えを一語で言う
- 「〇〇だと思います」と型で答える
- 途中までわかったことを伝える
- 家で10秒説明をする
- 答えを声に出して確認する
- 見る場所を決めておく
- 先生に少し考える時間をお願いする
発言が苦手な人に必要なのは、根性ではありません。
必要なのは、段階です。
「わかっているのに言えない」は、能力がないという意味ではありません。
まだ、知識を声に変える練習が足りていないだけかもしれません。
小さく答える経験を積み重ねるほど、教室での緊張は少しずつ扱いやすくなります。
まずは今日の勉強で、解いた問題を一つだけ声に出して説明してみてください。
その一言が、次に授業で当てられたときの助けになります。