英語が読めるのに聞き取れない理由|知ってる単語がリスニングで消える原因と対策
1. 英語が読めるのに聞き取れないのは珍しくない
英語の文章を見れば意味はわかる。単語も文法も難しくない。それなのに、音声で聞くと急にわからなくなる。
これは英語学習者にとても多い悩みです。
たとえば、次の英文を見てください。
What are you going to do after work?
文字で見れば、「仕事のあと何をするの?」と理解できる人は多いはずです。
しかし実際の会話では、一語ずつはっきり
ワット・アー・ユー・ゴーイング・トゥー・ドゥー・アフター・ワーク
とは聞こえません。
自然なスピードでは、
ワダヤガナドゥーアフターワーク
のように聞こえることがあります。
つまり、リスニングで聞き取れない原因は「単語を知らないから」だけではありません。
むしろ、次のようなズレが原因になっていることが多いです。
| 起きていること | 具体的な状態 |
|---|---|
| 文字の英語と音の英語が一致していない | 見ればわかるが、音では別物に聞こえる |
| 単語同士がつながっている | 単語の境目が消える |
| 弱い音が聞こえにくい | to, a, the, of などが小さくなる |
| 脳の処理が追いつかない | 音を意味に変換する前に次の文が来る |
| 音声語彙が不足している | 単語の意味は知っているが、音の形を知らない |
結論から言えば、英語が読めるのに聞き取れないのは、英語力がないからではなく、文字で覚えた英語を音で認識する練習が足りていないからです。
英単語を覚えることも、文法を理解することも大切です。
しかしリスニングでは、それに加えて、
- 音のつながり
- 音の脱落
- 弱形
- 短縮形
- 英語のリズム
- 音から意味へ変換するスピード
が必要になります。
この記事では、「知っている単語なのに聞き取れない」理由を、音声の仕組みと脳の処理の両面から整理し、今日からできる対策まで具体的に解説します。
2. なぜ今、リスニング力が重要なのか
英語のリスニング力は、受験・TOEIC・英会話・仕事のすべてで重要度が高まっています。
TOEIC Listening & Reading Testでは、リスニングとリーディングがそれぞれ495点満点です。日本の公式データでは、TOEIC L&Rの平均スコアとして、リスニング327.5点、リーディング272.3点、合計599.8点という数値が示されています。TOEIC公式データ
また、2024年のTOEIC L&R国・地域別平均スコアでは、日本の平均は564点と発表されています。IIBC 2024年国・地域別平均スコア
一方で、試験で点を取る力と、実際の英語音声を聞き取る力は同じではありません。
EF English Proficiency Index 2025では、日本は123カ国・地域中96位、スコア446とされ、リスニングスコアは437と示されています。EF EPI Japan
もちろん、民間調査には受験者層の偏りがあります。そのため、日本人全体の英語力を完全に表すものではありません。
それでも、英語を「読んで理解する力」と「聞いて即座に理解する力」の差は、多くの学習者が実感している課題です。
さらに文部科学省の令和5年度英語教育実施状況調査では、CEFR A1相当以上の中学生が50.0%、CEFR A2相当以上の高校生が50.6%と報告されています。文部科学省 令和5年度英語教育実施状況調査
これからの英語学習では、「単語を覚えた」「文法を理解した」だけでは不十分です。
知識を、実際の音声の中で瞬時に使える形へ変える必要があります。
特に次のような人にとって、リスニング力は重要です。
- TOEICでリスニングの点数を伸ばしたい人
- 英会話で相手の発言を聞き返してばかりになる人
- 共通テストや英検のリスニングが苦手な人
- 海外ドラマや動画を字幕なしで見たい人
- 仕事で英語会議やオンラインミーティングに参加する人
英語は、文字だけでなく音声で使う場面が増えています。
だからこそ、「読めるのに聞けない」状態を放置せず、音で理解できる英語に変えていくことが大切です。
3. 知っている単語が聞こえない主な原因
「知っている単語なのに聞き取れない」と感じるとき、原因は一つではありません。
多くの場合、複数の原因が重なっています。
| 症状 | 主な原因 | 優先すべき対策 |
|---|---|---|
| スクリプトを見ると全部わかる | 音声変化を知らない | ディクテーション |
| 簡単な単語ほど聞こえない | 弱形・短縮形に弱い | 音読・オーバーラッピング |
| 単語は少し拾えるが意味が追いつかない | 処理速度不足 | 短文リピーティング |
| 長い文になると途中で迷子になる | チャンク処理ができていない | 意味のまとまりで聞く練習 |
| TOEICで設問処理が間に合わない | 音声理解と問題処理を同時にしている | 先読み練習 |
| 英会話で相手の返答が聞き取れない | 口語表現・省略形に慣れていない | 短い会話音声の反復 |
まず大切なのは、「聞き取れない=耳が悪い」と考えないことです。
リスニングで起きているのは、耳だけの問題ではありません。
音を聞いたあと、脳は瞬時に次の処理をしています。
- 音を拾う
- 音のかたまりを区切る
- 単語として認識する
- 文法構造を判断する
- 意味を理解する
- 次の内容を予測する
この処理が遅れると、知っている単語でも聞き取れません。
たとえば、
I should have told you earlier.
という文があります。
文字で見れば、「もっと早く言うべきだった」とわかるかもしれません。
しかし音声では、
アイシュダヴトールジュアーリア
のように聞こえることがあります。
このとき、
- should have が should’ve のように短くなる
- told you がつながって聞こえる
- earlier が文末で流れる
- 文全体の意味を瞬時に処理する必要がある
という複数の負荷がかかります。
そのため、「単語は知っているのに聞き取れない」という状態が起こります。
これは努力不足ではありません。
必要な練習の種類が違うだけです。
4. 英語は単語ごとではなく音のかたまりで聞こえる
日本語で英語を学ぶと、どうしても単語を一つずつ区切って覚えがちです。
- take
- it
- easy
- get
- up
- want
- to
- going
- to
しかし、実際の英語は単語カードのように一語ずつ発音されません。
英語は、意味のまとまりやリズムのまとまりで流れていきます。
たとえば、
take it easy
は、文字では3語です。
しかし音では、
テイキリーズィー
のようにつながります。
get up
は、
ゲラップ
のように聞こえることがあります。
turn it on
は、
ターニロン
のように聞こえることがあります。
ここで重要なのは、これは「崩れた英語」ではないということです。
自然な英語では、単語同士の音がつながるのは普通です。
日本語でも同じことが起きています。
「何をしているの?」を、日常会話では「なにしてんの?」のように言うことがあります。母語話者にとっては自然ですが、日本語学習者には聞き取りにくいはずです。
英語でも同じです。
文字で覚えた形と、実際に聞こえる形にはズレがあります。
このズレを知らないまま音声を聞くと、知っている単語でも別の音に感じます。
特に英語は、日本語よりも強弱のリズムがはっきりしています。
日本語は比較的一音ずつ均等に聞こえやすい言語ですが、英語は強く読むところと弱く読むところの差が大きい言語です。
そのため、英語では重要な単語だけが前に出て、文法的な役割を持つ短い単語は弱くなりがちです。
たとえば、
I want to go to the station.
この文では、すべての単語が同じ強さで読まれるわけではありません。
強く聞こえやすいのは、
want / go / station
です。
一方で、
I / to / to / the
は弱く、短く、場合によってはほとんど聞こえません。
その結果、
アイワントゥーゴートゥーザステイション
ではなく、
アイワナゴーダステイション
のように聞こえることがあります。
リスニングでは、すべての単語を同じ強さで拾おうとすると、かえって聞き取りにくくなります。
英語は、音のかたまりで聞く必要があります。
5. リンキング・リダクション・弱形で音が変わる
英語リスニングで特に重要なのが、音声変化です。
音声変化とは、単語が文の中で発音されるときに、音がつながったり、弱くなったり、別の音のように聞こえたりすることです。
代表的なものは次の通りです。
| 音声変化 | 意味 | 例 | 聞こえ方のイメージ |
|---|---|---|---|
| リンキング | 音がつながる | take it | テイキット |
| リダクション | 音が弱くなる | to | タ、トゥ |
| 脱落 | 音が消える | next day | ネクスデイ |
| 同化 | 隣の音に影響される | did you | ディジュ |
| フラッピング | t が軽い d/r のようになる | water | ワラー |
| 短縮 | 複数語が短くなる | going to | gonna |
まず、リンキングです。
子音で終わる単語のあとに母音で始まる単語が来ると、音がつながりやすくなります。
| 文字 | 音のイメージ |
|---|---|
| pick it up | ピキラップ |
| check it out | チェキラウト |
| put it on | プリロン |
| turn it off | ターニロフ |
| take a look | テイカルック |
次に、リダクションです。
英語では、重要度の低い音が弱く短く発音されます。
特に次の単語は弱くなりやすいです。
| 単語 | 強く読んだ形 | 弱い形のイメージ |
|---|---|---|
| to | トゥー | タ、トゥ |
| for | フォー | ファ |
| of | オブ | アヴ、ァ |
| and | アンド | ン、アン |
| can | キャン | クン、カン |
| the | ザ | ダ、ザ、ジ |
たとえば、
I have to go.
は、
アイハフトゥーゴー
ではなく、
アイハフタゴー
のように聞こえることがあります。
a cup of coffee
は、
アカップオブコーヒー
ではなく、
アカッパコーフィー
のように聞こえることがあります。
次に、脱落です。
発音しにくい音や、連続する子音の一部が弱くなったり消えたりします。
| 文字 | 聞こえ方のイメージ |
|---|---|
| next week | ネクスウィーク |
| last night | ラスナイト |
| must be | マスビー |
| facts about | ファクツァバウト |
| old friend | オウフレンド |
さらに、同化もあります。
隣り合う音が影響し合い、別の音のように聞こえる現象です。
| 文字 | 聞こえ方のイメージ |
|---|---|
| did you | ディジュ |
| would you | ウジュ |
| could you | クジュ |
| don’t you | ドンチュ |
| won’t you | ウォンチュ |
そして、短縮形もリスニングを難しくします。
| 文字 | 実際の会話での形 |
|---|---|
| going to | gonna |
| want to | wanna |
| got to | gotta |
| have to | hafta |
| kind of | kinda |
| a lot of | alotta |
| should have | should’ve |
| could have | could’ve |
これらを知らないまま聞くと、単語が「消えた」ように感じます。
しかし実際には消えているのではなく、別の音の形で現れているのです。
リスニングを伸ばすには、「正しいスペル」を覚えるだけでなく、「実際にどう聞こえるか」まで覚える必要があります。
6. スクリプトを見ればわかるのに聞けない理由
リスニング学習でよくあるのが、音声ではまったく聞き取れなかったのに、スクリプトを見ると簡単に理解できるという経験です。
これは、読解力がある人ほど起こりやすいです。
なぜなら、スクリプトを見た瞬間に、脳が文字情報を使って意味を補ってしまうからです。
たとえば、音声では
アイドンノワッチュミーン
のように聞こえたとします。
スクリプトを見ると、
I don’t know what you mean.
と書いてあります。
このとき、多くの人は「なんだ、簡単な文だった」と思います。
しかし、本当に確認すべきなのは文の意味ではありません。
確認すべきなのは、
- I don’t know がどのようにつながっていたか
- what you がどう聞こえたか
- mean の前までに処理が追いついていたか
- どの単語を聞き落としたか
です。
スクリプト確認で大切なのは、「知っている文だった」と安心することではありません。
なぜ聞こえなかったのかを特定することです。
特に、次のような見方をすると効果的です。
| スクリプトで見る場所 | 確認すること |
|---|---|
| 聞こえなかった単語 | 知らない単語か、音で認識できない単語か |
| 単語の境目 | どこがつながっていたか |
| 弱い単語 | to, of, the, a, for などが小さくなっていないか |
| 短縮形 | wanna, gonna, should’ve などになっていないか |
| 文全体 | 意味処理が途中で止まっていないか |
つまり、スクリプトは答え合わせのためだけに使うものではありません。
文字と音のズレを発見するための道具です。
リスニングが伸びる人は、スクリプトを見たあとに必ずもう一度音声を聞きます。
この2回目の聞き直しが重要です。
最初はただの音の流れだったものが、スクリプト確認後には、
「ここが could you だったのか」
「ここで to が弱くなっていたのか」
「この音のかたまりが I don’t know だったのか」
と認識できるようになります。
この経験を積み重ねることで、脳の中に「音声語彙」が増えていきます。
7. リスニングは耳ではなく脳の処理速度も関係する
リスニングは「耳を鍛えるもの」と言われることがあります。
もちろん、音に慣れることは大切です。
しかし実際には、リスニングは耳だけでなく、脳の処理速度にも大きく関係しています。
音声を聞いているとき、脳は次の処理を同時に行っています。
- 音を聞く
- 単語を認識する
- 文法を判断する
- 意味を理解する
- 次の内容を予測する
- 必要な情報を記憶する
この処理が追いつかないと、単語を聞き取れても意味が残りません。
たとえば、TOEICのPart 3やPart 4でよくあるのが、
「途中の単語は聞こえたのに、結局何の話かわからなかった」
という状態です。
これは、耳が音を拾えていないというより、聞いた情報を整理する前に次の文が来ている状態です。
リスニングでは、音声は待ってくれません。
リーディングなら、わからない文を戻って読み直せます。
しかしリスニングでは、音声が流れた瞬間に処理しなければなりません。
そのため、読める英語でも聞き取れないことが起こります。
この処理速度を上げるには、長い音声をただ聞くより、短い文をすばやく理解する練習が効果的です。
たとえば、
I’m looking for a place to stay.
を聞いたときに、
「I’m は私は、looking for は探している、a place は場所、to stay は泊まるための……」
と頭の中で一語ずつ訳していると間に合いません。
理想は、
I’m looking for a place to stay.
を聞いた瞬間に、
泊まる場所を探している
という意味のかたまりで理解することです。
このように、英語を前から意味のかたまりで処理する力が必要です。
8. 聞こえない音を聞こえる音に変える練習法
知っている単語をリスニングで聞き取れるようにするには、次の流れが効果的です。
音だけで聞く → スクリプトで確認する → 音のズレを理解する → 声に出す → 音だけで聞き直す
この順番が大切です。
いきなりスクリプトを見ると、読解で理解した気になりやすくなります。
一方で、聞き取れない音声を何十回も聞くだけでは、どこが聞こえていないのかがわかりません。
おすすめは、次の5ステップです。
ステップ1:短い音声を選ぶ
最初から長いニュースや映画を使う必要はありません。
10〜30秒程度の短い音声で十分です。
素材選びの目安は、スクリプトを読めば8割以上理解できるものです。
| レベル | おすすめ素材 |
|---|---|
| 初級 | 教科書音声、基礎英会話、短い例文 |
| 中級 | TOEIC Part 2・Part 3、英検リスニング |
| 上級 | インタビュー、ニュース、ポッドキャスト |
| 会話重視 | 短い日常会話、ドラマの一場面 |
難しすぎる素材を選ぶと、音声変化以前に語彙でつまずきます。
リスニング練習では、「少し難しいが、確認すれば理解できる」くらいが最適です。
ステップ2:スクリプトなしで聞く
最初は文字を見ずに聞きます。
このとき、全部を聞き取ろうとしなくて構いません。
次の3つを意識します。
- 聞こえた単語
- 聞こえなかった部分
- 何となく推測できた内容
できれば、聞こえた単語だけメモします。
たとえば、
meeting / tomorrow / manager / report
のように、断片でも構いません。
最初から完璧な文にしようとすると、練習が重くなります。
ステップ3:スクリプトでズレを確認する
次に、スクリプトを見ます。
このとき、日本語訳だけを確認して終わらないようにします。
見るべきなのは、音と文字のズレです。
たとえば、
Could you tell me where it is?
が聞き取れなかった場合、
- Could you が「クジュ」のように聞こえた
- tell me が「テルミ」とつながった
- where it is が「ウェリリズ」のように聞こえた
という点を確認します。
ここで初めて、「なぜ聞き取れなかったのか」がわかります。
ステップ4:音声に合わせて読む
次に、音声に合わせて声に出します。
最初はスクリプトを見ながらで構いません。
この練習は、オーバーラッピングと呼ばれます。
目的は、ネイティブのようにきれいに話すことではありません。
目的は、音のつながりを自分の口で再現することです。
自分で言える音は、聞いたときにも認識しやすくなります。
たとえば、
What do you want to do?
を、
ワット・ドゥー・ユー・ウォント・トゥー・ドゥー
と読むだけでなく、
ワダヤワナドゥー
に近いリズムで真似してみます。
この練習によって、文字の英語と音の英語がつながり始めます。
ステップ5:最後に音だけで聞き直す
最後に、スクリプトを閉じてもう一度聞きます。
最初よりも聞こえる部分が増えていれば成功です。
完璧に聞き取れなくても問題ありません。
重要なのは、
聞こえなかった音が、次に聞いたとき少しでも認識できるようになること
です。
この積み重ねがリスニング力を作ります。
9. ディクテーション・音読・シャドーイングの使い分け
リスニング対策としてよく出てくるのが、ディクテーション・音読・シャドーイングです。
どれも有効ですが、目的が違います。
| 練習法 | 目的 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ディクテーション | 聞こえない音を特定する | スクリプトを見るとわかる人 |
| 音読 | 文字と音を結びつける | 発音とリズムに慣れたい人 |
| オーバーラッピング | 音声の速度とリズムに合わせる | シャドーイングが難しい人 |
| シャドーイング | 音声を即座に処理する | 中級以上の人 |
| リピーティング | 意味のかたまりを記憶する | 長文で迷子になる人 |
初心者から中級者が最初にやるべきなのは、ディクテーションです。
ディクテーションとは、聞こえた英語を書き取る練習です。
これを行うと、自分が何を聞き取れていないのかが明確になります。
ただし、全文を完璧に書き取る必要はありません。
最初は、聞き取れなかった部分だけを確認するだけでも十分です。
次に有効なのが、音読とオーバーラッピングです。
スクリプトを見ながら、音声に合わせて読むことで、英語のリズムや音のつながりを体で覚えられます。
一方、シャドーイングは少し難易度が高い練習です。
シャドーイングでは、音声を聞いた直後に追いかけるように発音します。
これは処理速度を上げるには有効ですが、音の変化を理解していない段階で行うと、ただ口が回らないだけで終わることがあります。
そのため、順番としては次がおすすめです。
- ディクテーションで聞こえない場所を見つける
- スクリプトで音声変化を確認する
- 音読で音と文字を結びつける
- オーバーラッピングでリズムに慣れる
- 余裕が出たらシャドーイングをする
「シャドーイングをしているのに伸びない」という人は、いきなり難しい段階に進んでいる可能性があります。
聞こえない音を聞こえないまま真似しても、効果は出にくいです。
まずは、何が聞こえていないのかを明確にしましょう。
10. TOEIC・英会話・受験別の対策
リスニング対策は、目的によって少し変える必要があります。
同じ「英語が聞き取れない」でも、TOEIC、英会話、受験では必要な力が違います。
| 目的 | 必要な力 | 優先すべき練習 |
|---|---|---|
| TOEIC | 情報処理の速さ | 設問先読み、頻出表現、短文処理 |
| 英会話 | 相手の意図をつかむ力 | 短い応答、聞き返し表現 |
| 受験 | 問題形式への対応 | 共通テスト・英検形式の反復 |
| 海外ドラマ | 口語表現への慣れ | 短縮形、スラング、場面理解 |
| ビジネス英語 | 数字・依頼・確認の聞き取り | 会議表現、要点メモ |
TOEICの場合、すべての単語を一語一句聞き取る必要はありません。
むしろ、必要な情報を素早く拾う力が重要です。
特にPart 3・Part 4では、
- 誰が話しているか
- どこで話しているか
- 何が問題になっているか
- 次に何をするか
を素早く判断する必要があります。
英会話では、完璧に聞き取るよりも、会話を続ける力が大切です。
聞き取れないときに使える表現を持っておくと安心です。
- Sorry, could you say that again?
- Could you speak a little more slowly?
- Do you mean this one?
- Let me check if I understood correctly.
- What does that mean?
これらを使えれば、聞き取れない部分があっても会話を立て直せます。
受験リスニングでは、問題形式への慣れが重要です。
共通テストや英検では、音声の内容だけでなく、選択肢の読み方、メモの取り方、先読みのタイミングも得点に影響します。
海外ドラマや映画を使う場合は、難易度に注意が必要です。
実際のドラマには、
- 省略
- スラング
- 早口
- 文化的背景
- 皮肉や冗談
が多く含まれます。
初心者がいきなり字幕なしで挑戦すると、挫折しやすいです。
最初は、短いシーンを選び、スクリプトや字幕で確認しながら使うのがおすすめです。
11. 聞こえなかった表現を記録すると伸びやすい
リスニングを伸ばすうえで大切なのは、聞こえなかった音をそのまま放置しないことです。
多くの人は、音声を聞いて、スクリプトを見て、「なるほど」と思って終わります。
しかし、それだけでは次に同じ音が出てきたとき、また聞き取れない可能性があります。
聞こえなかった表現は、記録して復習することが大切です。
たとえば、次のように残します。
| 聞こえた音 | 実際の表現 | 原因 |
|---|---|---|
| ワナ | want to | 短縮 |
| クジュ | could you | 同化 |
| ハフタ | have to | 弱化 |
| テイキット | take it | リンキング |
| シュダヴ | should have | 短縮 |
このように記録すると、自分が苦手な音声変化が見えてきます。
「リンキングが苦手なのか」
「弱形が聞こえていないのか」
「短縮形に反応できないのか」
がわかれば、練習の方向が定まります。
英単語や表現を継続的に復習したい場合は、学習ログを残せる環境を使うのも有効です。
たとえばDailyDropsは、完全無料で利用でき、学習行動がユーザーに還元される共益型プラットフォームです。聞き取れなかった英単語や表現をその場で終わらせず、日々の学習に組み込む選択肢の一つになります。
大切なのは、アプリを使うかどうかではありません。
聞こえなかった音を、次に聞こえる形で残すことです。
リスニング力は、聞き流した量だけで決まるのではなく、聞こえなかった音をどれだけ回収したかで変わります。
12. よくある質問
Q. 英単語をたくさん覚えれば、自然に聞き取れるようになりますか?
単語を増やすことは重要ですが、それだけでは不十分です。文字で意味を知っていても、実際の音で認識できなければリスニングでは使えません。単語を覚えるときは、発音・アクセント・例文音声もセットで確認するのがおすすめです。
Q. スクリプトを見ればわかるのに聞き取れないのはなぜですか?
文字の英語と音の英語が一致していないからです。スクリプトを見ると読解力で理解できますが、音声ではリンキング、弱形、脱落、短縮が起きます。スクリプト確認では意味だけでなく、どこで音が変化していたかを見ることが大切です。
Q. リスニングにはシャドーイングが一番効果的ですか?
シャドーイングは有効ですが、全員が最初からやるべき練習ではありません。音声変化を理解していない段階で行うと、ただ音を追いかけるだけになりやすいです。初心者から中級者は、ディクテーション、音読、オーバーラッピングを先に行うと効果が出やすくなります。
Q. 聞き流しだけで英語は聞き取れるようになりますか?
聞き流しには、英語のリズムに慣れる効果はあります。ただし、聞き取れない音を聞き取れないまま流しているだけでは、弱点の修正にはつながりにくいです。聞き流しをする場合も、別の時間にスクリプト確認や音読を組み合わせると効果的です。
Q. 洋画や海外ドラマでリスニング練習してもいいですか?
使っても構いません。ただし、初心者には難易度が高いことが多いです。スラング、省略、早口、文化的背景が多いため、最初は短い場面を選び、字幕やスクリプトで確認しながら使うのがおすすめです。
Q. 何回聞いてもわからない音声はどうすればいいですか?
3〜5回聞いてもほとんどわからない場合、その素材は難しすぎる可能性があります。スクリプトを読んでも知らない単語が多いなら、少し易しい素材に戻りましょう。リスニングは、理解できる部分がある素材で練習した方が伸びやすいです。
Q. 発音練習をするとリスニングも伸びますか?
伸びる可能性があります。自分で再現できる音は、聞いたときにも認識しやすくなります。特にリンキング、弱形、短縮形を声に出して練習すると、音のかたまりをつかみやすくなります。
Q. TOEICのリスニングでは全部聞き取る必要がありますか?
すべての単語を一語一句聞き取る必要はありません。TOEICでは、話者の意図、場所、目的、次の行動などを素早くつかむ力が重要です。ただし、基本的な音声変化に慣れていないと、簡単な表現でも聞き逃しやすくなります。
13. まとめ
英語が読めるのに聞き取れないのは、珍しいことではありません。
知っている単語がリスニングで聞こえない主な原因は、次の通りです。
- 単語同士がつながって聞こえる
- to, of, the などの弱い語が小さくなる
- should have, going to などが短縮される
- 音を意味に変換する処理が追いつかない
- 文字で覚えた単語を、音で認識する練習が足りない
リスニング力を伸ばすには、ただ英語を聞き流すだけでは不十分です。
大切なのは、聞こえなかった音を特定し、文字と音のズレを確認し、もう一度音だけで聞き直すことです。
おすすめの流れは次の通りです。
- 短い音声を選ぶ
- スクリプトなしで聞く
- 聞こえなかった部分を確認する
- スクリプトで音の変化を見る
- 音声に合わせて読む
- 最後に音だけで聞き直す
この練習を続けると、「見ればわかる英語」が少しずつ「聞いてわかる英語」に変わっていきます。
リスニングは才能ではありません。
音の仕組みを知り、脳が処理できる形で練習すれば、知っている単語は少しずつ聞こえるようになります。
今日からまずは、長い教材ではなく、10〜30秒の短い音声を一つ選んでみてください。
聞こえなかった部分を責めるのではなく、そこを次に聞こえるように変える。
その積み重ねが、英語を読めるだけでなく、聞いて使える力につながります。