数学の解説を見たらわかるのに自力で解けない理由|解説動画を点数につなげる勉強法
1. 数学の解説を見たらわかるのに自力で解けないのはなぜか
数学の解説を聞いた直後は「なるほど」と思ったのに、いざ自分で解こうとすると手が止まる。
これは、数学が苦手な人だけに起きる問題ではありません。真面目に解説動画を見ている人、ノートをきれいに取っている人、授業中は理解できている人にもよく起こります。
結論から言うと、原因は「理解する力」と「自力で解く力」が別物だからです。
解説動画や授業では、先生が次の作業をほとんど代わりにやってくれます。
| 解説が代わりにやってくれること | 自力で必要になること |
|---|---|
| 使う公式を選ぶ | 問題文から公式を選ぶ |
| 最初の一手を示す | どこから始めるか決める |
| 途中式の流れを作る | 自分で式をつなげる |
| ミスしやすい点を避ける | 自分でミスに気づく |
| 答えまで導く | 最後まで解き切る |
つまり、解説を見ているときは「わかる」のに、自分で解くと止まるのは、方針を選ぶ練習が足りていないことが多いのです。
数学の点数を上げるには、解説を理解するだけでは足りません。
- 問題文を読んで、使う知識を選ぶ
- 最初の一手を自分で決める
- 途中で詰まったときに修正する
- 似た問題でも同じ考え方を使う
- なぜその解き方なのか説明する
この力は、動画を最後まで見るだけではなかなか育ちません。
だから、解説動画が悪いわけではありません。むしろ、使い方を変えれば強力な学習材料になります。大切なのは、動画を「見る教材」で終わらせず、解くための準備道具として使うことです。
2. なぜ今、解説動画の使い方が重要なのか
今は、数学の勉強に動画を使うのが当たり前になっています。
学校では1人1台端末の活用が進み、文部科学省もGIGAスクール構想によって学習者用端末と通信環境の整備を進めてきました。授業動画、オンライン教材、解説アプリ、YouTubeの数学解説など、以前よりも「わからないところを動画で確認する」環境は整っています。
また、OECDのPISA 2022では、日本の数学的リテラシーは国際的に高い水準とされています。ただし、数学で評価される力は、単に公式を知っていることではありません。問題の状況を読み取り、数式に置き換え、解法を選び、結果を判断する力が求められます。
参考:文部科学省 GIGAスクール構想
参考:OECD PISA 2022 Results
ここで注意したいのは、動画学習が便利になるほど、「わかった気になる時間」も増えやすいという点です。
動画は、わかりやすく編集されています。説明の順番も整理され、図や色分けもあり、講師が迷わずに解いてくれます。そのため、見ている側はスムーズに理解できます。
しかし、テストや宿題では違います。
問題文だけがあり、どの公式を使うかも、どこから始めるかも、自分で決める必要があります。
この差を埋めないまま動画だけを増やしても、次のような状態になりやすいです。
解説を見ればわかる。
でも、初見問題では何をすればいいかわからない。
今、解説動画の使い方が重要なのは、動画を見る機会が増えたからこそ、見る勉強と解く勉強を分けて考える必要があるためです。
3. 「見たらわかるけど解けない」状態で足りない3つの力
数学で「見たらわかるけど解けない」と感じるとき、足りない力は大きく3つに分けられます。
1つ目:最初の一手を決める力
数学で手が止まる人の多くは、途中式よりも「最初に何をするか」で困っています。
たとえば、二次方程式なら次のような判断が必要です。
- 因数分解で解けるのか
- 解の公式を使うのか
- まず移項するのか
- 展開して整理するのか
解説動画では、講師がこの判断を一瞬で行います。視聴者はその結果を追うだけなので、自分でも判断できるように感じます。
しかし、自力で解く場面では、その判断を自分で再現しなければなりません。
2つ目:解法を取り出す力
数学では、公式や解き方を「知っている」だけでは不十分です。問題文を見たときに、必要な知識を思い出せる必要があります。
たとえば、関数の問題で「傾き」「切片」「交点」という言葉を知っていても、問題文からどれを使うか判断できなければ解けません。
これは暗記不足というより、取り出す練習不足です。
3つ目:少し違う問題に使う力
動画の例題とまったく同じ問題なら解けるのに、数字や条件が変わると止まることがあります。
これは、解き方を理解していないというより、解法の使いどころを広げる練習が足りない状態です。
| 状態 | できていること | 足りないこと |
|---|---|---|
| 解説を見ればわかる | 説明を追える | 自分で方針を選ぶ力 |
| 同じ例題なら解ける | 手順を再現できる | 条件が変わったときの判断 |
| 類題なら解ける | 解法を少し転用できる | 初見問題への対応 |
| 初見でも解ける | 方針を選べる | 時間内に安定して解く力 |
「見たらわかる」は、成長の途中段階です。そこから「自分で解ける」に進むには、動画の後に必ず手を動かす必要があります。
4. 「解説を見てもわからない」と「見たらわかるけど解けない」は別問題
ユーザーの中には、「解説を見てもわからない」と悩んでいる人もいれば、「解説を見ればわかるけど自分では解けない」と悩んでいる人もいます。
この2つは似ていますが、原因も対策も違います。
| 状態 | 主な原因 | 優先する対策 |
|---|---|---|
| 解説を見てもわからない | 前提知識が抜けている | 1つ前の単元に戻る |
| 解説を見たらわかるが解けない | 取り出す練習が足りない | 隠して解く・類題を解く |
| 解説通りならできるが初見で止まる | 方針選びが弱い | 最初の一手を言語化する |
| 途中式でミスが多い | 手順が不安定 | 途中式を省略せず反復する |
| 応用問題だけ解けない | 解法の使い分けが弱い | 条件が少し違う問題を解く |
たとえば、一次関数の解説で「傾き」「切片」「変化の割合」という言葉自体がわからないなら、動画を何度見るより、前提知識を戻した方が早いです。
一方で、解説を見れば納得できるのに自力で止まるなら、戻りすぎる必要はありません。その場合は、同じレベルの問題で「解説を隠して解く」「最初の一手だけ自分で書く」練習が必要です。
自分の状態を見分けるには、次の質問をしてみてください。
- 解説中の言葉の意味はわかるか
- 途中式がなぜそうなるか説明できるか
- 同じ問題を隠して解き直せるか
- 数字だけ違う問題なら解けるか
- 初見問題で最初の一手を書けるか
この質問に答えると、どこで止まっているかが見えます。
5. 解説動画を見ても解けない人によくある勉強パターン
解説動画を見ているのに点数につながらない人には、共通するパターンがあります。
1つ目:最初から最後まで止めずに見る
動画を止めずに見ると、流れはつかみやすいです。しかし、数学では「次に何をするか」を考える時間が必要です。
講師のスピードに合わせていると、自分で考えたように感じても、実際には説明を追っているだけになりやすいです。
2つ目:ノートをきれいに写して満足する
板書や画面の式を写すこと自体は悪くありません。
ただし、写したノートを見返しても、なぜその式になったのか説明できなければ、似た問題で止まります。
ノートには途中式だけでなく、横に一言で理由を書きましょう。
- 「面積が等しいから」
- 「傾きを使うから」
- 「積が0になるから」
- 「同じ角があるから相似」
このような短いメモが、自力で解くときの助けになります。
3つ目:答えを見てから「できた」と判断する
答えや解説を見た後は、理解した感覚が強くなります。
しかし、数学で大切なのは、答えを見る前にどこまで進めたかです。
「見ればわかる」は実力の一部ですが、テストで問われるのは「見ないで解けるか」です。
4つ目:同じ例題だけを解き直す
例題を解き直すのは大切です。ただし、それだけでは手順の記憶で解けている可能性があります。
本当に理解できているか確認するには、数字や条件が少し違う類題を解く必要があります。
5つ目:動画探しが勉強の中心になっている
わかりやすい動画を探すことは大切です。
しかし、「もっとわかりやすい動画」を探し続けて、実際に解く時間が減っているなら注意が必要です。
数学の力は、動画の本数よりも、自分で式を書いた回数で伸びます。
6. 何分考えてから解説を見るべきか
数学で悩みやすいのが、「どれくらい考えてから解説を見るべきか」です。
すぐに解説を見ると、自分で考える力が育ちにくくなります。一方で、長時間止まり続けると、勉強が苦痛になり、効率も下がります。
目安は次の通りです。
| 問題の種類 | 解説を見るまでの目安 | 見る場所 |
|---|---|---|
| 基礎問題 | 3〜5分 | 最初の一手だけ |
| 標準問題 | 5〜10分 | 方針部分だけ |
| 応用問題 | 10〜20分 | 条件整理まで |
| テスト前の復習 | 3〜5分 | すぐ確認して解き直す |
| 初めての単元 | 無理に粘りすぎない | 解説を見ながら型を学ぶ |
大切なのは、解説を全部見る前に止めることです。
おすすめは、次の流れです。
- まず自分で考える
- 止まったら解説の最初だけ見る
- すぐに動画を止める
- 残りを自分で解く
- 最後に答え合わせする
解説は「全部見るもの」ではなく、詰まった場所を動かすヒントとして使うと効果的です。
特にテスト前は、1問に長く粘りすぎるより、解説を確認した後に「隠して解き直す」方が点数につながりやすいです。
7. 解説動画を点数につなげる5ステップ
解説動画を自力で解く力につなげるには、見る前・見る途中・見た後の行動を変える必要があります。
ステップ1:動画を見る前に30秒だけ問題を読む
いきなり再生せず、まず問題文を読みます。
次の3つをメモしましょう。
- 何を求める問題か
- 使えそうな単元や公式は何か
- どこで止まりそうか
たった30秒でも、動画の見方が変わります。自分の疑問を持ってから見ると、解説が記憶に残りやすくなります。
ステップ2:方針が出た瞬間に一時停止する
講師が「ここでは〇〇を使います」と言ったら、そこで一度止めます。
そして、次の1行を自分で書きます。
まず何をするか。
たとえば、次のような一言で構いません。
- 方程式を作る
- 共通因数を探す
- グラフの交点を求める
- 相似な三角形を探す
- 表に整理する
数学で自力で解ける人は、この最初の一手が早いです。だからこそ、動画の中で最初の一手を自分で書く練習が必要です。
ステップ3:次の式を予想してから再生する
途中式が出る前に、次に何を書くか予想します。
完璧に当てる必要はありません。大切なのは、講師の説明を受け身で追うのではなく、自分の頭で一度考えることです。
予想が外れたら、「なぜ違ったのか」を確認します。
これだけで、動画はただの視聴ではなく、演習に近づきます。
ステップ4:例題を隠して解き直す
動画を見終わったら、同じ例題を解説なしで解き直します。
ルールは次の通りです。
- 画面やノートを見ない
- 途中式を省略しない
- 3分止まったら1行だけ確認する
- 確認したら、また隠して続ける
- 最後まで自分の手で書く
この作業で、自分が本当にわかっている部分と、見ていただけの部分が分かれます。
止まった場所は失敗ではありません。そこが次に伸びる場所です。
ステップ5:数字や条件が少し違う類題を解く
例題を解けたら、必ず類題を1問解きます。
類題は、最初から難しい応用問題でなくて構いません。
- 数字だけ違う問題
- 条件が1つ増えた問題
- 聞かれ方が少し違う問題
- 図の形が少し変わった問題
このような問題を解くことで、「例題の暗記」から「解法の理解」に変わります。
8. 単元別:動画を見た後に確認すべきこと
数学は単元によって、つまずく場所が違います。動画を見た後は、単元ごとに確認ポイントを変えましょう。
計算問題
計算問題では、理解よりも手順の安定が重要です。
確認することは次の3つです。
- 符号ミスがないか
- 分数や小数で止まらないか
- 同じ型を3問連続で解けるか
1問だけ正解しても、たまたまの場合があります。計算は、同じ型を数問続けて解いて安定度を見ましょう。
関数
関数では、式・表・グラフを行き来する力が必要です。
動画を見た後は、次の点を確認します。
- 何を文字で置くか説明できるか
- 傾きや切片の意味がわかるか
- どの点を使って式を作るか選べるか
- グラフから条件を読み取れるか
関数が苦手な人は、解説の途中式よりも「なぜその式を作るのか」を重点的に確認しましょう。
図形
図形では、相似・合同・補助線の発見が壁になりやすいです。
動画を見た後は、次の質問に答えます。
- どの図形に注目したか
- なぜ相似や合同といえるか
- 対応する辺や角はどれか
- 補助線を引く理由は何か
図形は、答えを覚えるより「どこに目をつけたか」を言葉にすることが大切です。
文章題
文章題では、計算よりも条件整理で止まることがあります。
確認することは次の3つです。
- わかっている量と求める量を分けられるか
- 何を
xと置くか決められるか - 問題文のどの言葉が式になったか説明できるか
文章題では、式だけを写しても伸びにくいです。問題文の言葉と式の対応を線で結ぶように確認しましょう。
9. 解法を言語化すると「わかったつもり」を防げる
動画を見た後は、解き方を1〜3文で説明しましょう。
長く書く必要はありません。
たとえば、因数分解なら次のように書きます。
まず共通因数がないか見る。
次に、かけて定数項、足して一次の係数になる組み合わせを探す。
最後に、積が0になる性質を使って解く。
関数なら、次のようになります。
グラフ上の2点から傾きを求める。
その後、1点の座標を代入して切片を出す。
最後に式が条件に合っているか確認する。
説明できない部分は、まだ理解があいまいな可能性があります。
数学では、解き方を言葉にできると、似た問題に応用しやすくなります。なぜなら、単なる手順ではなく「どんな場面で使う解法か」が見えてくるからです。
10. 動画を見る時間と問題を解く時間の目安
解説動画を使うときは、学習段階によって時間配分を変えると効果的です。
| 学習段階 | 動画を見る時間 | 自分で解く時間 |
|---|---|---|
| 初めての単元 | 6 | 4 |
| 例題を理解した後 | 4 | 6 |
| テスト前 | 2 | 8 |
初めての単元では、動画を見る時間が多くても問題ありません。何も知らない状態でいきなり解くのは効率が悪いからです。
しかし、テスト前まで動画中心のままだと危険です。
テストで必要なのは、説明を聞いて納得する力ではなく、限られた時間で自分の手を動かす力です。
テスト前は、次のように動画の目的を絞りましょう。
- 苦手な1パターンだけ確認する
- ミスした問題の解説だけ見る
- 公式の使いどころを確認する
- 見た後にすぐ解き直す
不安だから長い動画を何本も見る、という勉強は避けた方がよいです。安心感は得られますが、演習時間が減ると点数にはつながりにくくなります。
11. 学習アプリや問題集は「動画の後」に使うと効果が出やすい
解説動画を見た後は、すぐに演習へ移ることが大切です。
紙の問題集、学校のワーク、学習アプリ、どれを使っても構いません。重要なのは、見た内容を思い出して使う場面を作ることです。
特に効果的なのは、次の使い方です。
- 動画で見た単元の類題をすぐ解く
- 間違えた問題だけを翌日に解き直す
- 1回で完璧にせず、短時間で反復する
- 解けた問題と止まった問題を分ける
たとえば、DailyDropsのような学習プラットフォームを、動画視聴後の確認学習や短時間の演習習慣づくりに使うのも一つの方法です。完全無料で利用でき、学習行動がユーザーに還元される共益型プラットフォームなので、「見て終わり」になりがちな勉強を行動に変えるきっかけとして使いやすいでしょう。
ただし、どの教材を使う場合でも目的は同じです。
解説を増やすことではなく、自分で解ける回数を増やすこと。
この軸を忘れなければ、動画もアプリも問題集も、点数につながる道具になります。
12. よくある質問
Q1. 数学の解説動画は何回も見た方がいいですか?
同じ動画を何度も流し見するより、2回目以降は止めながら見る方が効果的です。
1回目は全体像をつかむ。2回目は方針が出たところで止める。3回目が必要なら、わからなかった部分だけ見る。このように目的を変えましょう。
Q2. 解説を見てもまったくわからない場合はどうすればいいですか?
前提知識が抜けている可能性があります。
たとえば、二次関数がわからない原因が、一次関数や式変形にあることもあります。動画を変え続ける前に、どの言葉・どの式からわからないのかを確認しましょう。
Q3. 例題は解けるのに応用問題が解けません。
例題と応用問題の間に、類題が足りない可能性があります。
いきなり難しい問題へ進むのではなく、数字だけ違う問題、条件が1つ変わった問題、聞かれ方が変わった問題の順に進めると、応用問題に近づきやすくなります。
Q4. すぐ解説を見るのはよくないですか?
まったく悪いわけではありません。初めての単元では、解説を見ながら型を学ぶことも必要です。
ただし、毎回すぐに全部の解説を見ると、最初の一手を考える力が育ちにくくなります。基礎問題なら3〜5分、標準問題なら5〜10分を目安に考えてから、必要な部分だけ確認しましょう。
Q5. ノートは取った方がいいですか?
取った方がよいですが、途中式を写すだけでは不十分です。
おすすめは、式の横に「なぜこの式にしたか」を一言で書くことです。「面積が等しいから」「傾きを使うから」「相似だから」のような短い理由が、自力で解くときのヒントになります。
Q6. 動画を見るより問題集をやった方がいいですか?
どちらか一方ではなく、役割を分けるのがよいです。
わからない単元の入口では動画が役立ちます。しかし、点数を上げるには問題集や類題演習が必要です。動画で理解し、問題で取り出す。この流れを作りましょう。
13. まとめ:解説は「見るもの」ではなく「解けるように使うもの」
数学の解説を見たらわかるのに自力で解けないのは、珍しいことではありません。
それは、頭が悪いからでも、数学のセンスがないからでもありません。多くの場合、解説を理解する練習はしていても、問題文から解法を取り出す練習が足りていないだけです。
今日から意識したいのは、次の流れです。
- 動画を見る前に問題を30秒読む
- 方針が出たら一時停止する
- 次の式を自分で予想する
- 解説を隠して例題を解き直す
- 数字や条件が違う類題を解く
- 解法を1〜3文で説明する
この流れを入れるだけで、解説動画は「見て満足する教材」から「自力で解く力を育てる教材」に変わります。
数学は、わかった瞬間よりも、わからない状態から自分で一歩進めた瞬間に伸びます。
解説を見て終わりにせず、少し止める。少し隠す。少し自分で説明する。その積み重ねが、テスト本番で手が動く力につながります。