年金の繰下げ受給はお得?損益分岐点・70歳/75歳・後悔しない判断基準を解説
1. 結論:長生きに備えるなら有力だが、全員に最適ではない
老齢年金を遅らせてもらう選択は、老後後半の毎月収入を増やす方法として有力です。
65歳から受け取れる老齢基礎年金・老齢厚生年金は、条件を満たせば66歳以後75歳まで受給開始を遅らせることができます。遅らせると、1か月あたり0.7%ずつ増額され、増えた年金額は原則として一生続きます。
ただし、単純に「増えるから得」と考えるのは危険です。受け取りを遅らせる間は年金を受け取れないため、生活費をどう確保するか、何歳まで生きるか、税金や社会保険料を引いた手取りがどうなるかで判断が変わります。
まず、全体像を早見表で確認しましょう。
| 受取開始 | 年金額の変化 | 損益分岐点の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 60歳 | 最大24%減 | 65歳開始と比べて約80歳10か月 | 早く生活費が必要な人 |
| 65歳 | 増減なし | - | 標準的に受け取りたい人 |
| 70歳 | 42%増 | 約81歳11か月 | 65〜70歳の生活費に余裕がある人 |
| 75歳 | 84%増 | 約86歳11か月 | 長生きリスクに強く備えたい人 |
上の損益分岐点は、税金・社会保険料を考えない単純計算です。実際の手取りでは、もう少し後ろにずれることがあります。
判断の軸は、次の3つです。
| 判断軸 | 考えること |
|---|---|
| 生活費 | 年金を受け取らない期間を無理なく乗り切れるか |
| 健康・寿命 | 長生きした場合の安心を重視するか |
| 手取り | 額面ではなく、税金・保険料後で見ているか |
「何歳から受け取るのが一番得か」だけでなく、自分の老後資金計画に合っているかを基準に考えることが大切です。
2. 仕組み:1か月遅らせるごとに0.7%増える
公的年金は原則65歳から受け取れますが、受給開始時期は一定の範囲で前後に動かせます。
| 受け取り方 | 開始時期 | 年金額への影響 |
|---|---|---|
| 繰上げ | 60歳〜65歳前 | 早く受け取る代わりに減額 |
| 通常 | 65歳 | 増減なし |
| 繰下げ | 66歳以後〜75歳 | 遅く受け取る代わりに増額 |
繰下げの増額率は、次の式で計算します。
増額率 = 0.7% × 65歳から繰り下げた月数
主な受取開始年齢ごとの増額率は次のとおりです。
| 受取開始 | 繰下げ月数 | 増額率 |
|---|---|---|
| 66歳 | 12か月 | 8.4% |
| 67歳 | 24か月 | 16.8% |
| 68歳 | 36か月 | 25.2% |
| 69歳 | 48か月 | 33.6% |
| 70歳 | 60か月 | 42.0% |
| 75歳 | 120か月 | 84.0% |
制度の詳細は、日本年金機構の年金の繰下げ受給で確認できます。
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、別々に繰り下げることができます。たとえば、老齢厚生年金は65歳から受け取り、老齢基礎年金だけを70歳まで遅らせる、という選び方も可能です。
一方で、古い世代では上限年齢が70歳までとなる場合があります。自分が75歳までの対象かどうかは、年金事務所やねんきんネットで確認しておきましょう。
3. 今この判断が重要な理由
受給開始時期の判断が重要になっている理由は、老後の期間が長くなっているからです。
厚生労働省の令和6年簡易生命表によると、65歳時点の平均余命は男性19.47年、女性24.38年です。つまり、65歳まで生きた人は、平均的には男性で84歳台、女性で89歳台まで生きる計算になります。統計の詳細は、厚生労働省の主な年齢の平均余命で確認できます。
平均寿命だけを見ると、「男性は81歳くらい、女性は87歳くらい」と考えがちです。しかし、年金の判断では、65歳まで生きた人がそこから何年生きる可能性があるかを見るほうが現実に近くなります。
また、年金額は毎年度改定されます。日本年金機構によると、令和8年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの人で月70,608円、標準的な厚生年金世帯の例は月237,279円です。最新の金額は、令和8年4月分からの年金額等についてで確認できます。
年金は一度受け取り始めると、原則として長期にわたって家計に影響します。老後資金、働き方、健康状態、配偶者の年金、医療費、介護費用まで含めて考える必要があります。
4. 損益分岐点:70歳開始なら約82歳、75歳開始なら約87歳
繰下げで多くの人が気にするのが、何歳まで生きれば累計受取額で追いつくかです。
計算の考え方はシンプルです。
受け取らなかった年金総額
÷
繰下げで増えた毎月の年金額
=
受給開始後、何か月で追いつくか
繰下げは1か月あたり0.7%増なので、税金・社会保険料を考えない単純計算では、どの年齢まで繰り下げても、受給開始から約11年11か月後が損益分岐点になります。
| 受取開始 | 増額率 | 損益分岐点の目安 |
|---|---|---|
| 66歳 | 8.4% | 約77歳11か月 |
| 67歳 | 16.8% | 約78歳11か月 |
| 68歳 | 25.2% | 約79歳11か月 |
| 69歳 | 33.6% | 約80歳11か月 |
| 70歳 | 42.0% | 約81歳11か月 |
| 75歳 | 84.0% | 約86歳11か月 |
たとえば、65歳時点の年金が月15万円の人が70歳まで待つ場合を考えます。
| 項目 | 65歳開始 | 70歳開始 |
|---|---|---|
| 65〜69歳 | 月15万円を受け取る | 受け取らない |
| 70歳以降 | 月15万円 | 月21万3,000円 |
| 月額差 | - | 月6万3,000円増 |
65歳から70歳までに受け取らなかった年金は、単純計算で900万円です。
15万円 × 12か月 × 5年 = 900万円
70歳以降に増える額は月6万3,000円です。
900万円 ÷ 6万3,000円 = 約143か月
約143か月は、約11年11か月です。つまり、70歳から受け取り始める場合、82歳前後で累計額が追いつく計算になります。
ただし、これは額面ベースです。年金額が増えると、所得税・住民税・医療保険料・介護保険料などに影響する場合があります。手取りベースの損益分岐点は、表より後ろにずれる可能性があります。
5. 70歳まで待つ意味と75歳まで待つ意味
70歳まで待つと42%増、75歳まで待つと84%増になります。数字だけ見ると75歳まで待つほうが魅力的ですが、年金を受け取らない期間も長くなります。
65歳時点の年金月額ごとに、70歳開始・75歳開始のイメージを見てみましょう。
| 65歳時点の月額 | 70歳開始 | 75歳開始 |
|---|---|---|
| 8万円 | 11万3,600円 | 14万7,200円 |
| 10万円 | 14万2,000円 | 18万4,000円 |
| 15万円 | 21万3,000円 | 27万6,000円 |
| 20万円 | 28万4,000円 | 36万8,000円 |
70歳開始は、65〜70歳の5年間を給与・貯蓄・退職金などで支えられる人に向いています。75歳開始は、65〜75歳の10年間を支えられるだけの資金が必要です。
75歳まで待つ意味が大きいのは、次のような人です。
| 向いている人 | 理由 |
|---|---|
| 65歳以降も安定して働ける | 年金なしの期間を給与で補いやすい |
| 退職金や貯蓄に余裕がある | 生活費の取り崩しに耐えやすい |
| 長生きリスクを重視したい | 老後後半の毎月収入を厚くできる |
| 単身で老後後半の支出が不安 | 終身の収入増が安心材料になる |
| 夫婦で年金開始時期を分けられる | 世帯全体で柔軟に設計できる |
一方で、65〜75歳の生活費を大きく取り崩す必要があるなら、無理に75歳まで待つ必要はありません。老後前半の安心を犠牲にしてまで最大増額を狙うと、かえって不安が大きくなることがあります。
6. 得しやすい人・後悔しやすい人
繰下げで満足しやすい人と、後悔しやすい人には傾向があります。
| 得しやすい人 | 後悔しやすい人 |
|---|---|
| 65歳以降も収入がある | 年金がないと生活費が足りない |
| 貯蓄・退職金に余裕がある | 生活費の取り崩しが不安 |
| 健康状態が比較的よい | 健康不安が大きい |
| 長生きしたときの安心を重視する | 早めに現金を確保したい |
| 税金・保険料後の手取りで考えている | 額面の増額率だけで判断している |
| 夫婦で受給時期を分けて考えられる | 配偶者の年金や加給年金を確認していない |
特に注意したいのは、「平均より長生きできるかどうか」を当てにいく判断ではないという点です。
公的年金は、投資商品のように利回りだけで比べるものではありません。長く生きたときに生活費が不足しにくくなる、という保険の性格があります。損益分岐点だけでなく、老後後半の安心を買う選択として考えることも大切です。
一方で、生活費が足りないのに無理に待つのは本末転倒です。年金を受け取らない期間にカードローンや高金利の借入れに頼るようなら、繰下げのメリットは薄れます。
7. 額面では得でも、手取りでは損益分岐点がずれる
繰下げの増額率はわかりやすいですが、実際に大切なのは手取りです。
公的年金は、税金上は主に雑所得として扱われます。年金収入から公的年金等控除を差し引いて所得を計算し、所得税や住民税の対象になります。公的年金等の課税関係は、国税庁の公的年金等の課税関係で確認できます。
年金額が増えると、次の負担に影響する場合があります。
| 影響する可能性があるもの | 内容 |
|---|---|
| 所得税 | 課税所得が増えると税額が増える場合がある |
| 住民税 | 所得に応じて負担が変わる |
| 国民健康保険料 | 所得割に影響する場合がある |
| 後期高齢者医療保険料 | 所得に応じて保険料が変わる |
| 介護保険料 | 所得段階が上がる場合がある |
| 医療・介護の自己負担割合 | 所得により負担割合に影響する場合がある |
| 年金生活者支援給付金 | 所得要件に影響する場合がある |
つまり、額面で42%増、84%増になっても、手取りが同じ割合で増えるとは限りません。
特に、繰下げによって所得段階が変わる人は注意が必要です。年金事務所では年金見込額、市区町村では国民健康保険料・介護保険料、税務署や税理士には税金の確認ができます。
判断するときは、次の順番で見ると安全です。
| 順番 | 確認すること |
|---|---|
| 1 | 65歳時点の年金見込額 |
| 2 | 70歳・75歳開始時の額面 |
| 3 | 所得税・住民税の影響 |
| 4 | 医療保険料・介護保険料の影響 |
| 5 | 最終的な手取り |
| 6 | 65歳以降の生活費とのバランス |
8. 在職老齢年金・加給年金・みなし増額制度の注意点
65歳以降も働く人や、配偶者がいる人は、通常の損益分岐点だけで判断しないほうが安全です。
特に注意したいのが、在職老齢年金と加給年金です。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 在職老齢年金 | 厚生年金に加入して働くと、年金の一部または全部が支給停止になる場合がある |
| 支給停止部分 | 在職老齢年金で支給停止された部分は、繰下げ増額の対象にならない場合がある |
| 加給年金 | 老齢厚生年金に加算される加給年金額は、繰下げ増額の対象外 |
| 待機中の加給年金 | 繰下げ待機中は受け取れない場合がある |
| 特別支給の老齢厚生年金 | 繰下げの対象外なので、受け取れる年齢になったら請求が必要 |
| 障害年金・遺族年金 | 他の年金の受給権があると、繰下げできない場合がある |
65歳以降に働く場合の支給停止基準は改正されることがあります。最新の内容は、日本年金機構の在職老齢年金制度が改正されましたで確認できます。
また、老齢厚生年金を繰り下げる場合の加算額や、在職老齢年金で支給停止される部分の扱いは、日本年金機構の老齢厚生年金の繰下げに関するQ&Aが参考になります。
もう一つ、70歳を過ぎてから請求する人は、特例的な繰下げみなし増額制度も知っておきたいところです。70歳到達後に、65歳からの本来の年金をさかのぼって受け取ることを選ぶ場合、請求の5年前の日に繰下げ申出があったものとみなして、増額された年金を一括で受け取れる場合があります。詳細は、日本年金機構の老齢年金の繰下げ制度の一部改正で確認できます。
ただし、一括受給によって過去にさかのぼって税金、医療保険、介護保険に影響する場合があります。迷う場合は、年金事務所だけでなく、税金や保険料の窓口も確認しましょう。
9. 繰上げ受給との比較
65歳より前に受け取る方法が繰上げ受給です。
昭和37年4月2日以後生まれの人は、1か月早めるごとに0.4%減額されます。60歳から受け取ると、最大24%減額です。詳しくは、日本年金機構の年金の繰上げ受給で確認できます。
繰上げ・通常・繰下げの違いを整理すると、次のようになります。
| 受け取り方 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 繰上げ | 早く現金を受け取れる | 年金額が一生減る |
| 65歳開始 | 標準的で判断しやすい | 長生きリスクへの上乗せはない |
| 繰下げ | 年金額が一生増える | 受け取れない期間がある |
繰上げが現実的な選択になる人もいます。
| 繰上げを検討しやすい人 | 理由 |
|---|---|
| 生活費が足りない | 早く収入を確保する必要がある |
| 健康不安が大きい | 長期の増額メリットを受けにくい可能性がある |
| 働くのが難しい | 給与収入でつなぐのが難しい |
| 貯蓄が少ない | 取り崩しだけでは生活が不安定になりやすい |
一方、65歳以降も働ける人、貯蓄に余裕がある人、長生きした場合の生活費不足を避けたい人は、通常受給や繰下げも検討する価値があります。
繰上げは「早めの生活資金確保」、繰下げは「老後後半の収入強化」と考えると、違いがわかりやすくなります。
10. ケース別シミュレーション
ここでは、税金・社会保険料を考えない単純計算で、70歳開始・75歳開始のイメージを見ます。
| 65歳時点の年金月額 | 70歳開始の月額 | 75歳開始の月額 |
|---|---|---|
| 10万円 | 14万2,000円 | 18万4,000円 |
| 15万円 | 21万3,000円 | 27万6,000円 |
| 20万円 | 28万4,000円 | 36万8,000円 |
月10万円の人が70歳まで待つ場合、増える額は月4万2,000円です。65〜69歳に受け取らなかった額は600万円なので、70歳から約11年11か月で追いつきます。
月15万円の人が70歳まで待つ場合、増える額は月6万3,000円です。65〜69歳に受け取らなかった額は900万円なので、同じく約11年11か月で追いつきます。
月20万円の人が70歳まで待つ場合、増える額は月8万4,000円です。65〜69歳に受け取らなかった額は1,200万円で、こちらも約11年11か月で追いつきます。
割合で増える制度なので、年金額が違っても、単純計算の損益分岐点はほぼ同じです。ただし、年金額が大きい人ほど税金・保険料への影響が大きくなる可能性があります。
夫婦の場合は、世帯全体で考えることが大切です。夫婦2人が同じように繰り下げる必要はありません。
| 夫婦の組み合わせ例 | 考え方 |
|---|---|
| 夫は65歳、妻は70歳 | 世帯収入を確保しつつ一部増額を狙う |
| 夫は70歳、妻は65歳 | 厚生年金が大きい側を増やす |
| 基礎年金だけ繰下げ | 一部収入を確保しながら増額も狙う |
| 夫婦とも65歳 | 生活費の安定を優先する |
年金は「全部繰り下げるか、全部65歳でもらうか」の二択ではありません。基礎年金と厚生年金、夫婦それぞれの受給時期を組み合わせることで、現実的な設計がしやすくなります。
11. 判断前に確認したいチェックリスト
実際に受給開始時期を決める前に、次の項目を確認しましょう。
| チェック項目 | 確認すること |
|---|---|
| 年金見込額 | ねんきん定期便・ねんきんネットで確認する |
| 生活費 | 65〜70歳、65〜75歳の支出を試算する |
| 収入 | 給与、退職金、貯蓄、iDeCo、NISAなどを確認する |
| 健康状態 | 長く働けるか、持病や家族の長寿傾向はどうか |
| 配偶者 | 夫婦それぞれの年金開始時期を考える |
| 加給年金 | 配偶者がいる場合は影響を確認する |
| 在職老齢年金 | 65歳以降も厚生年金に加入して働く場合は要確認 |
| 税金・保険料 | 額面ではなく手取りで見る |
| 相談先 | 年金事務所、市区町村、税務署、専門家を使い分ける |
おすすめは、まず3つのパターンを並べることです。
| パターン | 見るべきポイント |
|---|---|
| 65歳開始 | 生活費の安定を優先できる |
| 70歳開始 | 5年間待つ現実性を確認できる |
| 75歳開始 | 老後後半の収入最大化を検討できる |
制度やお金の判断は、一度で理解しようとすると難しく感じます。年金、税金、医療保険、介護保険、資産形成の知識を少しずつ学び直すと、自分で判断する力がつきます。完全無料で利用でき、学習行動がユーザーに還元される共益型プラットフォームのDailyDropsも、日々の学習習慣を作る選択肢の一つです。
12. よくある質問
Q. 何歳まで生きれば得になりますか?
税金や社会保険料を考えない単純計算では、受給開始から約11年11か月後が損益分岐点です。70歳開始なら約81歳11か月、75歳開始なら約86歳11か月が目安です。
Q. 75歳まで待つのが一番得ですか?
長生きすれば累計受取額は大きくなりやすいですが、65〜75歳の生活費をどう確保するかが問題です。生活費の取り崩しが大きくなりすぎるなら、70歳開始や一部だけ繰下げる方法も検討しましょう。
Q. 老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられますか?
別々に繰り下げられます。たとえば、老齢厚生年金は65歳から受け取り、老齢基礎年金だけを70歳まで遅らせることも可能です。
Q. 働きながら繰り下げると必ず有利ですか?
必ず有利とは限りません。65歳以降も厚生年金に加入して働く場合、在職老齢年金による支給停止が関係することがあります。支給停止された部分は繰下げ増額の対象にならない場合があります。
Q. 繰下げしないほうがいい人はいますか?
年金がないと生活費が足りない人、健康不安が大きい人、税金や保険料の影響を確認していない人は慎重に考えたほうがよいです。無理に待つより、65歳開始や一部だけ繰下げる方法が合う場合もあります。
Q. 早く亡くなったら損ですか?
累計受取額だけで見ると、損益分岐点より前に亡くなった場合は不利になりやすいです。ただし、公的年金は長生きしたときの生活費を支える保険の性格があります。損得だけでなく、老後後半の安心をどう考えるかも大切です。
13. まとめ:最大増額より、自分の生活に合う受け取り方を選ぼう
受給開始を遅らせると、1か月あたり0.7%ずつ年金額が増えます。70歳開始なら42%増、75歳開始なら84%増です。
一方で、受け取らない期間があるため、単純計算の損益分岐点は受給開始から約11年11か月後です。70歳開始なら約82歳、75歳開始なら約87歳が目安になります。
重要なのは、次の3点です。
| 判断ポイント | 考え方 |
|---|---|
| 年金なし期間 | 生活費を無理なくまかなえるか |
| 手取り | 税金・医療保険料・介護保険料を考えているか |
| 老後後半 | 長生きした場合の安心を重視するか |
最大84%増という数字は魅力的ですが、誰にとっても最適とは限りません。生活費に不安がある人は65歳開始、5年間なら待てる人は70歳開始、老後後半の収入を厚くしたい人は75歳開始というように、現実の家計に合わせて考えることが大切です。
まずは、ねんきん定期便やねんきんネットで自分の見込額を確認し、65歳開始・70歳開始・75歳開始の3パターンを並べてみましょう。数字を見える形にすることが、後悔しない判断の第一歩です。