卓球ボールの大きさはなぜ40mm?38mmから変わった理由と40+の意味
結論から言えば、卓球ボールが38mmから40mmへ大きくなった大きな理由は、選手や観客が球を追いやすくし、高速化していた競技のバランスを調整するためです。
旧規格から増えたのは直径でわずか2mmですが、正面から見た面積は約10.8%大きくなりました。ただし、「大きくなって空気抵抗が増えたから、その分だけ遅くなった」と説明するのは正確ではありません。重量も2.5gから2.7gへ増えており、実際の速度や回転には、ラケットとの衝突や素材、打ち方なども関係するからです。
また、現在の球に表示されている「40+」は、直径41mmという意味ではありません。主に、かつてのセルロイド球と現在のプラスチック球を区別するための表示です。
1. 現在の卓球ボールは直径40mm・重さ2.7g
国際卓球連盟(ITTF)の競技規則では、公式球の基本仕様が次のように定められています。
| 項目 | 現在の公式規格 |
|---|---|
| 形 | 球形 |
| 直径 | 40mm |
| 重さ | 2.7g |
| 素材 | プラスチック |
| 色 | 白またはオレンジ |
| 表面 | つや消し |
直径40mmは、センチメートルに直すと4cmです。「ピンポン玉の大きさは何センチ?」という疑問への答えも、競技用であれば約4cmとなります。
現在の規格は、国際卓球連盟の競技規則に明記されています。
一般的な卓球ボールと、よく混同される球を比較すると次のようになります。
| 種類 | 直径 | 重さ | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 旧規格球 | 38mm | 2.5g | 2000年までの公式競技 |
| 現在の公式球 | 40mm | 2.7g | 一般的な卓球競技 |
| ラージボール | 44mm | 2.2〜2.4g | ラージボール卓球 |
| 工作・抽選用の球 | 製品による | 製品による | 玩具、装飾、抽選など |
ラージボールは、通常球より4mm大きい一方で、重さは軽く作られています。日本卓球協会によると、ラージボール卓球では直径44mm、重さ2.2〜2.4gのオレンジ球が使用されます。
100円ショップなどで販売されている工作用のピンポン玉は、競技規格を満たしているとは限りません。卓球の練習に使う場合は、40mm、2.7g、40+などの表示を確認する必要があります。
2. 38mmから40mmへ変わったのは2000年
卓球ボールは長い間、直径38mm、重さ2.5gのセルロイド球が使われていました。
この規格が変更されたのは2000年です。シドニーオリンピックが38mm球を使う最後の主要大会となり、その後の2000年10月から40mm球が公式に採用されました。
ITTFによる卓球の歴史でも、38mm球が40mm球へ置き換えられたことが、競技の大きな転換点として紹介されています。
その後、2014年からは素材の移行が始まり、主要な国際大会でもセルロイドを含まないプラスチック球が使われるようになりました。
時系列を整理すると、次のようになります。
| 時期 | 主な変更 |
|---|---|
| 2000年まで | 直径38mm・重さ2.5gのセルロイド球 |
| 2000年10月以降 | 直径40mm・重さ2.7gへ変更 |
| 2014年7月以降 | ITTFの主要大会でプラスチック球への移行開始 |
| 2015年 | 世界卓球選手権でプラスチック球を使用 |
| 現在 | 直径40mm・重さ2.7gのプラスチック球 |
注意したいのは、大きさの変更と素材の変更は別の出来事だという点です。
2000年に変わったのは、主に直径と重さです。その時点では40mmのセルロイド球が使われていました。プラスチック球への本格的な移行は、それから約14年後です。
3. なぜボールを2mm大きくしたのか
規格変更が検討された背景には、卓球の高速化がありました。
ラバーやラケットの性能が向上し、選手の身体能力や技術も進歩したことで、打球の速度と回転は強くなっていきました。特に高度なサービスでは、観客から見ると何が起こったのか分からないままレシーブミスになったり、短いやり取りで得点が決まったりすることがあります。
38mm球から40mm球への変更には、主に次の狙いがありました。
- ボールを選手や観客が追いやすくする
- 高速化していたプレーのバランスを調整する
- 回転や速度の影響を穏やかにする可能性を探る
- ラリーが極端に短くなる状況を改善する
- 映像を通じて試合を理解しやすくする
ITTFの歴史資料では、テレビでの見やすさを改善する目的が示されています。ただし、単に「テレビに大きく映すためだけ」に変更されたわけではありません。
日本機械学会の解説では、変更の検討に先立ち、短いラリー、強いサービス、競技の高速化などが課題として議論された経緯が説明されています。詳しくは卓球ボール径変更の解説で確認できます。
40mm化は、球を物理的に大きく見せるだけでなく、選手が球を認識し、返球を準備しやすくする可能性を含めた規格変更でした。
もっとも、2mmの差だけで卓球が大幅に遅い競技になったわけではありません。選手や用具メーカーも新しい球に合わせてラバー、ラケット、スイングを調整するため、競技全体はその後も進化しています。
4. 2mmの違いで面積と体積はどれくらい変わる?
38mmから40mmへの変更は、直径だけを見ると約5.3%の増加です。しかし、面積は直径の2乗、体積は直径の3乗に比例します。
| 比較項目 | 38mm球から40mm球への変化 |
|---|---|
| 直径 | 約5.3%増 |
| 正面から見た面積 | 約10.8%増 |
| 表面積 | 約10.8%増 |
| 球全体の体積 | 約16.6%増 |
| 規格上の重さ | 約8.0%増 |
正面から見た面積は、円の面積を求める A = πr² で比較できます。
38mm球の半径は19mm、40mm球の半径は20mmなので、面積の比率は次のようになります。
40mm球と38mm球の面積比
= 20² ÷ 19²
= 400 ÷ 361
≒ 1.108
つまり、40mm球は38mm球よりも、進行方向から見た面積が約10.8%大きくなります。
ただし、この数字から「空気抵抗による減速も10.8%増える」と考えることはできません。ボールの重量も2.5gから2.7gへ増えており、動きにくさも増しているためです。
日本機械学会の計算では、同じ初速度で打ち出した場合、38mm球と40mm球の飛行中の速度変化にはほとんど差がないと説明されています。
直径が大きくなると空気を受ける面積は増えますが、質量も増えているため、両方の影響を考える必要があります。
5. 40mm球は本当に遅く、回転が少ないのか
40mm球は一般に、38mm球よりも速度や回転が抑えられる傾向があると説明されます。ただし、その理由を空気抵抗だけに求めるのは適切ではありません。
球の動きは、大きく分けて次の2段階で決まります。
- ラケットに当たった瞬間に、どの程度の速度と回転が与えられるか
- 打ち出された後、空気中でどのように減速・変化するか
同じ初速度で飛んでいる球を比較すると、重量の増加が空気抵抗の増加を打ち消すため、飛行中の減速差は小さくなる可能性があります。
一方、実際の打球では、ラケットと接触した瞬間の挙動が同じではありません。
- 大きさと重量が違う
- 球殻の硬さや変形量が違う
- ラバーとの接触面や摩擦が変わる
- 回転を生み出すときの感触が変わる
- 素材や製造方法によって反発が変わる
そのため、同じラケットを同じように振っても、球の初速や回転量が完全に同じになるとは限りません。
40mm球を使った実験では、特定の打球条件において、38mm球より初速や回転数が低くなる傾向が報告されています。ただし、差の大きさは打法、ラケット速度、打球角度、使用する球によって変わります。
「必ず何%遅くなる」「回転が一律に何%減る」と断定することはできません。
実際のプレーでは、次のような変化として感じられる場合があります。
- 強打した球の伸び方が違う
- サービスの回転が相手に伝わる感覚が変わる
- ドライブの弧線や台に着いた後の動きが変わる
- 同じスイングでも球が浅くなる、または飛びすぎる
- レシーブ時に球を見極める時間がわずかに増える
競技レベルが高くなるほど、このような小さな違いが打点やスイングの選択に影響します。
6. 40mmと「40+」は何が違う?
現在販売されている卓球ボールの多くには、「40+」と印刷されています。
このプラス記号は、直径が41mmになったことを示すものではありません。競技規則上の直径は現在も40mmです。
主な表示の違いは次のとおりです。
| 表示 | 主な意味 |
|---|---|
| 38 | 旧規格の38mm球 |
| 40・40mm | 40mm規格のセルロイド球で使われた表示 |
| 40+ | セルロイドを含まないプラスチック球を示す表示 |
| 3スター | 一般にメーカーの競技向け上位等級 |
| ITTF Approved | ITTFの公認試験を通過した製品 |
ITTFの技術文書では、セルロイド球には「40」または「40mm」、非セルロイド球には「40+」を表示する区分が設けられていました。
したがって、40+は単なるサイズ表記ではなく、旧来のセルロイド球と新しい素材の球を見分けるための表示でもあります。
また、「40+なら必ず公式大会で使用できる」とは限りません。40+の練習球やレジャー用製品も販売されています。
大会で使える球を選ぶときは、次の点を確認します。
- ITTFまたは日本卓球協会の公認球か
- 大会要項で指定された銘柄か
- 40+のプラスチック球か
- 白球とオレンジ球のどちらが指定されているか
- 練習球ではなく試合用の製品か
星の数は品質の目安として使われますが、公認を示す世界共通の規格そのものではありません。最終的には大会要項や公認表示を確認する必要があります。
7. セルロイドからプラスチックへ変わった理由
卓球ボールは、直径が40mmになった後もしばらくセルロイドで作られていました。
セルロイドは軽く、弾みや打球音に優れた素材ですが、燃えやすいという性質があります。大量に保管・輸送する際の取り扱いが難しく、製造や安定供給の面でも課題がありました。
そこで、セルロイドを含まない新しい素材への移行が進められました。ITTFは2014年に新素材球への転換を開始し、2014年7月1日以降のITTF公認大会や世界タイトル大会でプラスチック球を使用する方針を採用しました。
移行の経緯は、ITTFによるセルロイド球からプラスチック球への移行の解説にもまとめられています。
ただし、素材を変えれば、セルロイド球とまったく同じ性能になるわけではありません。
球が台に衝突した後の動きを調べた研究では、プラスチック球とセルロイド球で、反発係数や摩擦係数に違いが生じる条件が確認されています。
球の素材変更と衝突後の軌道を調べた研究では、次のような傾向が示されました。
- 台に対する鉛直方向の速度が高い条件では、プラスチック球の反発係数が高くなる
- 接触点の水平方向の速度が低い条件では、プラスチック球の摩擦係数が高くなる
- 下回転の遅いサービスでは、プラスチック球が台に着いた後に減速しやすい場合がある
- 速いトップスピンでは、プラスチック球がバウンド後に強く前進する場合がある
つまり、プラスチック球は「常にセルロイド球より遅い」「必ず弾まない」と単純には言えません。
サービス、スマッシュ、ドライブでは、台に当たる速度、角度、回転が異なります。球の違いも、打球条件によって別の形で表れます。
初期のプラスチック球には、割れやすさ、球形のばらつき、打球感などへの指摘もありました。その後は製造技術と素材が改良され、現在ではプラスチック球が標準として定着しています。
8. よくある質問
Q. ピンポン玉の大きさは何cmですか?
競技用の卓球ボールは直径40mmなので、4cmです。ただし、工作用や抽選用として売られている製品には規格外のものもあります。
Q. 38mm球はいつまで使われていましたか?
主要な国際大会では、2000年のシドニーオリンピックが38mm球を使う最後の大会となりました。その後、2000年10月から40mm球へ移行しました。
Q. なぜ39mmではなく40mmだったのですか?
変更案の検討では、見やすさ、打球感、製造のしやすさ、重量などを総合的に考える必要がありました。40mmで2.5gの試作球は球殻が薄くなり、打球感や製造精度に問題があったとされています。最終的に、直径40mm・重さ2.7gが採用されました。
Q. 40+は直径40mmより大きいのですか?
公称直径は40mmです。プラス記号は41mmという意味ではなく、主に非セルロイドのプラスチック球を示します。公認試験では製品の寸法に許容範囲があるため、実測値が完全に40.00mmになるとは限りません。
Q. 40mm球と40+球を混ぜて練習しても大丈夫ですか?
簡単なラリーなら可能ですが、試合に向けたサービス、レシーブ、多球練習では混ぜない方がよいでしょう。素材や反発の違いによって、球の長さやバウンドの感覚がずれる可能性があります。
Q. 白い球とオレンジ色の球で性能は違いますか?
色だけで性能が決まるわけではありません。背景、床、ユニフォーム、照明との組み合わせによって見やすさが変わります。大会では使用する球の色が指定される場合があります。
Q. 3スターなら公式大会で使えますか?
3スターは一般にメーカーが上位球に使用する表示ですが、それだけでITTF公認球とは判断できません。ITTF Approvedの表示や大会の指定球を確認してください。
Q. ラージボールは初心者向けの大きなピンポン玉ですか?
ラージボールは直径44mmの専用球を使う独立した競技です。大きく軽い球を使うためラリーを続けやすい傾向がありますが、ネットの高さや使用できるラバーなど、通常の卓球とは異なるルールがあります。
9. 40mm化と素材変更を分けて理解しよう
卓球ボールの規格は、一度に現在の形へ変わったわけではありません。
最初の大きな転換は、2000年に行われた38mm・2.5gから40mm・2.7gへの変更です。球を追いやすくし、高速化していたプレーのバランスを調整することが大きな目的でした。
次の転換は、2014年から始まったセルロイド球からプラスチック球への移行です。現在見かける40+という表示は、この素材の違いを表す意味を持っています。
重要な点を整理すると、次のようになります。
- 現在の公式球は直径40mm、重さ2.7g
- 38mm球からの変更は2000年10月に実施された
- 直径2mmの増加で、正面から見た面積は約10.8%増えた
- 重量も増えたため、空気抵抗だけで速度差を説明することはできない
- 速度や回転の違いには、ラケットとの衝突や球の素材も関係する
- 40+は41mmという意味ではない
- サイズ変更とプラスチック化は約14年離れた別の変更
古い38mm球、40mmセルロイド球、現在の40+球を実際に打ち比べると、打球音、回転、バウンド、飛び方の違いを感じられる場合があります。
わずか2mmの変更でも、用具の製造、選手の技術、試合の見え方にまで影響します。現在の卓球は、こうした規格変更と、それに適応してきた選手や用具の進化によって形づくられています。