バレーで一人だけユニフォームの色が違うのはなぜ?リベロの役割・交代・反則ルール
1. 一人だけ違う色を着ているのは守備専門のリベロ
コート上で一人だけ異なる色のユニフォームを着ている選手は、守備を専門とするリベロです。
リベロには通常の選手とは異なる交代方法やプレー制限があるため、審判や記録員が瞬時に見分けられるよう、他の選手と明らかに対照的な色を着用します。
まずは、基本的な特徴を整理しておきましょう。
| 疑問 | 基本的な答え |
|---|---|
| 違う色の選手は誰? | 守備専門のリベロ |
| なぜ色を変える? | 特別な交代やプレー制限を識別しやすくするため |
| 交代回数は? | 通常の選手交代とは別で、回数制限なし |
| サーブは打てる? | JVAの6人制競技規則では打てない |
| スパイクは打てる? | ボールの高さによっては可能 |
| ブロックはできる? | ブロックもブロックの試みもできない |
| 前に出られる? | 移動はできるが、前衛選手としてはプレーできない |
違う色は、単に守備が得意な選手を目立たせるためのものではありません。特殊な権限と制限を持つ選手であることを示す、ルール上の識別表示です。
以下の内容は、2026年4月1日から実施されている日本バレーボール協会(JVA)の6人制競技規則を基準にしています。年代別大会や地域大会では特別ルールが設けられる場合があるため、実際に競技へ参加するときは大会要項も確認してください。
2. リベロとは?守備力を高める専門ポジション
リベロは、6人制バレーボールでバックコートの守備を担当する専門的なポジションです。
国際バレーボール連盟(FIVB)は、1996年に専門的な守備選手としてリベロを導入しました。FIVBの競技紹介でも、バックコートでプレーし、他の選手とは違う色やデザインのユニフォームを着る選手として説明されています。
「リベロ」という名称は、イタリア語で「自由な」を意味する言葉に由来します。ただし、すべてのプレーを自由にできるわけではありません。
通常の選手交代とは別の仕組みで何度もコートへ出入りできる一方、サーブ、ブロック、高い位置からの攻撃などには制限があります。
試合では、主にミドルブロッカーが後衛へ回るタイミングでリベロと入れ替わります。
前衛にいる間
ミドルブロッカーがブロックや速攻を担当
↓
ローテーションで後衛へ移動
↓
リベロと入れ替わり、守備力を高める
↓
前衛へ戻る前に元の選手と再び入れ替わる
ミドルブロッカーは、ネット付近で高さを生かす能力に優れています。一方、リベロは低い姿勢から素早く動き、相手のサーブやスパイクを正確に味方へ返す能力に優れています。
役割の異なる選手を入れ替えることで、チームは前衛の高さと後衛の守備力を両立しやすくなるのです。
3. ユニフォームはどのくらい違えばよい?
リベロのユニフォームは、袖や模様が少し違う程度ではなく、主要な部分の色が他の選手と明確に異なっている必要があります。
日本バレーボール協会の6人制競技規則では、チームの他の選手とは主要部分の色が異なり、明らかに対照的でなければならないと定められています。
| 確認項目 | 基本ルール |
|---|---|
| 主要部分の色 | 他の選手と異なる色にする |
| 色の差 | 離れた場所からでも分かる対照的な配色にする |
| 背番号 | 他の選手と同様に必要 |
| 2人のリベロ | 互いに違う色を着ることもできる |
| 再指名された選手 | ジャケットやビブスを使用する場合がある |
例えば、通常選手が濃い青色なら、リベロは白色や黄色などにすると見分けやすくなります。
一方、通常選手が紺色、リベロが少し薄い青色という程度では、照明や映像の状態によって判別しにくくなる可能性があります。
明確な色分けが必要なのは、反則を見分けるためだけではありません。
- 誰と入れ替わったのか
- コート上にリベロが2人入っていないか
- 正しい選手がコートへ戻ったか
- 所定の場所から出入りしたか
- リベロが禁止されているプレーをしていないか
こうした点を審判団や記録員が確認するうえでも、色の違いが重要になります。
4. リベロの役割はレシーブだけではない
リベロは「相手のスパイクを拾う選手」と説明されることがありますが、実際の役割はそれだけではありません。
ボールが床へ落ちるのを防ぎ、味方が攻撃できる形に整えるまでが重要な仕事です。
| 主な役割 | プレーの内容 |
|---|---|
| サーブレシーブ | 相手のサーブをセッターへ正確に返す |
| ディグ | スパイクやフェイントを拾う |
| ブロックカバー | 味方の攻撃がブロックされた場合に備える |
| 二段トス | セッターが1本目を触ったときにトスを上げる |
| 守備位置の調整 | 相手の攻撃方向を予測して配置を整える |
| 声かけ | ボールの行方や守備範囲を味方へ伝える |
サーブレシーブを安定させる
相手のサーブを正確にセッターへ返せると、速攻や時間差攻撃など、複数の攻撃を選びやすくなります。
逆にレシーブがネットから大きく離れると、攻撃の選択肢が減り、相手のブロックも対応しやすくなります。
リベロの正確なレシーブは、守備だけでなくチームの攻撃力にも影響しているのです。
相手のスパイクを拾う
相手の強打を受けるときは、単に反応速度が速ければよいわけではありません。
助走の方向、打者の肩の向き、味方ブロックの位置などからコースを予測し、ボールが打たれる前に守備位置を調整します。
ボールに触れなかった場面でも、適切な場所に立つことで相手の攻撃コースを狭めている場合があります。
攻撃につながるボールを上げる
セッターが1本目のボールを触った場合は、別の選手が2本目を上げなければなりません。その役割をリベロが担当することもあります。
ただし、ネット付近で指を使ったオーバーハンドパスをすると、その後の攻撃が制限される場合があります。正確な技術だけでなく、場所と状況に応じた判断力も必要です。
5. リベロができること・できないこと
リベロは守備専門ですが、攻撃につながる行動がすべて禁止されているわけではありません。
判定には、プレーした場所・ボールの高さ・動作の種類が関係します。
| プレー | 可否 | 注意点 |
|---|---|---|
| サーブレシーブ | できる | 中心的な役割 |
| スパイクレシーブ | できる | 後衛守備を担当する |
| アンダーハンドで返球 | できる | 相手コートへ返っても直ちに反則ではない |
| サービス | できない | JVAの6人制競技規則では禁止 |
| ブロック | できない | ブロックの試みも禁止 |
| アタックヒット | 条件付き | ボール全体がネット上端より高いと反則 |
| フロントゾーンへの移動 | できる | 入っただけでは反則にならない |
| フロントゾーンでのオーバーハンドパス | できる | その後の味方の攻撃が制限される場合がある |
| キャプテン | できる | チームキャプテンにもゲームキャプテンにもなれる |
特に誤解されやすいのが、アタックヒットです。
リベロがスパイクのような動作をしただけで、必ず反則になるわけではありません。リベロがボールに触れた瞬間に、ボール全体がネット上端より高い位置にあり、その攻撃が完了した場合に反則となります。
ネット上端より低い位置にあるボールを打って相手コートへ返すことは可能です。
6. 前に出られる?アタックラインと反則の関係
「リベロは前衛に行けない」という説明は、正確ではありません。
リベロはバックプレーヤーとしてのみプレーするため、ローテーション上の前衛選手にはなれません。しかし、ラリー中にアタックラインを越えてフロントゾーンへ移動し、ボールを拾うこと自体は認められています。
ネット
─────────────────
フロントゾーン
リベロも移動して守備できる
─── アタックライン ───
バックゾーン
リベロが主に守備する範囲
反則につながる可能性があるのは、リベロがフロントゾーン内で指を使ったオーバーハンドパスをした後です。
次の条件がそろうと、味方選手のアタックヒットが反則になります。
-
リベロが自チームのフロントゾーン内にいる
-
指を使ったオーバーハンドパスでボールを上げる
-
上げられたボール全体がネット上端より高い
-
味方選手がそのボールを相手コートへ打ち切る
リベロがフロントゾーン内で オーバーハンドパス ↓ ボール全体がネット上端より高い ↓ 味方がアタックヒットを完了 ↓ 反則
同じフロントゾーン内でも、リベロがアンダーハンドパスで上げた場合は、このリベロ特有の攻撃制限は適用されません。
また、アタックラインより後方からオーバーハンドパスをした場合も、味方は通常どおり攻撃できます。
そのため、リベロがネット近くのボールをアンダーハンドで処理する場面があります。これは技術上の好みだけでなく、味方の攻撃を制限しないための判断でもあります。
7. 交代回数は無制限でも、完全に自由ではない
リベロと通常選手の入れ替わりは、一般的な選手交代とは区別され、規則上はリベロリプレイスメントと呼ばれます。
通常の選手交代には数えられず、回数にも制限がありません。
ただし、好きな瞬間に好きな選手と入れ替われるわけではありません。
- バックのポジションにいる選手と入れ替わる
- ボールがアウトオブプレーのときに行う
- 原則としてサービス許可のホイッスル前に行う
- 所定のリベロリプレイスメントゾーンから出入りする
- 原則として2回のリプレイスメントの間に完了したラリーが必要
- コート上に入れるリベロは同時に1人だけ
通常の選手交代との違いを比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | 通常の選手交代 | リベロリプレイスメント |
|---|---|---|
| 回数 | セットごとの制限を受ける | 回数制限なし |
| 対象となる選手 | 交代規則に従う | バックのポジションの選手 |
| 審判への要求 | 正規の交代手続きが必要 | 所定の場所から出入りする |
| ラリー間の条件 | 通常の交代規則に従う | 原則として間に完了したラリーが必要 |
| コート上の人数 | 通常選手として入る | リベロは同時に1人だけ |
例えば、リベロがミドルブロッカーと入れ替わってコートへ入った場合、アクティングリベロと入れ替われるのは、原則として元のミドルブロッカーかセカンドリベロです。
関係のない別の選手と自由に交代できるわけではありません。
また、「回数無制限」といっても、1回の中断中に何度も連続して出入りできるという意味ではありません。原則として新たなラリーが完了した後でなければ、次のリプレイスメントはできません。
8. リベロを2人登録する場合はどうなる?
チームは、守備専門の選手を2人まで指名できます。ただし、試合中にコートへ立てるリベロは常に1人だけです。
コート上でプレーしている選手をアクティングリベロ、もう1人をセカンドリベロと呼びます。
2人を登録する主な理由には、次のようなものがあります。
- サーブレシーブが得意な選手とディグが得意な選手を使い分ける
- 相手のサーバーや攻撃選手との相性で選ぶ
- セットや試合展開に応じて守備配置を変える
- 疲労やコンディションを考慮する
- 負傷や体調不良に備える
セカンドリベロは、元の通常選手を一度コートへ戻さなくても、アクティングリベロと直接入れ替わることができます。
ただし、2人が同時にコートへ入ることはできません。
ユニフォームについては、2人のリベロが必ず同じ色を着なければならないわけではありません。通常選手と明確に区別できれば、リベロ同士で異なる色を着ることも認められています。
9. よくある質問
Q. 違う色の選手はキャプテンですか?
違います。色の違いはリベロを識別するためのものです。現在のルールでは、リベロがチームキャプテンやゲームキャプテンを務めることもできます。
Q. リベロはスパイクを打てますか?
条件によっては打てます。ボールに触れた瞬間、ボール全体がネット上端より高い位置にあり、そのアタックヒットを完了すると反則です。ネット上端より低いボールを打って返すことはできます。
Q. リベロは前衛に入れますか?
前衛ポジションの選手にはなれません。ただし、ラリー中にフロントゾーンへ移動してボールを拾うことは可能です。アタックラインを越えただけでは反則になりません。
Q. リベロはサーブを打てますか?
JVAの6人制競技規則では、リベロはサービスを行えません。ただし、年代別大会や地域大会などで特別ルールが採用される可能性があるため、参加大会の要項も確認してください。
Q. リベロの交代は何回までですか?
回数制限はありません。ただし、通常の選手交代とは異なる手続きがあり、原則として2回のリプレイスメントの間に完了したラリーが必要です。
Q. リベロに身長制限はありますか?
公式ルール上の身長制限はありません。身長よりも、素早い反応、低い姿勢、正確なレシーブ、予測力、周囲との連携などが重要です。
Q. 背の低い選手が多いのはなぜですか?
前衛でブロックや高い位置からのスパイクをする必要がなく、低い姿勢から素早く動く能力が重視されるためです。ただし、背が低ければ必ずリベロに向いているわけではありません。
Q. リベロが負傷した場合はどうなりますか?
セカンドリベロが登録されていれば交替できます。利用できるリベロが1人だけで、その選手がプレー不能になった場合は、条件を満たす別の選手を新しいリベロとして再指名できることがあります。
Q. ビーチバレーボールにもリベロはいますか?
一般的な2人制のビーチバレーボールにはリベロはいません。2人の選手が守備と攻撃の両方を担当します。
10. まとめ
一人だけ異なる色を着用するのは、守備専門のリベロを他の選手と明確に区別するためです。
リベロには通常の選手とは異なる交代方法とプレー制限があるため、審判団や記録員がすぐに識別できる対照的なユニフォームが必要になります。
要点を整理すると、次のとおりです。
- リベロはバックのポジションにいる選手と入れ替わる
- 他の選手と明らかに対照的な色のユニフォームを着る
- リプレイスメントの回数に制限はない
- 回数無制限でも、出入りのタイミングや相手には決まりがある
- サービス、ブロック、ブロックの試みはできない
- 高い位置にあるボールのアタックヒットには制限がある
- フロントゾーンへ移動すること自体は禁止されていない
- 2人登録しても、同時にコートへ立てるのは1人だけ
- 身長制限はなく、予測力、正確さ、俊敏性、連携が求められる
- リベロがキャプテンを務めることもできる
試合を見るときは、違う色の選手が誰と入れ替わるのか、サーブレシーブでどの範囲を担当するのか、ネット付近でどのようにボールを処理するのかに注目してみてください。
守備から攻撃へつながる流れが分かり、バレーボール観戦をより深く楽しめるようになります。