扶養控除とは?2026年の16歳以上・年収136万円の要件、配偶者控除との違い、年末調整の書き方を解説
1. 最初に結論:2026年は「16歳以上・所得・生計」を確認する
扶養控除は、子ども・親・祖父母・きょうだいなどを経済的に支えている人の税負担を軽くするための所得控除です。
最初に押さえるべき結論は、次の3つです。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 年齢 | その年の12月31日時点で16歳以上か |
| 所得 | 対象親族の合計所得金額が基準以下か |
| 生計 | 生活費・教育費・療養費などを実質的に支えているか |
特に2026年は、年末調整で確認すべき所得基準が変わるため注意が必要です。令和8年分の所得税では、扶養親族等の所得要件が見直され、給与収入だけの場合は令和8・9年分で年収136万円以下が一つの目安になります。
ただし、ここでいう扶養は「税金上の扶養」です。健康保険や厚生年金などの「社会保険上の扶養」とは基準が違います。
扶養控除は、税金がそのまま38万円安くなる制度ではありません。
所得から一定額を差し引き、課税される金額を減らす制度です。
まずは「家族がいるか」ではなく、年齢・所得・生計の3条件を満たすかで判断しましょう。
2. 対象になる親族と、対象にならない親族
扶養控除の対象になる可能性があるのは、配偶者以外の親族です。具体的には、子ども、親、祖父母、孫、きょうだいなどが代表例です。
国税庁の扶養控除の説明では、扶養親族の要件として、配偶者以外の親族であること、生計を一にしていること、所得要件を満たすこと、事業専従者でないことなどが示されています。
主な判定ポイントを整理すると、次のとおりです。
| 判定項目 | 内容 |
|---|---|
| 親族関係 | 配偶者以外の親族など |
| 年齢 | 控除対象になるには原則16歳以上 |
| 所得 | 合計所得金額が基準以下 |
| 生計 | 同じ家計で生活している、または仕送りなどで支えている |
| 事業専従者 | 青色事業専従者・白色事業専従者に該当しない |
ここで間違いやすいのが、16歳未満の子どもは所得税の扶養控除の対象外という点です。子どもがいるだけで必ず控除を受けられるわけではありません。
また、配偶者は扶養控除の対象ではありません。妻・夫などの配偶者は、配偶者控除または配偶者特別控除で判定します。
3. なぜ今重要なのか:103万円・123万円・136万円が混在している
扶養控除が今あらためて重要なのは、所得要件が段階的に変わっているためです。古い情報では「103万円の壁」と説明されていることがありますが、2025年・2026年の改正後は、そのまま覚えていると間違える可能性があります。
目安を整理すると、次のようになります。
| 年分 | 扶養親族の所得要件 | 給与収入だけの場合の目安 |
|---|---|---|
| 令和6年分以前 | 合計所得金額48万円以下 | 年収103万円以下 |
| 令和7年分 | 合計所得金額58万円以下 | 年収123万円以下 |
| 令和8・9年分 | 合計所得金額62万円以下 | 年収136万円以下 |
| 令和10年分以後 | 合計所得金額62万円以下 | その年の給与所得控除表で確認 |
令和8年度改正については、国税庁の令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等についてで、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正が案内されています。
社会的にも、家族の働き方は変わっています。厚生労働省の2024年国民生活基礎調査では、児童のいる世帯は907万4千世帯で全世帯の16.6%、児童のいる世帯における母の「仕事あり」の割合は80.9%とされています。共働き、子どものアルバイト、親への仕送りなどが重なると、扶養の判定は以前より複雑になりやすくなります。
4. 控除額はいくらか:年齢によって金額が変わる
扶養控除の金額は、対象親族の年齢や同居状況によって変わります。所得税の主な控除額は次のとおりです。
| 区分 | 年齢など | 所得税の控除額 |
|---|---|---|
| 一般の控除対象扶養親族 | 16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満 | 38万円 |
| 特定扶養親族 | 19歳以上23歳未満 | 63万円 |
| 老人扶養親族 | 70歳以上 | 48万円 |
| 同居老親等 | 70歳以上で一定の同居要件あり | 58万円 |
年齢は、その年の12月31日時点で判定します。たとえば、年の途中で19歳になった子どもは、12月31日時点で19歳以上23歳未満なら特定扶養親族として判定します。
大学生年代で控除額が大きいのは、教育費や生活費の負担が重くなりやすい時期だからです。そのため、19歳以上23歳未満の子どもがアルバイトをしている家庭では、収入の確認が特に重要になります。
なお、扶養控除は所得税だけでなく住民税にも関係します。ただし、住民税の控除額は所得税と同じではありません。手取りへの影響を見るときは、翌年度の住民税もあわせて考えましょう。
5. 「年収136万円以下」はどう考えるか
令和8・9年分でよく出てくる「年収136万円以下」は、給与収入だけの場合の目安です。
考え方は次のとおりです。
給与収入 - 給与所得控除 = 給与所得
令和8・9年分では、給与所得控除の最低保障額の引上げを反映すると、給与収入だけの親族は年収136万円以下なら、扶養親族の所得要件である合計所得金額62万円以下に収まりやすくなります。
ただし、次のような場合は単純に年収だけで判断できません。
| ケース | 注意点 |
|---|---|
| 給与以外に副業収入がある | 雑所得・事業所得などを合算する |
| 年金収入がある | 公的年金等控除を使って所得を計算する |
| 不動産収入がある | 必要経費を差し引いた所得を見る |
| 退職金や一時金がある | 所得区分を確認する |
| 非課税所得がある | 遺族年金などは合計所得金額に含めない場合がある |
つまり、「年収136万円」はすべての人にそのまま使える万能な基準ではありません。給与だけのアルバイト・パート収入なら分かりやすい目安になりますが、複数の収入がある場合は、合計所得金額で確認する必要があります。
6. 大学生のアルバイト収入は特に注意する
扶養控除で最も迷いやすいのが、大学生のアルバイト収入です。
19歳以上23歳未満の子どもは、要件を満たせば特定扶養親族となり、所得税で63万円の控除を受けられます。一般の扶養控除38万円より控除額が大きいため、親の税額への影響も大きくなります。
令和7年度改正では、19歳以上23歳未満の親族について、通常の扶養控除から外れても一定範囲で控除を受けられる特定親族特別控除が創設されました。国税庁の令和7年度税制改正の案内では、特定親族は年齢19歳以上23歳未満で、合計所得金額が58万円超123万円以下の親族などとされています。
大学生アルバイトについては、次のように考えると整理しやすくなります。
| 状況 | 親側の扱い |
|---|---|
| 所得要件内に収まる | 特定扶養親族として扶養控除の対象になる可能性 |
| 所得要件を超えるが一定範囲内 | 特定親族特別控除の対象になる可能性 |
| 所得がさらに多い | 控除対象外になる可能性 |
令和8・9年分は給与所得控除の最低保障額が74万円に引き上げられるため、給与だけの場合、特定親族特別控除の上限目安も変わります。年末調整では、勤務先の案内や国税庁の最新様式で確認しましょう。
ここで重要なのは、親の税金だけで判断しないことです。
- 子ども本人に所得税・住民税がかかるか
- 社会保険の扶養から外れるか
- 勤務先で社会保険加入が必要になるか
- 奨学金や家計に影響があるか
- 学業に支障がない働き方か
税金上の扶養と社会保険上の扶養は別制度です。税金では扶養に入れても、社会保険では別の基準で判断されることがあります。
7. 配偶者控除との違いを混同しない
日常会話では「妻を扶養に入れる」「夫の扶養に入る」と言いますが、税金の制度では、配偶者は扶養控除では判定しません。
整理すると、次のようになります。
| 対象者 | 使う制度 |
|---|---|
| 配偶者 | 配偶者控除・配偶者特別控除 |
| 子ども | 扶養控除、または特定親族特別控除 |
| 親・祖父母 | 扶養控除 |
| きょうだい | 扶養控除 |
| 16歳未満の子ども | 所得税の扶養控除対象外 |
配偶者控除や配偶者特別控除では、配偶者本人の所得だけでなく、控除を受ける本人の所得も関係します。一方、扶養控除では、対象親族の年齢・所得・生計関係を中心に判定します。
年末調整の書類では、配偶者の欄と扶養親族の欄が分かれています。配偶者を扶養親族の欄に書かないよう注意しましょう。
8. 年末調整の書き方:どの書類で確認するか
会社員やパート・アルバイトの多くは、年末調整で扶養控除の申告をします。中心になるのは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。
国税庁の扶養控除等申告書の手続ページでは、給与所得者が扶養控除などの諸控除を受けるために行う手続として説明されています。
記入前に確認する情報は次のとおりです。
| 確認する情報 | 具体例 |
|---|---|
| 氏名・生年月日 | 子ども、親などの基本情報 |
| 続柄 | 長男、母、弟など |
| 住所 | 同居か別居か |
| 所得見積額 | 給与、年金、副業収入など |
| 16歳以上か | 12月31日時点の年齢で判定 |
| 19歳以上23歳未満か | 特定扶養親族・特定親族特別控除に関係 |
| 70歳以上か | 老人扶養親族に関係 |
| 非居住者か | 海外在住親族は追加書類に注意 |
令和8年分で、改正により新たに扶養控除等の対象となる親族がいる場合は、扶養控除等申告書の「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載する扱いが示されています。
年末調整の実務では、次の流れで確認すると迷いにくくなります。
- 対象にしたい親族が配偶者以外か確認する
- 12月31日時点で16歳以上か確認する
- 年間の収入見込みを確認する
- 給与だけか、年金・副業などもあるか確認する
- 合計所得金額の基準に収まるか確認する
- 申告書の扶養親族欄に記入する
- 不明点は勤務先の年末調整担当者に確認する
前年と同じ家族構成でも、子どものアルバイト収入、親の年金以外の収入、別居や仕送りの状況が変わっていれば、申告内容も変わる可能性があります。
9. 別居の親・年金生活の親を扶養に入れるときの注意点
別居している親でも、生活費や療養費などを継続的に送っていて、生計を一にしている実態があれば、扶養控除の対象になる可能性があります。
ただし、「別居でも親子だから自動的に対象」ではありません。重要なのは、実際に生活を支えているかどうかです。
| 確認すること | ポイント |
|---|---|
| 仕送りの有無 | 継続的に生活費・療養費を負担しているか |
| 親の所得 | 年金、給与、不動産収入などを確認 |
| 他の兄弟姉妹 | 同じ親を複数人が重複して扶養にできない |
| 同居老親等 | 同居要件を満たすと控除額が変わる |
| 海外在住 | 親族関係書類・送金関係書類などに注意 |
年金生活の親を扶養に入れる場合は、年金収入をそのまま所得として見るわけではありません。公的年金等控除を差し引いた後の所得で判定します。
また、遺族年金や障害年金のように非課税とされるものは、合計所得金額に含めない扱いになる場合があります。親の収入が年金だけか、他の収入もあるかを確認しましょう。
10. よくある誤解と失敗しやすいポイント
扶養控除は、用語が似ているため誤解が起きやすい制度です。
| 誤解 | 正しい考え方 |
|---|---|
| 子どもがいれば全員控除できる | 所得税では16歳以上が対象 |
| 38万円の控除なら税金が38万円減る | 所得から38万円を差し引く制度 |
| 配偶者も扶養控除に書く | 配偶者は別制度で判定 |
| 別居の親は対象外 | 仕送りなどで生計を一にしていれば可能性あり |
| 税金で扶養なら社会保険も扶養 | 税と社会保険は別基準 |
| 年収だけ見ればよい | 給与以外の所得があると計算が変わる |
| 兄弟で同じ親を扶養にできる | 同じ親族を重複して控除対象にできない |
税額への影響も誤解されやすい点です。たとえば、所得税率10%の人が38万円の扶養控除を受ける場合、所得税だけを単純計算すると次のようなイメージになります。
38万円 × 10% = 3万8,000円
実際には復興特別所得税や住民税も関係しますが、控除額そのものが現金で戻るわけではありません。課税所得が下がることで税負担が軽くなる、と理解しておきましょう。
11. よくある質問
Q1. 扶養控除は何歳から受けられますか?
所得税の扶養控除は、原則としてその年の12月31日時点で16歳以上の親族が対象です。16歳未満の子どもは対象外です。
Q2. 高校生の子どもは対象になりますか?
12月31日時点で16歳以上で、所得要件や生計要件を満たせば対象になる可能性があります。
Q3. 大学生のアルバイト収入はいくらまでなら大丈夫ですか?
令和8・9年分で給与収入だけなら、通常の扶養控除は年収136万円以下が一つの目安です。19歳以上23歳未満の場合は、収入がそれを超えても特定親族特別控除の対象になる可能性があります。
Q4. 16歳未満の子どもは年末調整で書かなくてよいですか?
所得税の扶養控除の対象ではありません。ただし、住民税に関する事項などで記入が必要な場合があります。申告書の欄を確認しましょう。
Q5. 別居している親を扶養にできますか?
生活費や療養費などを継続的に負担し、生計を一にしている実態があれば対象になる可能性があります。親の所得や他の兄弟姉妹の申告状況も確認が必要です。
Q6. 年金生活の親は扶養控除の対象になりますか?
公的年金等控除を差し引いた後の所得で判定します。年金額だけで判断せず、所得に直して確認しましょう。
Q7. 配偶者は扶養控除に入れますか?
配偶者は扶養控除ではなく、配偶者控除または配偶者特別控除で判定します。
Q8. 扶養控除を年末調整で書き忘れたらどうなりますか?
確定申告で修正できる可能性があります。源泉徴収票、親族の所得情報、必要書類をそろえて確認しましょう。
Q9. 税金の扶養と社会保険の扶養は同じですか?
別制度です。税金上の扶養に入れても、健康保険や厚生年金の扶養では別の収入基準・勤務条件で判定されます。
Q10. 同じ親を兄弟2人で扶養控除にできますか?
できません。同じ親族について、複数人が重複して扶養控除を受けることはできません。
12. まとめ:迷ったら「12月31日時点」で整理する
扶養控除で迷ったら、次の順番で確認しましょう。
- 対象にしたい家族は配偶者以外か
- その年の12月31日時点で16歳以上か
- 生計を一にしている実態があるか
- 合計所得金額が基準以下か
- 19歳以上23歳未満、70歳以上などの区分に当てはまるか
- 年末調整の申告書に正しく記入したか
- 社会保険の扶養も別に確認したか
2026年は、旧来の103万円、令和7年分の123万円、令和8・9年分の136万円が混在しやすい時期です。古い情報をそのまま使わず、対象年分と最新の書類を確認することが大切です。
税金の制度は難しく見えますが、基本用語を一つずつ理解すれば、年末調整や源泉徴収票、住民税通知書も読みやすくなります。英語・資格・受験勉強などと同じように、少しずつ学ぶ習慣を作りたい人は、完全無料で利用でき、学習行動がユーザーに還元される共益型プラットフォームのDailyDropsを学習の選択肢の一つにしてもよいでしょう。
扶養控除は、家計への影響が小さくない制度です。子どものアルバイト、親への仕送り、配偶者の働き方が変わった年ほど、前年どおりにせず、早めに確認しておきましょう。